サムライジャック:時空の戦い【ゲーム紹介&感想その1】

「サムライジャック」は2001年アメリカ制作のアニメで、たまらなくおもしろいのでございます。
というわけで2021年1月に発売されたゲームの紹介。
アニメシリーズの紹介記事もそのうち作りたい次第です。

この記事はアニメシリーズとゲームの全体的な紹介です。
長くなったので、各ステージのプレイ感想は別記事にしました。

サムライジャック:時空の戦い【ゲーム紹介&感想その2】
「サムライジャック:時空の戦い」のゲームプレイ感想。サムライジャック愛にあふれたすばらしいゲームであります、というひいきめの感想。でも普通におもしろいよ。

とりあえずテレビアニメ「サムライジャック」

概要

「サムライジャック」は2001年にカートゥーンネットワークで制作されたテレビアニメシリーズ。
主人公はサムライですがアメリカのアニメ。SF風未来世界に追放されたサムライが悪と戦う物語です。
2004年にシーズン4で終わって未完のままだったのが、2017年になって完結編のシーズン5が作られました。
このシーズン5が衝撃的な展開なのですが、日本では未放送。

自分は最近になってシーズン1,2を視聴したにわかファンでした。ブルーレイを購入して全シーズン視聴いたしました。
OP前セリフとOPテーマが耳にこびりついて離れない病が治りません。ワッチャ!

シリーズ全体はシンプルなストーリー。

世界征服を図る悪の大魔王「アク」に対し、日本人風のサムライが一族に伝わる魔力の刀で立ち向かった。
追いつめられたアクはサムライを未来にタイムリープさせる。未来ではアクが全世界の征服を達成していた。
サムライはジャックと名乗り、アクの刺客を退けながら過去の世界に戻る方法を探す。

カートゥーン × 日本風サムライ × SF という独特な世界観。
クールなアクションはもちろん、シリアスなドラマ、お茶目なコメディ、ほっこりハートウォーミングなど様々な要素がちりばめられています。

メインキャラクターはほぼジャックとアクだけですが、二人ともものすごーく魅力的です。

アニメの話は別記事でゆっくり語ることにして、ここではキャラの紹介にとどめます。

メインキャラ:ジャック(Jack)

一族に受け継ぐ魔力の刀でアクを追いつめたサムライ。
本名は不明、未来世界でジャックと名乗る。

ものすごく強いのにストイックに鍛錬を積む。
無口だが思ったことがすぐ顔に出る。
困ってる人はつい助けてしまう。
忍耐強く礼儀正しい。でも調子に乗るときもある。
日本語の侍口調がやたら本格的。
意外とよく捕まる。
気を抜いててもアクと聞くと本気になる。
激しい戦いで着物が破れたり髪が乱れたりするとファンが喜ぶ。

メインキャラ:アク(Aku)

強大な力を持ち、世界征服を図る邪悪な妖怪というか魔物というか。かつてジャックの父親の手で封印された。
「ク」にアクセントを置いて「アクー」「アクゥ」という感じで発音すること。

変幻自在。伸びたり増えたりする。
自分が一番、自分大好きなワンマン魔王。
残忍なくせに言動がいちいちお茶目。
視聴者へのサービス精神が旺盛。
口の可動域が半端ない。
ジャックを追いつめてもなかなか殺せない。
その気になれば殺せる状況でも嫌がらせだけして去って行ったりする。

で、ゲーム「サムライジャック:時空の戦い」

サムライジャック:時空の戦い - DMM GAMES
サムライジャック:時空の戦いの公式サイトです

概要

テレビアニメシーズン5の衝撃的かつファンからの賛否両論な展開を受けて、2020年に新作ゲームが発売されました(日本では2021年1月発売)。
PC版、PS4版、Nintendo Switch版が出ています。

オーソドックスなステージ制のアクションゲーム。
敵との戦闘をメインとしつつステージを探索する、いわゆる「スラッシュアクション」というやつですね。

ストーリーはシーズン5の終盤がもしもこうなったら……というIF展開のイメージです。
なのでシーズン5を知っているといいでしょうが、単純な構造なので知らなくてもどういう話なのかは分かります1

英語音声で日本語字幕付き。きっちり翻訳されてます2
いつになくよくしゃべるジャックのセリフは、アニメより比較的ライトなサムライ口調です3

ちょくちょくプレイヤーに話しかけてくるアクのコメントもおもしろい日本語になってます。アクはプレイヤー/視聴者サービスに余念がありません。

シンプルなゲームモード

メインはストーリーモード。
ステージ制になっており、途中まで進めて前のステージをやり直すことも可能です。
ステージごとに、クリア時間・倒した敵の数・使った消費アイテムの数・コンティニュー数によって評価が付けられます。
評価は高い方から「SSJ」「SJ」「S」「A」「B」…以下あるかどうか不明4

ステージの区切りやチェックポイントを通過するとオートセーブされます。途中でゲームをやめたときはオートセーブ個所からの再開が可能。
死んだときもチェックポイントからのコンティニューが可能ですが、ステージ評価に影響します。
※ちなみにステージ開始時やコンティニュー時のロードはそれなりに時間がかかりますが、ステージ内ではロードなしです。大量の敵が出たときにやや処理落ちしましたが。

クリア後は戦闘に特化したミッションモードが解放されます。
ミッションはお題に従って敵を倒すモード、ボスを時間内に倒すモード、死ぬまで戦い続けるモードの三種類。
お題に従うのは全部でいくつあるのか確認できてませんが、後半はなかなか厳しい条件でやりごたえがあります。ノーダメ縛りはきついです。
ストーリーより、ミッションを全制覇する方が大変な印象です。

動かしてるだけで楽しいアクション

シンプルなコマンドで多様なアクションを繰り出せます。
ジャックと言えば強キャラですから、アニメさながらのクールなアクションを再現できるとテンション上がりますね。
回避とガードが可能で、タイミングを図ってジャスト回避・ジャストガード・パリングをするとさらにカッコイイです(あと有利に立ち回れます)。

近接武器・遠距離武器の種類が多く、それぞれをジャックに持たせて動かしてみるだけでも楽しいです。
ジャックは器用なので何でもうまく扱えます2。銃が似合わなくておもしろい。
敵ごとに武器の相性があり、何が効くのか色々試してみるおもしろさもあります。

攻撃に対して敵がちゃんと反応してくれるのも気持ちいいです。
刀で斬るとスパっと切断されたり、こん棒で殴ると粉々になったり。
ボスもスーパーアーマーではなく(無敵状態はありますが)ちゃんと怯んでくれるのが地味に嬉しいです。効いてる感がある方がいいですよね。

近接武器

近接武器は剣、槍、棍棒、ハンマー、拳の五分類。
各分類の中にも威力や耐久値の異なる様々な種類があります。
ジャックの基本装備は魔力の刀と拳だけですが、その他の武器は敵から奪い取ったりショップで買ったり味方からもらったりできます。
と言ってももっぱら奪うものです。ジャックは追いはぎが得意です。

特定の敵は五分類のいずれかが弱点であり、その武器を使うことで大ダメージを与えられます。
ついジャックのトレードマークである魔力の刀ばかり使いたくなりますが、敵によって武器を使い分けるのが大事な戦略ポイントとなります。

遠距離武器

射撃武器は弓と銃、投擲武器は手裏剣・小刀・手鎌・特殊爆弾があります。
弓は狙いを定めて撃つこともでき、ステージギミックの突破にも利用します。

遠距離武器はかなり強く、アクションが苦手でもこれを集めておけばなんとかなるかもしれません。
ボスに小刀でとどめを刺すのはちょっと情けないですが。

ちなみに弾がないのに銃を装備しようとするとアクが余計なコメントを入れてきます。

練習が活きる難易度

難易度は「ジャック(イージー)」「サムライ(ノーマル)」「マスターサムライ(ハード)」「マスターオブマスターズ(ベリーハード)」の四段階。
それぞれジャックの攻撃力・防御力・敵の出現パターンが異なります。
ノーマル以下では体力0になったときに気合でもちこたえる仕様があり、死ににくくなってます。

自分は初回プレイは「サムライ」で挑みました5
ゲームの腕「中の中」を自称する自分がプレイした感覚としては、こんな感じ。

  • 序盤→意外と簡単
  • 中盤→急に難しいぞ
  • 終盤→死ぬなぁ、でもちゃんとやればできるはず

総じて「ちゃんとやればできる」という印象でした。
ちゃんとというのは、ゴリ押しせず敵の動きをちゃんと見て動くということ。
敵の攻撃力が高い一方、ジャスト回避/ガード/パリングといったテクニックの判定はそれほど厳しくありません。
よって回避とガードを駆使して極力攻撃をくらわないようにするのが推奨されてる気がしました。
敵の攻撃パターンも割と分かりやすいため、プレイしていくうちにしっかり上達します。

また敵を倒してアイテムを稼ぐことでジャックの育成ができるため、育成してから先のステージに臨むとかなり楽になります。
個人的には、初回は最低限の育成でちょうどいい感覚でした。
ラストステージでは13回死にましたが、ちょうどいいくらいじゃないですかね。

逆に育成をしないことで難易度を上げられますので、ゲームが上手い人も下手な人もいい具合に楽しめるんじゃないでしょうか。ゲームが上手い人の気持ちはさっぱりわかりませんが。

※最高難易度の「マスターオブマスターズ」は自分の腕だと割としんどいですが、アイテムに頼ればなんとかという感じ。敵が常に大量に出てきてわちゃわちゃします。

ジャックも鍛錬を積む

プレイするほどジャックは強くなります。
上に書いたようにプレイヤーの上達という意味もありますが、ジャックのステータスアップという意味でも。

第一に、拾ったりもらったりする各種ポイントと宝石を使って、ジャックの心技体を鍛えることができます。
二段ジャンプなどのアクションや、各武器のコンボ、攻撃力・防御力アップ、アイテム手持ち数増加などをスキルツリー形式で入手していきます。
序盤はポイントが溜まりにくいですが、進めていくと案外すぐに溜まります。2~3周でフル育成できるでしょう。

第二に、ショップでゴールドを利用して武器を鍛え、攻撃力アップとコンボ追加が可能です。
ショップでろくなアイテムが売ってないときは鍛えるしかありません。爆発矢を売れ、ダ・サムライ。

第三に、ショップでジャックに装備させる数珠を買うことができます。
数珠は攻撃力アップ・防御力アップ・武器耐久力アップ・アイテムドロップ率アップの効果があり、値段が高いほど効果もアップ。
なお一度なんらかの数珠を装備すると外せません2。呪いのアイテムでもあります。

この育成度合いで難易度の調整ができます。
フルレベルジャックなら無双プレイもはかれるでしょう。

家紋を集めて真エンディングを見よう!

ステージクリアするのが主目的ですが、収集要素もあります。

一つには「チャレンジ」と言って、各ステージにいる仲間を全員見つけるとか、特定のアクションを何回やるとか敵を何体倒すとかの条件をクリアすると特典がもらえるもの。
これらは周回プレイのモチベーションになると言えなくはないですが、ボリュームはそれほどでもありません。特典も育成用のポイントなので、育成が終わっちゃってたら特に必要もなかったりします。

それよりもう一つ、ステージに散らばった家紋を集める方が大事です。

家紋をすべて集めてクリアすることで、真エンディング6と言えるアニメーションを見ることができます。これが、がんばった甲斐があったと思えるすばらしいエンディング。
どうあがいても見つからないような配置はなく、ステージをすみずみまで見ていれば自力で探せなくはないでしょう。どのステージが未収集なのか分からないのが厄介ですが。

アニメファンを喜ばせてくるネタだらけ

テレビアニメシリーズを完全にベースとしているため、ファンには嬉しい要素がたっぷり詰まってます。
ステージも味方キャラもボスキャラもアイテムも全部テレビアニメに登場したもの。
アニメのシーンをほうふつとさせる演出7のせいで、再びアニメが見たくもなってきます。

ゲームのOPでアクが「Long ago in a distant land(遠い昔さる国で)…」としゃべるシーンはそのままテレビアニメのOPからの抜粋。
亡くなったオリジナル声優さんの肉声ということもあり、アメリカのファンもずいぶん喜んだようです。
日本語版の菅原文太さんの音声もぜひ入れてほしかったところですが、仕方ないね。

味方キャラのうち、準レギュラーと言えるのはスコットマンだけです。ジャックが友達と呼べるような存在も彼だけ。
いぬのロスチャイルド卿も変なダ・サムライもほぼ一話のゲストキャラでした。

あとジャックの着物が破れたり髪が乱れたりするのもアニメシリーズのお約束。
初プレイ時笑っちゃいましたが、ダメージを抑えてクリアする動機になるのがいいですね。
ボス撃破後のムービーに反映されるので、ちゃんと服を着た状態でクリアできると強キャラ感を出せます。

ゲームだけやるのはダメ!

※以下、ストーリーのネタバレしてますがご容赦。まあネタバレも何もないか。

ゲームやったらアニメも見てください。そしてもう一回ゲームの真エンディングを見ましょう。

というのも、ゲームではジャックを形作る要素の一部しか取り上げられていないからです。
要はアシとの関係ですね。
アクの信奉者によって生み出されたアシはジャックと出会って人の心を知り、未来世界で孤独だったジャックも彼女に惹かれます。
これがシーズン5の核なので、シーズン5をベースにしたゲームでジャックとアシの関係が描かれるのは当然なんですが、ジャックはそれだけじゃないということを声を大にして言いたい。

第一に、ジャックは故郷を壊滅させ家族を殺し奴隷にしたアクを憎み、必ず退治しようと誓っています。
ジャックは無用な争いを避け、意外と温厚なところもあるのですが、アクに対してだけは決して容赦をしません。

第二に、人も文化もまったくなじみのない未来世界に一人送り込まれたジャックは、基本的に孤独です。
困っている人を見るとつい助けてしまうので色んな人から慕われているものの、流浪のジャックに友達や家族を持つことは(ほぼ)できません。
おまけにアクに邪魔され続け、五十年間2過去に戻ることができず、文字通り狂うほど自分を責めていました。

ジャックがこんな厳しい状況に置かれ続けたからこそ、アシはジャックにとっていろんな意味で大きな存在となりました。
孤独なヒーローのジャックを知っているほど、真エンディングを見たときには感動が倍増して渦を巻き天に立ち昇っていきます。特にアニメシリーズの最終話を見た人にはそうでしょう。

ゲームだけだとこの背景が不足しているのです。かつ通常エンディングは単なるアニメシーズン5の抜粋で、非常に物足りない。
アニメのジャックの自己犠牲っぷり(とシナリオ的な虐げられっぷり)を知った上でゲームもプレイし、ぜひとも真エンディングを見てほしいところです。

DVD/ブルーレイは英語版しかありませんが、セリフ少ないので問題ないです。
そのうち全話感想を書くので私と一緒に見ましょうね。

でもゲームも楽しいよ

アニメの宣伝になってきてしまいました。
ゲームが売れてアニメの日本語版がまた作られたり放送されたりしたらいいな~と思ってるので、念のため申し上げておきます。

ゲーム単体でもおもしろいですよ!

アクションは上記の通り、やればやるほどプレイヤーもジャックも強くなる仕組み。
サムライのジャックがファンタジーやSFな世界観をかけめぐる絵面は見ているだけでおもしろい。
ムービーのクオリティが高く、カートゥーンの魅力をぞんぶんに発揮してくれています。
クールに見えて意外と表情豊かなジャックの顔芸もあちらこちらで楽しめます。

ぜひともジャックを応援してください。

紹介はここまで

文量が多くなってしまいました。
本当は各ステージのプレイ感想を書きたかったのですが、それは別記事にしておきます。

早く届け、ブルーレイ。


 

  1. 自分もゲームをやったときはシーズン2までしか見てませんでしたが、ゲーム内の情報で事足りるので特に支障なかったです。
  2. ジャックのセリフで「アク」を「アクー」って書いてあるところがちょくちょくあるのはご愛敬。
  3. アニメだと10分くらい一言もしゃべらないことが平気であります。そして「とんと無案内」だの「其処元」だの「卒爾ながら」だの子どもが分かりそうもない言葉をまじえてくる。
  4. アイテム使った上に13回死んでも「B」だったので、これが最低かもしれません。
  5. 初回プレイでイージーを選ぶと胃袋ちぎって針で刺される呪いにかかっているので、どんなに死んでもノーマルでやりきります。バイオ1Wiiリメイク版の初回プレイは本当に大変でした。
  6. アニメのシーズン5がノーマルエンディング。
  7. イマカンディに追われてエレベータに乗り込むジャックとか、墓場でわざわざ「嫌な予感がする(i have a bad feeling about this)」と言わせるとか。