フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第83話 フューリアス・フー(Furious Fu)
タイトル(アクマ名)でエピソード内容が予想できる系。
チベット寺院から本物のマスターが登場だ。
ストーリー
プロローグ
記憶を亡くした元ガーディアンであるワン・フーがパリにやって来る。
マリネットはクワミ達からフーに会わせてほしいとねだられるが、ミラクルボックスを取り残して外出するわけにはいかない。
しかしクワミ達のうるうるおめめにはかなわない。
ミラクルボックスとの留守番を疑り深いバークーに任せ、他のみんなはリュックに入れて連れて行ってあげることにした。
騒ごうとするクワミ達をなだめながらマリネットは駅へ向かう。
そんな彼女をゴミ箱の中から何者かが見つめていた。
マリネットは駅でスタートレインから降りてきたフーとマリアンヌを出迎えた。
フーはボートの事故で記憶をなくしてマリネットに助けられたことになっており、今はマリアンヌとロンドンで暮らしている。
3人は公園のベンチで並んでお菓子を食べながら、たわいのない話に花を咲かせる。
フーが大好きなウェイズはついリュックから這い出し、人形のフリをしてフーに姿を見せてしまう。
慌ててごまかすマリネットを、白バイの荷台から何者かが見つめていた。
天のガーディアン登場
マリネットが帰宅すると、自室に見知らぬ男が仁王立ちしていた。さっきからあちこちに潜んでいた人だ。
左手に杖、右手には留守番していたバークをつかみ、隠しておいたはずのミラクルボックスを脇に抱えている。
ティッキーいわく、男の名前はスーハン。
グランドマスターにしてミラクルボックスの天のガーディアンであり、マスター・フーに持ち出される以前にミラクルボックスを守っていたという。
スーハンはガーディアン愛用のミラクルボックス探知コンパスを使ってマリネットに行きついたらしい。
彼はフーのことを根性無しと呼び、フーからボックスを引き継いだマリネットのこともガーディアンとして認めていない様子。
さらにいくつかのミラキュラスが行方不明であることや、危険なプラッグが野放しであること、ガーディアンを名乗るマリネット自身がミラキュラスを身につけているという規則破りに対し、憤りをあらわにする。
スーハンはクワミ達をボックスの中に戻らせ、シャノワールに会わせるようマリネットに迫る。
正式なガーディアンであるスーハンに逆らうわけにもいかず、マリネットはレディバグに変身してシャノワールを呼び出した。
レディバグはスーハンを連れ、屋根の上でシャノワールと合流する。
スーハンは2人に対し、ミラキュラスを返すよう要求した。
未熟な2人はミラキュラスの力を持つのにふさわしくない、シャドウモスとの戦いはきちんとした大人を選んで対応するという。
レディバグはスーハンの言うことが正しいのかもしれないと思いつつも、記憶を失ってしまうことに躊躇する。
シャノワールに至っては、レディバグが自分のことを忘れてしまうなど耐えられない。
シャノワールは力づくで奪ってみろと武器を構えるが、厳しい修行を積んだガーディアンであるスーハンの方がうわてだった。
容赦なく叩きのめされるシャノワールを見て、レディバグもスーハンに逆らう決意をする。
だがまともに向かっては二人がかりでもかなわない。
シャノワールがやり合っている間にレディバグが映画の音声を流してスーハンの気を惹き、その隙に彼のバッグと杖を奪うことに成功。ひとまず逃げおおせるのだった。
アクマ誕生
杖を奪われたスーハンは、憤りながらレディバグとシャノワールを探す。
シャドウモスはその強い怒りを感じ取り、アクマの蝶を街へ放った。
スーハンは公園で絵を描いているフーの姿を見つけていた。
フーの元に歩み寄り、いきなり杖を奪おうとする。ガーディアンだったフーの杖にはミラキュラス探知コンパスが仕込まれているのだ。
そこにアクマの蝶が飛んでくるが、スーハンは精神統一して怒りを抑え、アクマを退ける。
そして抵抗するフーとマリアンヌを力づくで振り払い、杖を奪い取った。
フーがマリアンヌが乱暴されたことを強く怒ったことで、シャドウモスはアクマの蝶を舞い戻らせた。
アクマはフーの絵筆に宿り、フューリアス・フーへとアクマタイズした。
フューリアス・フーは短冊に文字を書くことで、それを現実化することができる。
「探知」を書いた短冊に先導され、杖を盗んだ無礼者のスーハンを追いかけた。
ヒーローの戦い
レディバグとシャノワールは競技場に逃げ込んでいた。
そこにフーから奪った杖を携えたスーハンが現れる。
さらにフューリアス・フーも追いつき、空から雷を降らせてきた。
シャノワールは丸いミラクルボックスをボールのようにドリブルして逃げるが、スーハンとフューリアス・フーに両サイドを挟まれる。
ゴール前がガラ空きなのを見て、ついついボールを相手のゴールにシュゥーッ!超!エキサイティング!してしまったが、ゴールに引っかかったミラクルボックスはあっさりとフューリアス・フーに奪われてしまった。
ミラクルボックスがアクマの手に渡るや、スーハンは戦線離脱して物陰からあーだこーだとヤジを飛ばしてくる。
彼のミラカンフーはミラキュラスの持ち主をしつけるためのもので、ヴィランとの戦闘には使わないらしい。
レディバグとシャノワールが吹っ飛ばされてしまい、スーハンもフューリアス・フーとやりあうものの、文字の力で石にされてしまう。
レディバグは作戦を練り、誰かに電話をかける。
シャノワールがフューリアス・フーの気を逸らしている間に、ラッキーチャームで手に入れた植木バサミでボールカゴの錠を切り、サッカーボールを1つ取り出した。
フューリアス・フーはレディバグの怪しい動きを見とがめていた。
カタクリズムを発動したシャノワールを右手で捕まえ、シャノワール自身を触らせ破壊させようとする。
止めようと飛び込んだレディバグはフーの左手に捕まえられたが、両足でつかんだサッカーボールをシャノワールの胸の前に挟ませ、カタクリズムから防御する。
3人とも動けない状態になったはずだが、レディバグはなぜか勝ち誇った顔。
いぶかしむフーの背後から突如女性の声がする。
現れたマリアンヌはフーの耳から筆を取り上げてへし折った。先ほどの電話でレディバグから指示を受けていたのだ。
アクマを浄化し、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
正気に戻ったフーに、レディバグはミラクルチャームを渡す。
スーハンも杖をフーに返し、昔の知り合いと勘違いしたのだと真摯に謝った。
エピローグ
フーとマリアンヌは無事にロンドンへ帰って行った。
マリネットの自室ではスーハンが待っていた。
彼は一般人のマリアンヌを巻き込むやりかたを規則違反だと咎めながらも、マリネットの能力を認めてくれた。
信頼すべき人間を直感できる能力こそ、ガーディアンに必要なものだと言う。
スーハンはマリネットにミラクルボックスを任せると決めた。
だがこのボックスは最初に作られたもので、最も強力なミラキュラスが収められている大事なものだ。
失のしたら返してもらうと言いながらも、マリネットを見守るスーハンの目は温かなものに変わっていた。
現代社会を学ぼうと言うスーハンに、マリネットは新品の靴をプレゼントする。
彼のボロボロの靴から爪先がのぞいているのを見やって、マリネットとスーハンは笑い合うのだった。
感想とメモ
スーハン様のせいで文章長くなっちゃいました。
いつもですか? そうですか。
重要なエピソードと見せかけて案外軽く描かれてるのがいいですね。フィースト回は重すぎた。
セレスティアル・ガーディアン
スーハン様かわいいですね。登場時はどっちに転ぶか分かんない感じでしたが、最終的にデレてくれました。
どうやら異様に体が柔らかく、どこにでも潜めるらしい。
「天のガーディアン(The Celestial Guardian)」の意味は不明ですが、そういう役職なんでしょう。
セレスティアル(Celestial)が「天の」って意味で、神々しいとか神聖みたいなニュアンスもあるようです。
位が高いってことなのかな。それとも「地のガーディアン」もいるのかな。
彼のおっしゃることもあまりにも正論。
単に「規則に書いてあるから」ではなく、それを破ったときの危険性を認識した上でのお叱りですから、マリネットもそりゃ納得せざるを得ない。
ただ彼の正論からは、不在だった200年の間の実績が抜け落ちてました。
今回のエピソードでマリネットのやり方を目の当たりにし、スーハン様も彼女のふさわしさを考え直してくれましてよかったよかった。
と同時に、フーに対してもかなり評価を改めてるんですよね。
レディバグを認めたことで、彼女を選んだフーを認めたってことなのか。
くわえて、フューリアス・フーの強さをフー自身の修行のたまものだと察したとか。
あと、レディバグの「自分のミスを押し付けるの!?」って指摘を真摯に捉えたんじゃないかなとかも想像します。
フーを根性無しとなじるのは、指導者だったはずの自分のミスの責任転嫁じゃないかと。
まあとにかく、無事にデレてくれてよかったです。この人はいい人側の人間だと判明した1。
そしてめちゃくちゃ強いスーハン様。アクションがかっこいい。
格闘系ではナタリーとかフェリックスとかも美しい身のこなしを見せてくれましたが、スーハン様はしなやかさと力強さを兼ね備えて、今までにいないタイプ。
おまけにアクマを退ける精神力も当然のようにお持ちである。
存在に説得力があるのがいいですね。権威を語るのにふさわしい能力をきっちり見せてくれる。
だったらヴィランとも戦えとかは言わない方向で。しょうがないよ、少年ヒーローに華を持たせないと。
スーハン様の武術はミラカンフー(Mirakung-Fu)と言うもので、身内へのお仕置きに使うものだそうです。
だからアクマからそそくさと逃げてましたね。潔い内弁慶。
でもスーパーパワーのあるレディバグとシャノワール二人がかりでも劣勢になるくらいだから、その辺のアクマとなら普通に戦えそう。
チベットのミラクルボックス
スーハン様はマリネットの持つミラクルボックスのことをマザーボックスと呼んでいるようです。
一番最初に作られたもので、特に強力なのが入ってると。
そういえばニューヨーク編で似たようなボックス持ってる人がいましたよね。あれはチルドレンってことか。
フィースト回のことをすっかり忘れてましたが、ミラクルボックスを守護していたチベットの寺院は復活していました。
僧侶たちがミラクルボックスの探索に乗り出すだろうとは思ってましたが、けっこう時間かかりましたね。
というのもたぶん徒歩移動だったからでしょうね、チベットからパリまで。
スーハン様も車とか電車にはもう驚き済みかな。
思えばスーハン様、意外とフーが「ボックスを持ち出して寺院を燃やして200年封印した」こと自体をとがめてはいなかったですよね。
あの大事件をいち修行僧であるフーのせいにされてたらかわいそうだなーと思ってましたが、そうじゃなさそうで安心しました。やっぱあれは組織側の失策ですよね。
文字には不思議な力があります
フューリアス・フー、めちゃくちゃ強い。
文字を書いて実現するって特殊能力が既に強い。探知、攻撃、移動、拘束、超感覚、なんでもできる。
近接戦闘まで手に負えないレベルで強い。体が大きく力も強く、身のこなしも卓越している。レディバグとシャノワール二人がかりでもなんともならん。
この格闘術に関しては、フーも独学とはいえちゃんと修行を積んでいたってわけなんですよね、きっと。
一見ちっちゃいおじいちゃんだけど、脱ぐと筋骨隆々かも。
つけこむとしたらシャドウモスの話をよく聞いてないところかな。
ミラクルチャームをもらっちゃったので、もうフューリアス・フーは見られないんですねえ、残念。
第三者に足元をすくわれるっていう意味で、前半のスーハン様と同じような倒し方をされたと思うとおもしろい。
蚊帳の外の猫
ガーディアン系の話となると、シャノワールが蚊帳の外の猫になるのがちょっと不憫。
彼はほんとにレディバグから頼まれたらミラキュラスを手放せたのかなぁ?
レディバグに忘れられることは耐えられなかったみたいだけど、ミラキュラスを手放したらどっちにしろ二度と会えなくなっちゃうんですよね、正体を知らないわけですし。
考えてみればシャノワールには、変身できなくなる=悪いことって意味付けがあるんですよね。
たとえシャドウモスを倒しきったからって理由でも、変身しなくなる=ヒーローがいなくなる=レディバグに会えなくなるってことは悪いことでしかない…。
いや、でもシャドウモスを倒してヒーローを辞めるとなったら、正体を隠す必要もなくなるのか。
あれっ、とすると今回ミラキュラスを素直に渡した場合も、正体隠す必要がなくなってシャノワールにとっては悪いことじゃないのか。
なるほど、シャノワールはそれを見越してたのかもしれません。
だとしたら確かに、記憶がなくなるのばっかりは見過ごせない。
ともあれ、シャノワールへの事情説明が省略されたのは尺の都合ですかね。
もうちょっと彼にも関わってもらった方がいい気もしますけどね、プラッグの監督責任もあるし。
スーハン様、プラッグ野放しの件も認めてくれたのかな。
その他ポイントメモ
- 用心深く留守番を申し出てくれたバーク(Barkk)はイヌのクワミ。本編での変身はまだ。
- クワミクワホー(Kwami-Kwa-Who)ってのは、「どれにしようかな神様の言う通り」的なやつですかね。英語だとイーニーミーニーってやつ。
- フーがマリネットにプレゼントした抽象画、赤と黒の斑点が見えるのがなんとなくレディバグ?
- 地べたをよちよちするウェイズかわいい。
- “I have a bad feeling about this(嫌な予感がする)”はなぜかスターウォーズのネタとして有名。
嫌な予感がしたときに使えるお手軽なフレーズ。 - テレビに興味深々なスーハン様かわいい。
- スマホにびっくりするスーハン様かわいい。
- スーハン様の服はつぎはぎだらけ。靴がぱっくり開いてるのはそういうデザインかと思ったけどボロボロなだけでした。次に出てくるときはあのスニーカー履いてくれてるかな。
- フー「もう一度言ってくれんか、全部は聞き取れんかった」
シャドウモス「はぁ……」
フーの神妙な顔が笑いどころ。 - 「自分のミスを私たちに押し付けるの!?」って指摘されてシュンとするスーハン様。すなおか。
- スーハン様が技名を叫ぶのはカンフーのお約束。「なんとかの虎の爪!」とか「なんとかの蜘蛛の足!」とか。
- シャノワールの得意技は気を逸らすこと。
- シャドウモスはミラクルボックスにさほど興味ないんだっけ?
ボックスを奪えとは言ってたけど、そこまでテンション上がってもいなかった。
今はガーディアンがレディバグなわけだから、レディバグのミラキュラスを狙うのと違いがないってことか。
今回の記事はここまで。
コメント