相変わらずの気まぐれ更新ですいません。
フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第89話 ロケッティア(Rocketear)
ニノ大暴走。恋するパリジャンは歯止めがきかないらしい。
ストーリー
プロローグ
スタジアムで恐竜と格闘するシャノワール、レディバグ、そしてキャラペイス。
事件は片付いたものの、ニノはガールフレンドのアルヤがリナ・ルージュとして呼ばれてないことで浮かない顔。
実際アルヤはリナ・ファーティブとして監視役に徹していたのだが、モスに存在を悟られないため、狐のミラキュラスを持っていないと装わねばならない。
マリネットに説得されたアルヤは、気が進まないながらもニノに「自分はもうリナ・ルージュになれない」と告げた。
アクマ誕生
アルヤはニノへの秘密を抱えたせいでいつになくそわそわしており、デート中も上の空。
そんな様子を不安に感じながら「シャノワールとリナ・ルージュがくっつく」という映画を見てしまったニノは、本当にアルヤがシャノワールに浮気してしまったんだと思い込んだ。
ハードボイルドな装いをしたニノがアルヤの家の前で張り込みを始めると、あろうことかシャノワールが現れる。
アドリアンはニノに浮気疑惑を相談され、変身してアルヤの気持ちを確かめに来たのだった。
ベランダで親密そうに談笑する二人を遠目から撮影し、ニノは誤解したまま疑惑を確信へと変えてしまった。
錯乱したニノはアドリアンを呼び出し、自分とアルヤがヒーローに変身していたことを含めすべてをぶちまけた。
シャノワールへの憎しみの涙をこぼすニノの強い感情を、シャドウ・モスが感知する。
アクマの蝶がニノのメガネに憑りつき、ロケッティアへとアクマタイズされたニノは外へ飛び出した。
ヒーロー登場
すぐさま現れたシャノワールに、ロケッティアは涙の爆弾をぶつけまくる。
アルヤは浮気なんかしてないとシャノワールがいくら言ってもロケッティアは聞く耳を持たない。
教室から二人の戦いを目にしたマリネットとアルヤは、変身するためボイラー室へ。
そこにはニノのハードボイルドセットがあり、落ちていたスマホにはアルヤとシャノワールの密会動画が。
二人はレディバグとリナ・ファーティブに変身。
レディバグはラッキーチャームでプロジェクターを手に入れ、ニノの誤解を解く作戦を立てた。
ヒーローの戦い
通りではロケッティアとシャノワールの戦いが続いていた。
シャノワールはニノを説得しようと無抵抗に攻撃を受けるが、ロケッティアは容赦しそうもない。
そこにレディバグが姿を現し、「超高性能プロジェクターなら動画の音も聞こえる」と言って空中に動画を再生。
リナ・ファーティブが裏から当時の会話をアテレコして聞かせると、誤解を悟ったロケッティアは攻撃を止めた。
アルヤは物陰で変身を解き、ロケッティアに抱きつくと改めて事情を説明する。
ロケッティアはアルヤの心が変わっていないことに安心し、シャドウ・モスの支配を跳ねのけた。
ミラキュラス・レディバグですべて元通りになり、レディバグはマジカルチャームをニノに渡した。
一安心のシャノワールだが、ニノとアルヤが正体を知り合い、レディバグがそれを認めていたことにはどうしても納得がいかなかった。
エピローグ
ニノに疑いを抱かせたことを謝るマリネットに、アルヤは大丈夫だから信じてほしいと返す。
アルヤはニノに向き直ると、自分がまだリナ・ルージュであることを打ち明けた。
レディバグには隠すように言われているが、好きな人にはすべてを話しておきたいと。
愛情を確かめ抱き合うアルヤとニノであった。
感想とメモ
おお、アルヤよ。やっちまったな。
白いキツネは秘密のしるし
アルヤのヒーローコスチュームが新たな白いものに。
コスチュームは気の持ちようで決まるらしいから、アルヤの役割意識がきっちり切り替わったことの裏付けでありましょう。
名付けて「リナ・ファーティブ(Rina Furtive)」。
ファーティブはこそこそ隠れる「密」的な意味。キツネの毛皮(ファー)もイメージさせるオシャレな名前ですね。
リナは隠れてレディバグたちの戦いを遠くから見守り、モスたちに動向を探られていないかを確かめるのが任務。
センチバブラー回のようにモスがのこのこ姿を表したら後を付けることもできる。
確かに、秘密を明かした第三の味方に頼むにはぴったりの役目。さすがレディバグ!
幻を作り出す超有能なスーパーパワーは健在。
幻は姿に限らず音声も含むわけで、蜃気楼みたいなものというより、改変した現実を貼り付けるって感じかも。
むしろ人の認識を直接歪めるようなものなのかもしれない。
この能力を活かせるのは、アルヤの卓越した記憶力・想像力・演技力があってこそである。
スーパーヒーローの秘密は・・・
絶対守らないと、とマリネットに言われちゃったらしょうがないよね。
マリネットがアルヤに打ち明けたのだって、100話近くガチで秘密を守り続けてきて、あまりの重責に押しつぶされそうになったゆえの苦渋の決断だったわけである。
アルヤがクロエみたいにアホなら「あんただって私に秘密をばらしたじゃない」とか言い返しそうなものですが、そこは信頼のおけるアルヤのこと、マリネットのこれまでの苦しみを重々承知しているようです。
が、性格的に超あっけぴろげなアルヤにとって秘密を抱えるのはとんでもなくつらい。
いつも有能なアルヤが、自分のことで嘘つくとなるとマリネットみたいに不自然になっちゃうとは。
結局アルヤはいつも通り有能にスパっと決断を下した。嘘はつくまい、である。
彼女という人間個人にとっては正しい決断に他ならないんでしょうか、マスクドヒーローチームの一員としては悪手と言わざるを得ないでしょう。
ただ嘘をつかないことにした以上は、「ニノに話した」とマリネットにも伝えてくれるはず。そこは信頼していきましょう。
パリ市民はロマンティック
ニノとシャノワール(アドリアン)の似てるところがバッチリ見て取れたエピソードでした。
ヒーロー活動は副次的なもの。大切なのは好きな人と一緒にいられることだ、という価値観ですね。
よって好きな人との関係が揺るがされるとなれば、ヒーローとしての立場をそっちのけにしてしまう。
ニノのアルヤへの想いはアクマの原動力となった一方、シャドウ・モスのアクマタイズを跳ねのける強さも確かに持ってました。
愛情というものは強烈で、そのパワーは善にも悪にも転ぶっていうのがよく見えましたね。
要は兵器みたいなものです。ヒーローはこれをコントロールすることが求められると。
しかし日常的にカップルがかなり親密に描かれてるのってフランスのお国柄なんですかね。
ただ、あんまり他のキャラに行動原理が依存してると、そのキャラ本人の個性が見えなくなるな~って気がしないでもない。
ニノがメインのエピソードってアルヤかアドリアンに従属した話しかないんですよね。サブリナがクロエに従属してるのと同じく。
もっと普段から映画マニアな面を見せてくれればいいなあと思いました。なんだあの急なハードボイルドは。
まだまだ蚊帳の外にゃんこ
今回シャノワールの話と見せかけてメインはアルヤとニノの関係で、猫は相変わらず蚊帳の外な感じでしたね。
シャノワールがリナとキャラペイスの正体を知らなかったのも「そうだったっけ」って感じ。
ただアドリアンにとってはそんなことより、「アルヤとニノがレディバグ公認でお互いの正体を知ってる」ことがあまりにも衝撃的だった。
そりゃそうだよね、大好きなレディバグにさんざんっぱら正体明かすのを断られてきたわけだから。
若干レディバグへの不信を抱いちゃってる様子のシャノワールでしたが、今回のニノみたいに暴走しないことを祈りましょう。
シャノワールはすねて変なことしでかすからね。アドリアンなら落ち込むだけで悪さはしなかろうが。
相変わらず絶望的なシチュエーション
今回も「恋愛で頭がいっぱいだとヒーロー活動に支障がある」を分かりやすく描いたお話でした。
ここの芯はブレないんですよね。「愛の力で悪を討つ」に持っていかないところにたいへん好感が持てます。
ロマンスにとってマスクドヒーローの活動は障害に他ならない。逆もまたしかり。
現実的な葛藤があるからこそこのシリーズに深みが感じられるんだろうなあと思います。
でも本人たちに感情移入してみればたまったもんじゃないですすね。
どっちかに転んだらどっちかは失うかもしれないのに、その全容がマリネットたちには見えてない。
見えないまま決断を迫られ、思いもよらない必然の結果に絶望することになるかもしれない。
いやあ、意地悪な脚本。こういうキッズショーもいいよね。
ところで浮気というのは・・・
あくまで個人的な感想なんですけど「浮気相手」が怒られて当たり前って思われるのがどうも腑に落ちません。
だって、恋人関係ってのはニノとアルヤ当人同士に同意があるかってだけのものであって、他人からしたら関係なくないですか?
そりゃアルヤが嫌がるような迫り方したなら「アルヤに迷惑をかけた」って意味で怒られて当たり前でしょうけど、フレンドリーに接したのを「誘惑した」だなんて、いちゃもんにもほどがあるのでは…。
うーん、でもニノも「気持ちを変えるなんて許せない!」ってアルヤに怒りをぶつけたわけじゃないのはまだマシなのかなあ。
でもあれじゃ「アルヤを好き」というより「自分を好きなアルヤなら好き」ってふうに見えちゃうけどなあ。
どっちにしろ、浮気されたら怒って相手を責めるのが当たり前って感覚はようわかりません。
傷つくのは分かるけど、それは人を攻撃する免罪符になんかならないのです。
その他ポイントメモ
- 冒頭の恐竜はまさかのアクマ関係なし。ムーンガールかい。
- 「ミラキュラス・ワールド:恐竜島」お楽しみに!ジャゲッド・ストーンも出るよ!
- ほんとにあったとしてもジャゲッド・ストーンは出ないであろう。
- アニメ映画「レディバグとシャノワール」は映画化にありがちな不必要な恋愛描写てんこもりらしい。うぇ~。
- ニノにシャノワールの的確なモノマネされて気まずそうなアドリアン。これは恥ずかしい。
- モスにはニノの具体的な会話まで聞こえてたのかな。そもそもアルヤとニノが変身してたことはモスも知ってたからまあいいか。
- 今回のシャノワールの変身は心配そうなお顔。
- ラッキーチャームをめちゃくちゃストレートに使う稀有な回。
- 「シャノワールはすぐファンの子に恋されたと思い込む」って恥ずかしい評判が立たないだろうか。それくらい気にしないか。
- アルヤは「知らない人を好きにはなれない」って言ってたけど、ここはレディバグに恋してるシャノワールには共感できないところだよね。
- 平時の姿を「知ってる」からってその人物を本当に知ってると言えるかは別なわけですが。ね、マリネット。
- シャドウ・モス「愛と秘密は両立しないぞ、レディバグ」
お前が言うなお前が。 - ニノ「二度と愛する人のことでアクマタイズされない」
うーん、でも例えばその愛する人がいなくなったりしたらどうかなあ・・・。 - プラッグ「俺たちは皿にのったチーズ。どうするかは職人が決める」
メタ発言でしょうか。 - ニノ「Is Ladybug cool with this?(レディバグはそれでいいのか?)」
今回のためになる英語フレーズ。coolって単語はDJでdudeなニノっぽいけど、普通の慣用句らしい。
今回の記事はここまで。
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