フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第67話 フィースト(Feast)
マスター・フーの過去の一部が明らかになるんだけれども……。
ストーリー
プロローグ
ルーブル美術館に新しく展示されることになった美術品。
固まった溶岩で作られたというその像は、チベットの山頂でクデル館長が発見したらしい。
お披露目イベントのかたわら、マリネットとアルヤはアリックスに頼んで美術館に入れてもらっていた。
アルヤは各国の絵画や彫刻に描かれたミラキュラスヒーロー(と思わしき人物)を指し、彼らが共通の紋章を身に着けていることを指摘する。
それは確かに、ミラクルボックスの蓋に描かれているのと同じ紋章だった。
そして、200年前のものと思われる新しい展示品の像にも、同じ紋章が刻まれている。
歴史の中でいつしか姿を消していたミラキュラスヒーローだが、この展示品は最も近年の手がかりだと言えるだろう。
……という発見に大興奮のアルヤとアリックス。
マリネットはもっともらしい分析に驚きながらも、ホーク・モスに知れることを危惧して美術館を立ち去った。
一方、アドリアンとともにイベントに来ていたナタリーは、像に刻まれた紋章を見るとめまいを起こしていた。
マスター・フーの過去
マリネットはマスター・フーを訪ね、アルヤがブログに載せたレポート動画を見せた。
紋章に気付かれるのは仕方ないと落ち着いていたマスターだが、新たな展示品の像を見るや血相を変える。
狼狽しきった様子のマスターは、あれは像ではなくマユラの生み出したセンチモンスターだと言うと、自身の過去の過ちを語り始めた。
***
マスター・フーは幼い頃にガーディアンとして選ばれた。名誉なことだと迫られ断ることはできず、家族と引き離されて寺院で厳しい修行を受けることになった。
あるとき、彼は24時間断食してミラクルボックスを見守る試練を受けていた。
だが空腹に耐えきれなくなった彼は、なぜミラキュラスのために苦行に耐えねばならないのかと不満を募らせ、ついにピーコックのミラキュラスを使ってしまった。
ただセンチモンスターに食べ物を持ってこさせるつもりだったが、誤った目的で使った能力は暴走してしまった。彼の生み出したセンチモンスターは空腹と怒りに支配されて何もかもを食らおうとし、特にミラキュラスをどん欲に狙った。
事態に気付いた彼は混乱し、アモクを宿らせた見習いの杖を落としてしまう。そして怯えるあまりミラキュラスをボックスに戻すと、証拠を消してしまおうと寺院に火を放った。
モンスターの襲撃と炎の中、僧侶が彼に呪文の書と最後のミラクルボックスを持って逃げるよう命じた。
彼はチベットの山中を逃げる途中、モスとピーコックのミラキュラス、そして呪文の書をなくしてしまう。
追って来たセンチモンスターは山の溶岩の中に落ち、その後姿を見せることはなかった。
***
そして今、センチモンスターは溶岩の塊として発見されルーブルに展示されている。
ホーク・モスがこれに気付いたら、マユラの力でセンチモンスターを復活させようとするはず。
勝ち目がないと信じ込んだマスターは、パリを守るため、レディバグとシャノワールのミラキュラスを持ってパリを離れると言い出す。
そんなマスターに、マリネットは自分を信じて協力させてほしいと申し出た。
アクマ誕生
アグレスト邸では、めまいを起こしたナタリーをアドリアンが心配していた。
ガブリエルは息子を部屋に戻らせると、アルヤの動画から紋章の件を知る。
あの像がセンチモンスターだというナタリーからの報告に、ガブリエルは二人で協力してセンチモンスターをよみがえらせようと決めた。
部屋に戻ったアドリアンは、母親もナタリーと同じようにめまいを起こしていたのを思い出していた。
夜になって、ナタリーはマユラに変身して美術館に侵入する。
溶岩に混ざって固まっていたセンチモンスターをよみがえらせると、それがミラキュラスを食べたがっていると察した。
そこにホーク・モスがアクマの蝶を差し向ける。
ミラキュラスに飢えたセンチモンスターはアクマを飲み込み、フィーストへとアクマタイズされた。
ヒーロー登場
アドリアンとマリネットが寝静まった夜、ウェイズが寝室に忍び込み、二人のミラキュラスを回収した。
目を覚ましたマリネットは置手紙を読んでうろたえる。自転車に荷物を積んだマスター・フーが去ろうとしているのを見とがめ、自分も自転車を引っ張り出して追いかけた。
マスターは自分が姿を消すことが唯一の策だと信じていたが、そこにミラキュラスを嗅ぎつけたフィーストが現れる。
ホーク・モスはフィーストの追っている男がガーディアンであると悟り、勝ち誇った笑みを浮かべていた。
マリネットはスポーツウェアとフルフェイスのヘルメットで顔を隠し、自転車でマスターとモンスターを追う。
ミスターバナナの着ぐるみで変装したアドリアンも、キックスクーターに乗って合流した。
自転車レディバグとバナノワールは、バスの運転手やおまわりさんのロジャー、アイス屋台のアンドレの協力を得て、モンスターの進行を妨害しようとする。
二人に気付いたウェイズは、逃げるをやめ二人に任せるべきだと説得するが、マスターは聞き入れない様子。
だがいざマリネットとバナナが生身でモンスターと対峙したそのとき、マスターが割って入ってくると、二人にミラキュラスを渡した。
マスターがモンスターの気を引いている隙に、レディバグとシャノワールに変身!
ヒーローの戦い
シャノワールがモンスターの相手をしている間、レディバグはラッキーチャームで金属探知機を入手。アモクを宿した杖の一部は金属だとマスターから聞いて、作戦を思いつく。
そしてシャノワールと自分をヨーヨーの糸でくくりつけると、二人まとめてセンチモンスターに飲み込まれてしまった。
レディバグとシャノワールは、センチモンスターの体内の不思議な空間を泳ぎ回る。飲み込まれたものは紫色の泡に包まれ、取り出すことができない。
金属探知機を使ってアモクの宿る杖を見つけ出すと、シャノワールがカタクリズムで破壊した。
アモクを失ったセンチモンスターは消滅し、レディバグとシャノワールも無事に戻ってきた。
レディバグはアクマとアモクを浄化し、ミラキュラス・レディバグですべて元通りに。
マスター・フーは二人に礼を言い、逃げていてはダメだと考え直していた。
エピローグ
翌日のニュースでは、172年前に破壊されたチベット山中の寺院が突如現れたと報じられていた。
そこにはかつて暮らしていた僧侶までもがよみがえっているという。
過去の過ちで失われたものが元に戻り、喜んだマスター・フーはマリネットを一人前のレディバグだとたたえた。
一方でホーク・モスに正体がばれたことは事実。マスターは整体院を引き払うことにしたが、ホーク・モスを倒すまではどこにも行かないと言って車に乗り込んだ。
ガブリエルは眠るエミリーの前で、復讐を果たすことを誓っていた。
感想とメモ
マスターはガーディアンじゃなかった
前半のマスター・フーの過去話にツッコミどころが多すぎる。いかにも後付け設定。
てっきりガーディアンの仕事の最中で過ちを犯したのかと思ったけど、そもそも彼はガーディアンになってもいなかったのだ。
このことはマスター・フーの心のあまりにも大きな傷で、しかもまだ治っていない。
傷が痛むあまり、パリを離れるとかさっぱり意味不明な言動を取ってしまっている。
マスターが持ってるミラキュラスだけ食べられちゃって、ホーク・モスとマユラがセンチモンスターを操るのが最悪のシナリオなのに、まさにそれに向かっちゃう作戦でしょう?
センチモンスターが去ったとしてもホーク・モスとマユラはパリに残るわけで、彼らが何をしでかすか分からないわけでしょう?
過去の過ちに引きずられまくって、理性的な判断ができなくなってしまった。
実際のところ、事件の責任は修行中の少年フーではなく、管理がガバガバで修行者の監督もまともにできないガーディアンズ組織にある。組織のやり方が雑すぎて、マスターの過去話をとても聞いていられない。
フー本人はこのことの責任を深く深く感じて、200年近く実際にミラクルボックスを守り通した。
修行は終わってなかったし、そもそもやる気ゼロだったんだから、ガーディアンとしての知識や能力だって独学で補完したわけだよ。
それを踏まえれば、今のマスター・フーはやっぱりマスターと呼ぶに値すると思うよね。
だからこのことをエピソード内でフォローしてほしかったよね。
さらっと鑑賞した人は「マスターってポンコツやんけ」って思っちゃわないか? だとしたらなんともかわいそうだ。インフィニティ・ウォーの最後のシーンのクイルみたい。シナリオのためにキャラクター性を犠牲にさせられてる感じ。
マユラとセンチモンスター
マユラの力はセンチモンスターを破壊することもできる。
ただし操れるのはセンチモンスターを生み出した宿主だけらしい。宿主も必ず操れるわけではなく、アモクの憑りついたモノを失ったり、リフレクドールみたいにモンスターが異常をきたしたときには操れない。
どうもセンチモンスターにはちゃんと意識があるらしい。破壊するわよというマユラの脅しの言葉を理解していたようだったし、アクマを憑りつかせてホーク・モスが操ることができた。
いや、アクマが宿るからといってちゃんとした精神があるかは分からないか。赤ちゃんとか、人工知能とかにも平気でくっついてたし。ホーク・モスがいけると思ったらいけるんだろう。
ピーコックのミラキュラス
めまいの症状が同じということは、やはりピーコックのミラキュラスは昔エミリー・アグレストが使っていたのか。
かつ、エミリーが使っていたとき既にピーコックのミラキュラスは壊れていた。壊れたタイミングは少年フーが寺院から逃げたときだったのかもしれない。
だとすると、今ガブリエルがナタリーにそれを使わせていることの意味を再考したくなる。
エミリーが昏睡状態になった事件によってミラキュラスが壊れたんだとしたら、壊れたミラキュラスを使うことはどこまで危ないのか分からない。使ってみたくなる気持ちは生まれるだろう。
だが、壊れたミラキュラスを使い続けたことによって昏睡状態に陥ったなら、それを使えばナタリーにも同じ悪影響が及ぶって明らかに分かってるはず。
いつかそうなると知っていて、「まだいける」「まだいける」というチキンレース。
ナタリーまで失ったらアドリアンがどう思うか考えてほしいよね。
ガブリエル本人だってね。
フィーストのお腹の中
お腹の中に不思議空間があるのはセンチモンスターのもともとの能力ってことだよな。
なんでそんなふうになったんだろう。とめどない食欲と、食べたものをそのまま保管することはむしろ逆の要素な気がする。何でも食べちゃいたい生き物のお腹の中は常に空っぽの方が納得できる。
まあ、そうじゃないとこの話が解決しないもんな。
じゃあアクマタイズによって変化したのは、口が大きくなって大きなものも飲み込めるようになったってだけか。
「センチモンスターをアクマタイズ」って言葉の響きは新鮮だが、実際は別にたいしたことは起きてない。
この話の肝はどちらかというと「操る者をなくしたセンチモンスター」の方。
しかし、センチモンスターが暴走したのは扱う者が未熟だったからなのかな。
マスターは「誤った目的」とか言ってたけど、目的に正しいも何もあるまい。むしろ目的とは別の不満や怒りっていう感情が混ざってたから、っていう方が納得できる。
ガーディアンの正体
ガブリエルとナタリーがマスター・フーの顔を知ってしまった。
この狭いパリで面が割れるってかなり危険な気がするが、うかうかしてて大丈夫なんだろうか。
アクマに特定の顔を探させることくらい、ホーク・モスなら簡単にできそうな気がするが。
で、マスターが最後に言ってた「マリネットを次のガーディアンに」って言うのも冗談なんだよな?
本来ならミラクルボックスはチベットの寺院に返すべきなんだろう。けど、寺院に保管するのがそんなに安全なのかなあ? S.H.I.E.L.D.に危険な武器を保管するようなもので……。
というかマスターが事情を説明しても、寺院がそうですかと受け入れてくれる気はしない。
今すぐミラクルボックスを返せって言われそう。乗り込まれて奪われたりしないのかな。
むしろ寺院が復活したなら、ミラキュラスのありかを探る方法とかなにかしらありそうなもんだ。そしたらホーク・モスの居場所を突き止められるのに。
その他ポイントメモ
- どんなイベントにも必ず行くジャゲッド。暇かあ?
- アリックスのパパ、クデルさんはただの学芸員ではなく、ルーブルの館長だったらしい。館長一家は美術館内に住むものなのかな。
- アルヤは一応ヒーローたちの正体を探るのはやめていたが、記者魂は相変わらず旺盛。
- アリックス「兎のミラキュラスもあったりしてね」
ライオンはないけどウサギはあるよ。いや、なくなったミラキュラスの中にはライオンもあったのかも? - 死ぬほど関係ないが、雪山の寺院での修行ってアイアンフィストとクン・ルンを思い出すよね。
- ガブリエルがアルヤのレディブログをブックマークしてると思うとおもしろい。
- ナタリーがアモクを感じられるのは、ピーコックのミラキュラスをいつでも付けてるからなのかな。
ガブリエルもマイナスの感情を感じられるのはモスのミラキュラスを付けてるせい?
だいぶ前にも疑問に思ったが、モスのミラキュラスにマイナスの感情を検知するなんて能力があるのか? - プラッグはピアノがうまい。
- 頭がでっかくてよつあしで歩いてなんでも食べちゃうモンスター。見た目は愛くるしい。グラビティフォールズのハロウィンのお菓子を食べちゃうあいつみたいだ。尻は割れてないけど。
- 自転車ライダー姿のマリネット、非常にクール。
- アドリアン、バナナ気に入った?
- 自転車に乗った子に「私はレディバグ!」って言われて素直に信じる運転手さん。
- マスター・フーもついに変身か!? と期待したけど肩透かしだった。まだデザインが決まってないに一票。
- 飲み込まれる直前のバグちゃんのウキウキ顔がかわいい。
- バスとか車も金属だと思うんですけど……。
- チベット山中の出来事がそんなにすぐニュースになるのか。情報社会だな。
- 僧侶たちも生きて戻ってきたらしい。アバローかよ。
センチモンスターに食われた僧侶はそうかもしれないけど、火事が原因で亡くなってたらどうなるんだろうね。 - 変装といえばくちひげ。
今回の記事はここまで。
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