フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第74話 キャット・ブラン(Cat Blanc)
タイトル(アクマ名)を見て「アドリアンがアクマタイズされるぞ!」と決めつけ興奮したのは自分だけだろうか。
ストーリー
プロローグ
カプセルの中で眠る妻の前で、ガブリエル・アグレストはミラキュラスを手に入れることを改めて誓っていた。
アルヤ、アリックス、ローズ、ジュレカ、ミレーヌは公園でピクニック中。
そこに小包を持ったマリネットがとぼとぼとやって来た。アドリアンのミドルネーム記念日のプレゼントとしてベレー帽をこしらえたものの、渡すのが怖いらしい。
マリネットがやりとげる方にユニコーンを賭けたローズやみんなに一喝され、マリネットは勇気を出してアドリアンを探しに行く。
家を訪ねたがアドリアンは留守だった。
ナタリーにすげなく追い返されたが、変に奮起しているマリネットはティッキーの忠告をきかずレディバグに変身すると、窓からアドリアンの部屋に忍び込んだ。
アドリアンの部屋に興奮しつつ、プレゼントをマリネットの署名付きで置いてくることに成功。
……と思いきや、立ち去る後ろ姿を帰ってきたアドリアンに目撃されてしまった。
アドリアンはレディバグがマリネットのプレゼントを持ってきたことを不思議に思い、すべてを悟った。
レディバグはマリネットだ。そしてレディバグの言っていた「気になる人」はアドリアンのことだったのだ。
喜んだアドリアンは慌てるプラッグの言葉も気にせず、気づいてないふりをするから大丈夫と浮かれている。
未来の危機
レディバグの帰途、空間の穴からバニックスが突如現れた。
バニックスは今日の出来事によって未来が危険にさらされていると言って、レディバグを連れ時間を移動する。
未来に降り立ったレディバグの前には、荒廃したパリが広がっていた。
ビルの屋上から見えるのは、形の変わった月、水に沈んだ街並みや倒れたエッフェル塔。
驚くマリネットをよそに、バニックスは次の手を打つからと立ち去ってしまう。
ビルの屋上には全身真っ白なシャノワールの姿があった。
彼はレディバグを見つけると喜んで近づいてきて、ミラキュラスを奪おうとする。
キャット・ブランを名乗る白いシャノワールはレディバグを「マリネット」と呼び、心を壊されたのだと言って襲いかかってきた。
レディバグはキャット・ブランに宿るアクマを浄化しようとするが、どこにアクマがいるのか分からない。
ラッキーチャームで消しゴムを手に入れたものの役に立ちそうもない。
過去の過ち
その様子を時間トンネルで見ていたバニックスは、未来が消えていくことに焦りながら、過去のレディバグに何があったのかを確かめる。
アドリアンがレディバグの正体を知ったことで、マリネットとアドリアンは結ばれた。
ガブリエルは二人の仲を裂いてマリネットをアクマタイズしようとし、アドリアンは助けようと咄嗟に変身する。
マリネットもシャノワールの正体を知り、ナタリーの報告でホーク・モスもシャノワールの正体を知ってしまった。
その後、なんやかんやでレディバグとシャノワールはホーク・モスをアグレスト家の地下室に追いつめる。
ホーク・モスは眠るエミリーを見せてシャノワールに語り掛け、シャノワールはホーク・モスが父親だと知って激昂する。
ホーク・モスは母親のためだとシャノワールを唆かし、首の鈴にアクマを宿らせキャット・ブランへとアクマタイズする。
だがキャット・ブランはホーク・モスに従うこともできずに混乱し、手にした破壊の力を暴走させてしまったのだった。
未来での戦い
キャット・ブランはレディバグのミラキュラスを手に入れて願いをかなえる力を使い、恋人だったころに戻ろうとしているらしい。
地球全体を破壊しつくそうとするキャット・ブランの前に、レディバグは降参した。
ミラキュラスを渡すと言って歩み寄り、キャット・ブランに唇を寄せ――首の鈴を破壊した。
飛び出したアクマをリベール・デュ・マールで浄化し、白い猫はもとのシャノワールに戻った。
ところがシャノワールから「レディバグ=マリネット」という記憶は消えていない。
それもそのはず、シャノワールはアクマタイズされるずっと前から正体を知っていたのだから、このままミラキュラス・レディバグですべて元通りにしてもその記憶までは変わらない。
冷静になると賢いレディバグは、正体を知られたのはプレゼントに名前を書いたからだと察した。
バニックスに頼んでもとの10分前の過去に戻り、プレゼントに書いた名前を消し、ブラジルのファンから頼まれたのだとアドリアンをごまかして、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。未来は救われた。
エピローグ
あのビルの屋上にシャノワールを呼び出したレディバグ。
いつものシャノワールに寄り添って座り、「やったね」と勝利を喜ぶのだった。
感想とメモ
ものすごい未来に対するバタフライ・エフェクト的な話かと思いきや、意外と近い未来だった。悪影響も割と直接的だった。
またもや時間旅行
またもや登場、バニックス。
あの時間の穴の中は、無数の時間トンネルにつながる謎の白い空間らしい。
ウサギのミラキュラス強すぎないかと思うが、ドラマティックな展開に利用されてるだけだからいいとしよう。
必然的にバニックスはレディバグの正体もシャノワールの正体も知っているわけだ。もちろんホーク・モスの正体も。
アリックスを選んだのが「秘密を守れるから」というのもめちゃめちゃ納得。アリックスはテキトーに見えて賢くて分をわきまえてる感じ。アルヤならこうはいかない(褒め言葉)。
マリネットとアドリアンがうまくいって焦ってるバニックスがおもしろい。
でも焦るばっかりで自分はなんにもしないバニックスがおもしろい。
未来を知ってると直接手を出しちゃいけない、っていう掟に従っているだけなのでおもしろがってはいけない。
そう考えると嫌な役目だ。マリネットなら手を出さずにいられなさそう。
ホーク・モスの過去の過ち
話の冒頭でガブリエルが出てきたのは、たぶんあとで地下室とエミリーのシーンがあるからだろう。
あと「過去の過ち」という言葉で今回のテーマを示唆している。
ガブリエル本人は「過去の過ちを正す」とか言ってるけどそのために現在で絶賛過ち中だが。
時間が巻き戻ったようにすべてが消えて幸せな時代に戻れると思ってるんだろうか。
この辺の判断力が鈍っちゃってるのは、モスのミラキュラスにどこか問題があるんだろうな。
それに加えて、ガブリエルがエミリーに愛をささやいてたのがちょっと意味深に感じた。
ガブリエルは悪事を働きたいわけじゃなくて、エミリーを愛する一心で結果的に悪党になっちゃってるわけから。
つまり、アドリアンも変に恋が進展してしまったときに心が過激な方に向かわないかどうか。
今回のアクマタイズの理由はそういう感じじゃなくてよかった。
白いシャノワール
「シャ・ノワール=キャット・ノワール」は黒猫、「キャット・ブラン」は白猫。
シャノワールのおめめはグリーン、キャット・ブランはブルー。
白も似合うのは確かだが、なんとなく異常というかルナティックに見えるのが絶妙なヴィジュアル。
手のひらから波動拳ではなくメガ・カタクリズムを放ち、パリをめちゃくちゃに破壊してしまったらしい。
本来一発しか撃てないはずのカタクリズムをこれだけバンバン撃って、しかもその強さもしっかり制御できている。
これはシャノワールのもともとの力が強かったから、ホーク・モスの能力で増幅されたということなのかな。
そういえば未来のパリでホーク・モスはほぼ死んでたわけだが、キャット・ブランのアクマタイズは解けなかった。
スタートレインと同じく、一度与えた能力はホーク・モスがいなくても使い続けることができるということを示している。
というか、キャット・ブランの暴走はホーク・モスが止めるべきだっただろ。しっかりしろ!
レディバグは何も知らぬまま
問題のある未来にやってきたレディバグだったが、「シャノワールがレディバグの正体を知った」という事実しか知らずに済んだ。
キャット・ブランがシャノワールの正体とかホーク・モスの正体に言及しなかったおかげで、そう考えると運がよかった。ここでレディバグが知っちゃってたら戻せなかったはずだもんね。
それにしても、限られた情報で「あのときの行動に問題があった」と察するレディバグがほんと頭良くてかっこいい。
マリネットが服を着替えるように変身すると中身はマリネットだけど、必要にかられて変身すると一気にヒーローモードになる。
キャット・ブランにキスするふりしてだましたのもドライに見えるけど、シャノワールを心配する気持ちが純粋だからこそ決意をもって動けるわけである。
最後のシャノワールの歌はずるいね。
いつものシャノワールを見てほんとに安心したらしいレディバグと、余計な口を利かないシャノワールが良い雰囲気。
WHAT IF…
よく考えたらこれ、エントロピーを増やさずにエントロピーの増加を味わえるエピソードだ(物語が大きく進展したかのように味わえるけど、実際には何も起きてないって意味)。
かつ、
アドリアンがレディバグ=マリネットだと知ったら喜ぶ、
ホーク・モスがシャノワール=アドリアンだと知ったら邪悪な意味で喜ぶ、
シャノワールがホーク・モス=ガブリエルだと知ったらひどく憤って混乱する、
という反応をとるのは確かだよと我々に教えてくれている。
うまくやるもんだ。
でも今こういう展開を見せちゃったってことは、正史的な展開はこんなふうじゃないってことか。
が、はっきり言って今回の不幸な展開は筋が通っている。
実際にアドリアンとマリネットが付き合いたくてもガブリエルは邪魔するだろう。
それにお互いの存在に捕らわれて今までのようなヒーロー活動ができなくなる気がするぞ、アルヤとニノみたいに。
結局、二人の恋が成就するとろくなことにならないんじゃないかな~。
なんだかかわいそうな話だ。
それはそうと、アドリネットを応援してるファンのみなさんには垂涎もののシーンが盛りだくさんだったね。
個人的にはあんなフランス人みたいなラブラブ状態より、最後のシーンの寄り添い方が好きだな。
その他ポイントメモ
- アドリアンの五つ目のミドルネームも知ってるマリネット。もはや不思議でもないね。
- フランス人ってそんなにミドルネーム持ってるのか。
- アルヤ「メッセージ付けるんだよ!」
さすがアルヤ、名前を書き忘れるマリネットのことをよく分かってる。今回は言わない方がよかったが。 - マリネット「フェンシングの大会は27分前に終わってるからもう帰ってるはず……」
もはや不思議でもない。 - ティッキー「能力を個人的なことに使っちゃいけない」
そうなの? まあ、そうか。ミラキュラスから借りてる能力だし、中身がバレるリスクが増すしね。
と言いつつ、急いでるときはよく変身してる気がするが。 - アドリアンの部屋に監視カメラが付いてたらたいへんだった。
- フェンシングで金メダルとったのに、喜び合う家族のいないアドリアンが切ない。
- もちろんカガミと一緒だったらしい。
- プラッグ「くさいチーズに蓋しても絶対臭いは漏れるんだぞ!」
今回のプラッグ語録。 - でっかいボウルかぶるレディバグがおもしろい。
- 髪の毛おろしてるマリネット、かわいい。ますます日本アニメっぽい。
- クロエ「不愉快だわ!ほんとに不愉快よ!」
今回のクロエ。 - アドリアンの涙にほだされる運転手さんかわいめ。
- ガブリエルはマリネットのことをずいぶん買っているらしい。だよね、今まで何度かアクマタイズしようとして失敗してるわけだし。
- 息子がシャノワールだと知って、ショックより「じゃあミラキュラスすぐ手に入る!」と喜ぶホーク・モスが邪悪。
- キャット・ブラン「ハムスターだって飼えるよ。名前は――」
このネタ好き。 - ミドルネームの記念日ってのは「聖アタナシオスの日」だったらしい。
本名は「アドリアン・なんとか・かんとか・まるまる・うしうし・アタナシオス・アグレスト」というのかな。
調べればすぐわかりそうだけど先のネタバレされたくないので調べません。 - あたふた言い訳するレディバグも気にせず、純粋に嬉しそうなアドリアン。
今回の記事はここまで。
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