フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第29話 グラシエーター(Glaciator)
ロマンス回。片思いのマリネットとシャノワール、恋のアイスの加護はあるのか。
ストーリー
プロローグ
暴走バスを救ったレディバグとシャノワール。
シャノワールがレディバグに屋上でディナーしようと誘い、レディバグは予定が早く終わったらねと微妙な返事をした。
日常に戻ったマリネットは家での夕食後、友達と一緒に「恋のアイスクリーム」を食べにお出かけ。
アンドレのアイスを一緒に食べた恋人は永遠に結ばれるのだと噂されている。
一方のアドリアンは、お父さんに外出禁止と言われてアイスを食べにいけない。
お父さんが食事の席にも顔を出さないことを悲しみつつ、再びシャノワールに変身し、レディバグが来てくれることを信じて屋上へ向かった。
アクマ誕生
アンドレの恋のアイスクリーム屋台は気まぐれ。今日はポンデザール1の上に店を出していた。
アンドレ・グラシエおじさんの歌に誘われ、恋人たちが目を輝かせて集まってくる。
イバンとミレーヌ、ニノとアルヤは仲良くラブラブアイスをもらったものの、マリネットはアドリアンのことを思い、ひとり浮かない顔。
さみしそうなマリネットに対し、アンドレは魔法のアイスを食べれば君の好きな人も来てくれると笑いかける。
だがマリネットは「好きな人なんていない」とアイスを受け取らず、その場を立ち去った。
マリネットの心を溶かせなかったことに、アンドレはひどくショックを受ける。
それを見ていたホーク・モスは、夕暮れのパリに蝶を放つ。落ち込むアンドレが握ったアイスのスクーパー2にアクマがとりつき、アンドレはグラシエーターへとアクマタイズされた。
グラシエーターはアイスでできた雪だるま風の巨人。手からアイスの玉を放ち、ぶつけた相手をアイスに変えてしまう。なんて恐ろしい。
グラシエーターは、心を溶かせないならアイスにしてやるとマリネットを探しに行った。
ヒーロー登場
家に帰ったマリネットは、アドリアンと会えなかったこと、アンドレに八つ当たりしてしまったことに自己嫌悪。
屋上で沈んでいたところに、突然シャノワールがやってきた。
シャノワールもレディバグに待ちぼうけをくらって落ち込んでいたところ、同じように浮かない顔のマリネットを見かけたのだった。
好きな人に会えなかったつらさを分かち合う二人。
シャノワールはマリネットを連れ、キャンドルの飾りを施した屋上を見せてあげた。
マリネットは美しさに感動したが、本当はレディバグに見てほしかったのだとシャノワールはまだ落ち込み顔。
彼が本気で待っていたのだと知らなかったマリネットは、行ってあげなかった(忘れてた?)ことに罪悪感を感じてしまう。
そこに現れたグラシエーター。暗い顔したマリネットをアイスにしてやろうと探している。
マリネットを避難させて戦いに赴くシャノワールに、マリネットは「ありがとう」と笑いかけた。
一人になったところでレディバグに変身!
ヒーローの戦い
レディバグが合流したのはいいものの、シャノワールはすっかりすねた顔。ディナーに来なかったことを思いっきり責めるそぶり。
グラシエーターがカップルには攻撃しないことを察したレディバグが「恋人のフリをしよう」と提案するものの、「気持ちを作戦の道具にはできない」と突っぱねるシャノワール。
だがまともにやりあっては勝ち目がない。
レディバグに「行かなかったのは悪かった」と謝ってもらって気を取り直したのか、シャノワールも作戦を承諾。
寄り添い合って向かってくるレディバグとシャノワールに、愛の伝道師グラシエーターはとても攻撃できない!
レディバグが隙を狙ってヨーヨーを投げつけてみたところ、アクマの本体がアイス巨人の内部にいると分かった。
レディバグはラッキーチャームでヘルメットを入手。
標識を組み合わせて作った巨大プロペラを、バイクのタイヤとシャノワールのベルトをつないだ即席モーターで回転させ、グラシエーターの身にまとうアイスを吹き飛ばした。
(シャノワールのカタクリズムは巨大プロペラを組み立てる間、盾にしていたバスをとっぱらうために使いました。)
中に残ったアンドレの手からスクーパーを取り上げて破壊、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
エピローグ
シャノワールが用意したキャンドルを見に来たレディバグ。
自分には気になる人がいるのだと打ち明け、シャノワールのことはヒーロー仲間で大切な友達だと正直な気持ちを告げた。
シャノワールはそれ以上追及することなくいつもの笑顔で立ち去る。
家に帰ってアドリアンに戻っても、どこか清々しい表情をしていた。
後日マリネットはアンドレの元を再び訪れ、今度は喜んでアイスを受け取った。彼の瞳のミントと唇のピーチ。
マリネットが背を向けてアイスを食べる間、橋の反対側からやってきたアドリアンもアイスをもらった。チョコチップ入りストロベリー、彼女の髪のブラックベリーと瞳の空色だ。
感想とメモ
マリネットとシャノワールの片思いコンビ
この二人はお互いニュートラルだから、仲良さそうなちょうどいい距離感がいいね。
そして意外と似た者同士でもある。約束もしてないのにそんなに落ち込むものか。相手に自分の期待を過剰にぶつけてしまってないか?
シャノワールが本当に屋上で待っていたことを知ったマリネットは「レディバグのこと好きなの?本気だったんだ…」と呟く。レディバグがいつもシャノワールの求愛を受け流していたのは、単なるお調子者のお調子乗り発言だと思っていたゆえらしい。
シャノワールがマリネットに優しいのは、アドリアンがマリネットに優しいのとおんなじ。
でもマリネットの方は、シャノワールをお調子者の「子猫ちゃん」扱いするいつものレディバグの接し方とはちょっと違ったように見える。
彼にも片思いに胸を痛める繊細な心があるのだと知って、共感を覚えつつちょっと見直したみたい。
レディバグとシャノワールの…?
しょうがないんだろうけどさ、戦闘中にそんなこと言ってる場合と違うよシャノワール。
グラシエーターの能力はあんまり触れられなかったけど、アイスにされた人たちはほぼ死だよ。
レディバグの能力で最終的に戻るって視聴者は分かってるけど、君たちは分かってないはずだよ。
ヒーローモードになってこれだから、やっぱりシャノワールの方が危うく見えてしまう。
レディバグもアドリアンのことになると判断力を失いがちだけど、ヒーローとして何が大事かはいつも考えてる。レディバグもヒーロー仲間に恋してたとしたら大変だったのかもしれないけど。
ラストはシャノワールにほっぺにキスされたレディバグが頬を赤らめてたけど、何か感じ取ったのかな?
レディバグとシャノワールの変身の意味の違い
自分の恋愛に対する態度を取っても、マリネット→レディバグの変身とアドリアン→シャノワールの変身の意味が違うところが浮き彫りになっている気がする。
レディバグは「マリネットがヒーローの服を着た」状態であると言える。つまりマリネットという人物がいて、彼女が持ち前の正義感を発揮するための装備がレディバグの姿。レディバグが「公」で、マリネットが「私」。
一方のシャノワールというのは「アドリアンのもう一人の自分」と言う方がしっくりくる。アドリアンがシャノワールを着ているというより、スイッチを切り替えるようにアドリアンとシャノワールが入れ替わるようなイメージ。
だからアドリアンとは独立して、シャノワールにはシャノワールの「公私」があるのだろう。そこは彼のアイデンティティにもかかわるものなので、「ヒーローだから我慢せい!」と言ってのけるには不憫に思える。
アンドレのアイスは魔法のアイス
アンドレってアイスを売ってるのかと思ったら違うね、無料で配ってるね。怪しい人だね。
客の想い人の髪や瞳の色が分かっちゃうあたり、只者ではない。
パリで有名なカップルはみんなアンドレのアイスを食べたらしい。
「エディットとマルセル」は歌手のエディット・ピアフとボクサーのマルセル・セルダン(写真の左から二番目が明らかに浮いている)。
あとの二組は日本アニメのネタ。
「ジャンヌとセルジュ」はアタッカーYOU!から。フランスでは葉月優が「ジャンヌ」、立木爽が「セルジュ」という名前らしい。
「オリーブとトム」はキャプテン翼から。英語版では翼くんが「オリーブ」、若林くんが「トム」という愛称なんですね。
その他ポイントメモ
- 舞台が夕暮れなのはちょっと新鮮。満月の夜も美しい。
- イヴァンとミレーヌはもう見慣れたけど、ニノとアルヤが肩組んでるのってとってつけたように見えるな。アニマン以来そういう描写あったっけ?
- シャノワールのしっぽは持つところ。
- 前の話では思いっきり恋人のフリしてたけどね。
- 今回の面白ワード「できないよホーク・モス!だって二人はラブラブだ!」
- バイクに乗るときはたとえ動かなくてもヘルメットをかぶりましょう。
- ヘルメットを見ただけでこの仕掛けを思いつくレディバグの発想力。これは確かにスーパーパワー。いつもだけど。
- グラシエーターのコアにいたアンドレはいつも通りの姿。大量のアイスにまとわりつかれて気色悪くなかったのかいな。
- 今回のホーク・モス面白ワード
「レディバグ、計画をすべて溶かすとは…(アイスだけに)」
「復讐というスイーツを味あわせてやる!(アイスだけに)」 - キャンドルの屋上を歩くレディバグの尻がセクシー。
- そういえば冒頭のバスから降りてくる市民を見送ってたレディバグの尻もセクシー。
- 今回のプラッグに共感できる一言「オエー! 甘ったるい話は胸やけする!」
今回の記事はここまで。
コメント
はじめまして。
今年になってからのミラキュラスファンですが、するどい考察と感想(ツッコミ?)に引き込まれて一気読みしてしまいました。
またの更新も楽しみにお待ちしております。
ありがとうございます!ミラキュラスは海外アニメと日本アニメのハイブリッドさが独特な魅力ですよね。
「7月中には追い付こう」を目標に更新するつもりですので、また見に来てくれると嬉しいです。つい小ネタの元や英語を調べてしまうせいで1記事に時間がかかる…。