フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第87話 オプティガミ(Optigami)
モス、助っ人ヒーローの正体という情報をようやく活かせるか。
ストーリー
プロローグ
病床に伏しているナタリーは、センチモンスター:オプティガミの任務をガブリエルに報告する。
ミラクルクイーンの能力によって、レディバグがミラキュラスを渡した助っ人ヒーローたちの正体は知れていた。
ナタリーはマユラに変身してオプティガミを生み出し、彼ら一人一人の動向を監視させていたという。
だが慎重なレディバグは彼らにも正体を明かさず、オプティガミがレディバグの秘密を探り出すことはできずにいた。
ガブリエルはレディバグが彼らとミラキュラスをやりとりする瞬間を狙うことにする。
そのためにはヒーローたちが一同に会する機会と、強力な悪者が必要だ。
ガブリエルはオードリー・ブルジョワに連絡を取り、新たなショーの開催を提案する。
アクマ誕生
マリネットはアドリアンが出演するショーのチケットをもらって有頂天。
一緒に行きたがるクワミに対しては、主と一緒でなければ出歩いちゃいけないと制止する。
トリックスがアルヤにミラキュラスをずっと持っていてもらえばいいと言うが、安全のためと却下した。
マリネットはアルヤ、ニノ、マックス、キム、ルカ、カガミたちみんなと一緒にショー会場へ。
あいかわらずアドリアンに近づけないマリネットは、アルヤとニノが仲良くお決まりのハイタッチを交わすのを微笑まし気に見ていた。
ショーの会場にはオプティガミが潜み監視している。
シャドウ・モスは司会のアレクにそっくりのセンチモンスターを生み出し、本物の代わりに会場へ送り込んだ。
センチアレクがカメラの前でオードリーを侮辱し、シャドウ・モスはいそいそとアクマの蝶を差し向けた。
帽子に宿ったアクマによって、オードリーは再びスタイル・クイーンへとアクマタイズされた。
みんなが逃げ惑う中、カガミはアドリアンを助けようとスタイル・クイーンを攻撃したが、金粉に変えられてしまう。
物に潜んだオプティガミは、助っ人ヒーローたちの様子をナタリーに報告していた。
ヒーロー登場しない
アドリアンもマリネットもエレベーターに逃げ込んだが、お互いがいるせいで変身できない。
おまけにエレベーターが止まり、二人で閉じ込められてしまった。
マリネットはアルヤにスマホで指示を送り、アルヤは一緒に付いて来ようとするニノを言いくるめて一人その場を離れる。
そうこうしているうちにスタイル・クイーンはビルを金粉で覆って封鎖し、クロエとゾーイ、ルカ、キムも金粉に変えてしまう。
マリネットは通報するふりをしてミラクルボックスの中に仕込んでおいた緊急用電話に掛けるが、アドリアンに聞かれながらではクワミ達にうまく指示ができない。
話し声を聞きつけたスタイル・クイーンがエレベーターに迫り、エレベーターの中をオプティガミが覗き込んできた。
アドリアンはオプティガミの目に気付き、アクマが迫っていることを悟ってマリネットの会話を制止する。
アドリアンもマリネットも変身せざるをえないと決意しかけたとき、ナタリーがアドリアンとマリネットは狙う必要がないと判断した。
スタイル・クイーンが立ち去ってオプティガミの目も消え、二人はひとまず安心。
助っ人ヒーロー登場
アルヤはマリネットの指示通り、クワミ達に電話で連絡を取る。
一方のニノはアルヤを探してスタイル・クイーンに金粉にされていた。
シャドウ・モスはニノそっくりのセンチモンスターを作ってアルヤを呼ぼうとするが、アルヤは馬のクワミ:カルキの能力でマリネットの部屋へとボヤージュする。
アルヤはキツネのミラキュラスでリナ・ルージュに変身し、ミラージュでレディバグの幻を作り出す。
そしてマリネットに頼まれたハチのミラキュラスと、頼まれてないけどニノ用のカメのミラキュラスを持ち出し、再びボヤージュでビルへと戻った。
ビルではセンチ・ニノがまだアルヤを呼んでいる。
だまされたアルヤはセンチ・ニノにカメのミラキュラスを渡してしまった。
ナタリーとシャドウ・モスはアルヤがただの助っ人ではないことを悟りつつ、ひとまず作戦通りカメのミラキュラスにオプティガミを宿らせた。
センチ・ニノは何食わぬ顔でキャラペイスに変身し、スタイル・クイーンと戦うレディバグの様子にほくそえむ。
ヒーローの戦い
アルヤはカルキを連れてエレベーター内に現れ、レディバグに頼まれたと言ってまずアドリアンを脱出させる。
ようやく一人になれたマリネットはレディバグに変身。
アドリアンもビルの外に連れ出されてしまったものの、ひとまずシャノワールに変身する。
ビルではレディバグの幻がスタイル・クイーンと戦っている。
レディバグはキャラペイスがいるのを見て、アルヤが勝手にカメのミラキュラスを持ち出したのにちょっととがめる視線を向けた。
ともあれポレンとユニファイしてハチのパワーを得ると、さらにラッキーチャームでコンパクトミラーを入手。
だがラッキーチャームを使わなくても問題はなさそうだ。
キャラペイスのシェルターで守られたレディバグは、スタイル・クイーンをヴェノムで突き刺し動きを止める。
アクマを浄化し、元に戻ったオードリーの帽子にこっそりミラクルチャームを付けて、一件落着。
シャノワールはちょうどカタクリズムで金粉バリアを突破しようとしていたが、その前にアクマは消えてしまい、普通にレディバグたちと合流することができた。
戦いが終わって?
レディバグはリナ・ルージュとキャラペイスを屋上に連れて行き、ミラキュラスを返してもらう。
まだトイレにいるシャドウ・モスは、オプティガミの憑りついたカメのミラキュラスをレディバグに渡すことができ勝ち誇っていた。
しかしレディバグは、ラッキーチャームで入手したミラーの使いどころもなく楽に勝ててしまったことを不審に思う。
周りを見回していると、ミラーにアルヤとニノの様子が映った。
アルヤが手を挙げると、ニノは二人のお決まりの返事をせず、普通にタッチを返している。
レディバグはニノがセンチモンスターだと悟り、カメのミラキュラスを持ってシャノワールのもとへ。
カタクリズムをミラキュラスに当てると、オプティガミが飛び出し消えて行った。
ようやくミラキュラス・レディバグですべて元通り。
エピローグ
マリネットの部屋に戻り、勝手にカメのミラキュラスを持ち出したことを反省するアルヤ。
マリネットもアルヤの過ちを認めつつ、彼女が反省から学んでくれることを期待する。
自分が動けないときに手を貸してくれる味方が必要だと悟り、キツネのミラキュラスをいつでも持っているようにとアルヤに渡すのだった。
一方、ガブリエルとナタリーも今後の作戦を練っていた。
レディバグにとって特別な地位についたらしいアルヤ・セザールを調べることだ。
感想とメモ
危機一髪、過ち、決断、そして次の脅威。
内容が詰め込まれたエピソードでしたが、ところどころ雑ではござった。
テントウムシとハチのユニファイ
さらっとやられた今回のユニファイ。スタイルクイーンを倒すにはやっぱりハチなのです。
昆虫同士、相性のよさそうな組み合わせですね。赤と黒と金っていうのもよく似合う。
ポニーテールのレディバグはいつもよりお姉さんっぽく見えて格好いいです。
今回カルキも大活躍でしたが、アルヤには馬のミラキュラスを使わせなかったんですね。
レディバグの囮は必要だし、ユニファイするのはやっぱり技術がいるからかな。
ナタリー、寝てなよ
ミラクルクイーン回で、レディバグとシャノワールを除くヒーローたちの正体は知れてました。
有能なナタリーはちゃーんとこの情報を活かして、彼らに見張りを付けてたらしい。
(にしては、アルヤからマリネットにはたどりつかないらしい。1体しかいないっぽいし、運悪く他の人を監視してるタイミングだったのかな)
直接的には確かにレディバグの正体は分からないだろうけど、プロファイリングの余地はあった気がしますね。
素性を調べればおんなじ学校のほとんどおんなじクラスの連中(特にアドリアンのクラスメイト)なわけだし、レディバグが彼らを信頼するってことは彼らと普段関わりのある人物ってことになる。
人数少ないっぽいあの学校の生徒をひとりひとりしらみつぶしに監視してればそのうち見つかりそうなものです。
アリバイがある人物(アクマタイズされたことのある人物)を除外すれば候補はさらにしぼりこめます。
クワミバスター回でのマリネットのアリバイはシャノワールに対するもので、シャドウ・モスに対するものじゃないですし。
レディバグ容疑者リストを作るのはいいと思いますよ。ね、ナタリー。まだ体壊してるのにガブリエルのためにがんばってくれてるんですね。
ともあれ次に狙われるのはアルヤ。かしこいガブリエル。
変身するセンチモンスター
センチモンスターというのは、要は使い魔ということですね。
どうやら見た目は能力はクジャクのミラキュラスの持ち主が好きなように決められるらしいです。
フィースト回でアクマタイズされててたセンチモンスターですが、ヒーローに変身も当然できると。
やはり変身の呪文さえ知ってれば誰でもミラキュラスの能力は使えるわけですね。兵器ですね。
オプティガミはホーク・モスのアクマのチョウチョと似てるけど、おめめが付いててカメラのように映像を送れるらしい。あなたは見られている。政府の極秘システム「マシン」によって、いつ何時も監視されているのだ1。
でもセンチモンスターを操れるのは依り代を手にしてる人物ってことでしたよね。
オプティガミの依り代がなんだったのかは不明ですけど、ナタリーが持ってたんでしょうか?
それにしても、レディバグ回でナタリーはレディバグそっくりのモンスターを作るためにあんなに一所懸命こねこねしてたのに、シャドウ・モスの旦那はかるーくチョイで作ってしまう。
依り代も何も使ってなかったような。カメラに映らなかっただけか。
というのもガブリエルのパワーが増してるってことなのか、あのときはクジャクのミラキュラスが壊れてたからなのか、設定がブレてるだけなのか。
センチモンスターにカタクリズム当てると暴走するはずですが、今回はオプティガミに直接当てたわけじゃないからいいんですあね。
オプティガミが勝手に消えて行ったのはナタリーが弱ってたからなんですかね。それともオプティガミは憑りついたものが依り代になるセンチモンスターなのか。なんだそれは。
「じゃあね、白い羽さん」ってやるだけの尺はなかったか。
とにかく今回尺が足りなかったみたいですね。
変身シーンもラッキーチャームもシャノワールの出番も大幅カット。
視聴者はピンチな状況だと知ってるけど
エレベーターで変身しかけるシーン、よく分からなかったのは自分だけでしょうか?
オプティガミの目をスタイル・クイーンが迫ってくることの予兆だと受け取って、変身しないと金粉にされちゃうと思って焦った?
でもあれをシャドウ・モスの仲間の目だと判断したんなら、それこそ変身なんて一番見せちゃいけないことでは。
我々は「このままじゃレディバグもシャノワールも来ない」ってやばさが分かってるけど、二人にとっては別にいつも通り「レディバグ/シャノワールが来てくれるはず」って信じる状況じゃないのかなぁ?
という野暮なツッコミは言わないことにしときましょう。もう言ったけど。
とはいえ、シャノワールはともかくレディバグが金粉にされちゃったら積みなんですよね、きっと。
他のミラキュラスの力でなんとかしないといけなくなるんでしょう。
ヒーローと相容れないロマンス
すなわち「恋愛かヒーローかどっちかを取れ」ということ。
ここがミラキュラスっていうシリーズのエッセンスだとつくづく思います。
両立はできない。
マリネットとアドリアンの両片思い、アルヤとニノのラブラブ両想い、そしてガブリエル・アグレストの描き方がそれをよく表している。
このシリーズで描いている恋愛の在り方は、誰か特定の個人を最優先にするということ。
愛する人を何より大事にすることは、それ以外の人に危険が及びうるということ。
マリネットはこれをよく分かっているから、恋愛する自分を殺してレディバグであろうと努めています。
多くのアメコミでもそうですが、このシリーズのヒーローパワーは純然たる実力であって兵器です。
一方、セーラームーンとかサクラ大戦だと、ヒーローパワーは精神力であり愛のパワー。
後者なら恋愛することで強くなるって理屈が通りますが、前者では通りません。むしろ恋愛することで兵器を扱う判断力が鈍ってしまう。
表面的には少女マンガっぽい構造でありながら、決してセカイ系じゃない。
ここがミラキュラスっていうシリーズ独自のおもしろさなんじゃないかと思う次第です。
それゆえロマンスとしてハッピーエンドに持っていくのなら、マリネットの執着的な恋愛感情がもっと隣人愛的に成熟していてほしいなと思ってます。
ガブリエル、おまえもだぞ。
その他ポイントメモ
- パリの司会者ってアレクしかいないの?
- トイレに入っていくモスがおもしろすぎる。
- 大人しくうずくまってるアレクより、大人しくうずくまってるアレクに見られながらいつもの調子でやってるモスおもしろすぎる。
- トイレで仁王立ちしてるモスがおもしろすぎる。
- 普通にアレク本人に任せててもオードリーブチ切れてたかもよ。彼はクソ司会者だからね。
- マックスいつ金粉にされたんだっけ。ペガサスになってほしかったぜ。
- 人を金粉にする能力、よく考えるとこわい。
- 強敵でも二度目に出てきたら割とあっさり倒せるの法則。
- でもセンチモンスターで常日頃からあちこち監視する作戦は非常に有効だと思います。パリ狭いし。
- センチモンスターの名前は「オプティガミ(optigami)」。
“opt~”は「見る」って感じの意味で、形状的に「オリガミ」とのもじりっぽいですね。
今回の記事はここまで。
コメント
それとミラキュラスのヒーローってアメコミヒーローとは微妙に違う気がするんですよね。キャップとアイアンマン、スティーブとトニーは襲名こそあれイコールではあるんですがこのアニメの場合、変身者はウルトラマンみたいにヒーローのパワーとペルソナを降ろす存在のように思えます。
なるほど、確かにアメコミヒーローの多くとは違いますね。アメコミではパワーが変身者自身に宿っていて、ヒーロー像は後から付いてくる方が多い気がします。
ミラキュラスの変身の仕方はプリキュア系ですよね。ヒーローとしてのスーパーパワーがまず存在して、それが個々の変身者に割り当てられると。
だからごく一般人であっても、アイテムさえ身に付ければスーパーパワー付きのヒーローになれるし、それを取り上げることも容易。
…とすると改めて、マリネットが「もうヒーロー辞めちゃえ」を一度も考えたことがないってのはものすごい精神力だなと思いますね。
この頃からモス陣営とマリネット陣営との頭脳戦が苛烈になってきてますよね。この辺は本当に好きです。あと、ピーコックのミラキュラス、ぶっ壊れ性能ですよね。スパイや偽物、怪物の運用なんでもありで。トーマス監督によると人型のセンチモンスターは人間と変わらないらしいですし。あとこの頃からアクマの使い回しが目立ってきてちょっと寂しいです。なんか、悪い意味で日本の特撮的で。