フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第88話 センチバブラー(Sentibubbler)
アルヤにキツネのミラキュラスを預けたことは是か非か。
ストーリー
プロローグ
セザール家でランチをごちそうになるマリネット。
そこでアルヤはトリックスを自由にさせ、マリネットを「レディバグ」と呼び、シャドウモスまで家に招待する。
いつのまにかミラクルボックスは奪われ、レディバグの正体も知れわたってしまっていた!
……という悪夢に襲われ、マリネットは飛び起きた。
アルヤにキツネのミラキュラスを預けて本当に大丈夫なのか、心配でたまらない。
焦ったマリネットはパジャマのままセザール家に突入。
そこでは悪夢と同じように、アルヤとその家族、ニノがそろっている。
だがアルヤは当然ミラキュラスやクワミの秘密を守っており、家の中の事件といえば動物園から預かっていたタランチュラが逃げ出したくらい。
アルヤは自室でマリネットと二人になり、ミラキュラスもトリックスも肌身離さず隠しておくからとマリネットをなだめる。
センチモンスター登場
アルヤは家の電話が鳴り続けているのに気付き、リビングに戻るが家族もニノも見当たらない。
電話に出ると、受話器から聞こえてきたのはシャドウ・モスが「リナ・ルージュ」と呼ぶ声だった。
そこに姿を現したのは、バブラーにそっくりのセンチモンスター:センチバブラー。
センチモンスターはニノや家族、タランチュラ、そしてマリネットを泡に閉じ込め、上空に飛ばしてしまう。
アルヤのスマホもセンチバブラーの泡に捕らわれてしまい、マリネットとの連絡手段が断たれた。
残されたアルヤは電話でシャドウ・モスの指示を受けるしかない。
シャドウ・モスはどこかの屋根の上で身を隠し、アルヤの家の様子をうかがっている。
空に浮かべられたマリネットは変身することができない。
アルヤを心配しつつも、ティッキーに励まされ、親友とシャノワールがうまく対処してくれることを祈る。
ヒーロー登場
アドリアンは自室でニノとマリネットが泡に閉じ込められているニュースを見て、シャノワールに変身する。
シャドウ・モスは電話でアルヤにレディバグをおびき出す作戦を指示する。
レディバグがキツネのミラキュラスを渡しに来たら、センチバブラーの泡でレディバグを捕らえるということ。
アルヤはミラキュラスを受け取って変身し、幻を作ってシャノワールをだますということ。
3つのミラキュラスをシャドウ・モスに渡したら、引き換えに人質を解放するということ。
アルヤは聞き入れたふりをしながら策を練った。
トイレに行きたいと言ってけつまづき、テーブルに身を隠した一瞬でリナ・ルージュに変身。
自分の幻を作ってトイレに入りセンチバブラーに見張らせ、その隙に自室に身を隠す。
拾っておいたブドウでトリックスにエネルギー補給させ、再度変身。
シャノワールに連絡し、レディバグからの伝言として「センチバブラーにカタクリズムは使っちゃダメ。待機するように」と指示をする。
ミラージュで自分とレディバグの幻を作り出し、アルヤの家で落ち合わせる。
シャノワールは蚊帳の外に出されたのが不満で、つい屋上の壁をぶん殴って破壊する。
レディバグの幻を見かけると、待機などしていられず後を追いかけた。
泡の中のマリネットはレディバグの幻が動き出すのを見て安堵していた。
その後ろにシャノワールの姿を見つけると、泡を転がしてなんとか移動。
シャノワールに声をかけ、自分は一部始終を見ていた、リナ・ルージュが幻で悪者をだまそうとしているようだと説明した。
ヒーローの戦い
リナ・ルージュは自室に隠れたまま幻を操り、アルヤとレディバグの会話を演じる。
幻のレディバグはアルヤがシャドウ・モスに目を付けられていることを指摘し、もうミラキュラスは渡せないと告げる。
そして「新しい強力なミラキュラスを他の人に渡す」と言って立ち去って行った。
作戦と違う展開に一度は焦ったシャドウ・モスだが、「新しい強力なミラキュラス」につられて、レディバグを泳がせ後を付けることにする。
センチバブラーはシャノワールに足止めされ、シャドウ・モス自らレディバグを追いかけるが、幻を消されて見失ってしまう。
シャドウ・モスはセンチバブラーのもとに戻り、シャノワールを泡に閉じ込めさせることに成功。
シャノワールはカタクリズムで泡を破ったが、すぐにまた捕まえられてしまった。
リナ・ルージュは笛の通信機を使ってマリネットにメッセージを送り、泡に閉じ込められたマリネットの幻で本物の姿を隠してくれた。
マリネットは泡の中でレディバグに変身し、ラッキーチャームで手鍋を入手。
上空から敵の様子を眺め、シャドウ・モスの持つ紙コップがセンチモンスターの依り代だろうと推測。
馬のミラキュラスを取り出してユニファイし、ペガバグに変身。
一方、センチバブラーとシャドウ・モスはしびれを切らし、人質の泡を宇宙に送ってしまうとする。
ペガバグはシャドウ・モスの持つモスのミラキュラスが気になりつつも、センチモンスターを退けることを優先。
ボヤージュでシャドウ・モスの手元にテレポートし、紙コップを奪い取ってセンチバブラーを操ろうとする。
シャドウ・モスはセンチバブラーを消し去ると、落下する人質をレディバグとシャノワールが助けている隙に逃げて行った。
レディバグは落ちてきたタランチュラをひとまず手鍋に入れてセザール氏に預ける。
ケージを取りにセザール家に赴くと、リナ・ルージュに「心配する必要はなかった」とお礼を言った。
タランチュラをケージに戻し、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
エピローグ
マリネットはアルヤの部屋で事の経緯を聞く。
レディバグの幻に「もうアルヤにはミラキュラスを渡せない」と言わせたことで、シャドウ・モスがアルヤを狙う理由はなくなったと安堵するのだった。
一方のガブリエル・アグレストは、ミスのないレディバグに再び負けたことを激しく悔やむ。
病床のナタリーは、レディバグもいつかミスをするだろうとガブリエルに慰めの言葉をかけていた。
感想とメモ
アルヤは非常に頼りになる。終始こっちの作戦が滞りなく進む話でした。
モス、またしても失敗
前回に引き続き、アジトから外に出てきたシャドウ・モス。
弱みを握って3つのミラキュラスを一気に奪う作戦を立てたものの、結局はいつも通り失敗。
一度に色々やろうとしすぎなんじゃなかろうかと思いますよね。
とりあえずアルヤを捕まえてキツネのミラキュラスを奪えば確実だったろうに。
レディバグ「一度に全部は奪えそうにない」
ここがモスの作戦との違いだというのがよく分かります。
レディバグは状況に応じて優先度をつけ、着実に成果を上げることを第一にしている。
シャドウ・モスは相変わらず、レディバグとシャノワールのミラキュラスをまず狙う。
ついでに他のミラキュラスも手に入れば儲けものという感じ。
他のミラキュラスの力を使えば、少なくとも現状の膠着状態は打破できそうなのにね。ミラージュとかボヤージュとか恐ろしく強力なんだから。
そもそも本当の目的はエミリーのはずですが、モスはどうにも「レディバグとシャノワールのミラキュラス」以外の手段を探ろうとしないんですよね。
他のミラキュラスの力でそういうものありそうなのに。時間を戻すとか。
このへんはシャドウ・モスの意志がなにかしら悪に染まっている(=レディバグとシャノワールを倒す欲望が勝っている)ことを表してるんだろうと解釈してます。同じこと前にも書いた気がしますね。
センチモンスターの仕組み
センチモンスターは依り代を手にした人間の意のままに操れる1。
ただし操れるというだけで、アクマタイズみたいに視覚聴覚をジャックできるわけではないみたいですね。
だから前回も今回もモスさんわざわざお外に出てたし、「センチバブラー、どうなってる!?」って声もかけてたし。1。
完璧に操れるわけじゃないけど遠距離で指示できるアクマタイズとは、状況に応じて使い分けるのが正みたいですね。
しかし今回のモスはだいぶ危ない橋を渡ってたような。
やはり姿を見せるっていうだけでけっこうなリスクでありますね。
なお今回センチモンスターがバブラーの姿なのは特に意味なし。
ニノがアクマタイズされたって思わせるでもなし。単に大人の事情でしょう。
どうせならシャドウモスそっくりのセンチモンスターで良かったんじゃないって思うけども。
正体は明かせない
シャドウ・モスがリナ・ルージュたちの正体を知ってるってことを、レディバグとシャノワールは知らないんでした。知ってるのはわれわれ視聴者だけ。
としても、マリネットの心配はごもっともすぎます。
今回の件はまさにレディバグが常々言っている「身近な人が危険な目に遭うかも」というリスクの顕現でした。
シャドウ・モスが欲張り作戦で隙を作ってくれたおかげで事なきを得たが、単純に「家族を返してほしければミラキュラスを渡せ」って言われてたら抗うすべはなかったはず。
あるいは前回みたいにアルヤを見張るなり、偽物を作ったりするだけで、レディバグにミラキュラスを渡してもらえるかもしれない。
アルヤがレディバグの正体を知ってることがシャドウ・モスに知られちゃったらもう終わりですもの。
マリネットは「間違いじゃなかった」とおっしゃいますが、今回のシャドウ・モスの出方によっては間違いになってたかも。
まあともあれ結果オーライで、ひとまずアルヤはノーマークになることでしょう。
でもどうやってリナ・ルージュの正体がバレたのかをレディバグは気にした方がいいですよね。
レディバグの方も、そろそろシャドウ・モスの正体を探り出すために動いた方がいいなじゃなかろうかと思ってしまいます。今回セザール家皆殺しの危機一髪だったし。
また蚊帳の外のにゃんこ
例によって仲間外れにご不満のシャノワール。
レディバグの指示なら文句は言わないが、どこの馬の骨ともしれないヒーローに命令されるのは嫌みたいです。
カッとして建物破壊しちゃったり、センチバブラーにあっさり捕まっちゃったり、今回は残念ながらいいところなしでした。
というのもシャノワールはリナ・ルージュたちの正体知らなかったんですね。
ミラクルクイーン回であの現場を見てたのはシャドウ・モスとナタリー(クロエは……)だけで、一般に知られたわけではないと。
レディバグが秘密にしているのはやむをえないことなのですが。
秘密を守れるとか守れないとかの問題じゃなく、操られてしゃべらされることが現実的にありえるから。
シャノワールは秘密を共有することを親密さだととらえてるゆえの葛藤だってのは伝わります。
「好きな人に隠し事したくない」ってのはこのシリーズ全体的に見える若者たちの考え方でもあります。アルヤもニノもクラスメイトたちもみんな言ってる。
マスクドヒーローとしては厳しい感覚かもしれません。
その他ポイントメモ
- 窓から入るシャドウモスの絵面ときたら。
- 明るいところでまじまじ見るとシャドウモスのコスチュームって上品でクールですね。
どう見ても「悪の親玉ですよ~」って感じなのが親切。 - ノラがいつでもコスチューム着てるのおもしろい。私服はないのですか。
- ノラの頭身に目を奪われる。腰細いのに腹筋がバキバキ。
- トリックスはいたずらっこ。今回は大活躍でした。
- しっかり者のアルヤが「お姉ちゃん」って呼んでるとギャップがあってかわいいですね。
- シャドウモスの杖も通信機になる。普通の電話にもかけられるらしい。
- モスがドリンク持ってる。おもしろい。
- 幻に会話させるためには自分がしゃべらないといけないのか?
セリフを具体的にイメージするためにあえてやってるのかな。 - 演技派アルヤ。それっぽい言動ができる人じゃないと使いこなせないよね。
- 割とだまされやすいモスさん。人質を助けたいアルヤが「ミラキュラスは渡せない」って言われて全然うろたえないのは変だと思いますよねえ。
- ドリンクはセンチモンスターを作るのに利用したらしい。モスがセザール家に来る前にカフェに立ち寄ったわけではないらしい。
- アグレスト家でカフェに立ち寄りそうな人いないなあ。ボディガードさんくらいかな。
- タランチュラにはあんまり意味なし。あいくるしいだけ。
- 「タランチュラが逃げ出したくらいで特に事件はない」と評していいのか悩みました。でもタランチュラってイメージと違って大人しいらしいですよ。
- 「レディバグはミスをしないのか!?」
今回ナタリー絡んでないのにわざわざ病床のナタリーのところで落ち込むガブリエル。作戦の相談はしてたのかな。
今回の記事はここまで。
コメント
追いかけ視聴で今頃ですがこの話数まで来ました。
一話見るたびにこちらの感想や考察を読んで印象が深まるのをいつも楽しみにしています。時間ができたらぜひ続きの話の記事もお願いします。
>とりあえずアルヤを捕まえてキツネのミラキュラスを奪えば確実だったろうに。
シャドウ・モスは、前話ラストからアルヤが狐のミラキュラスを持っていることをまだ知らないゆえの今回の作戦なんだと思います。
リナルージュになるときはこれまで通りレディバグがミラキュラスを渡しに来るのだと思っていた、と。
あ、でも確かに今回の作戦のままでも、レディバグにこだわらず、(たとえ渡されるのであろうとすでに持っているのであろうと)狐のミラキュラスをこちらに渡せとかってアルヤを脅していればうまくいったのかも。
今回も言っていましたが、シャドウモスの「そんなー!!」という叫びが面白くて好きです。クールな悪者に徹しきれない愛嬌といいますか。
ありがとうございます!続きは気長にお待ちいただけると幸いです。
なんかモスってレディバグとシャノワールのミラキュラス以外にはそれほど興味なさそうなんですよね。
手段と目的が逆転してるような・・・とか考える余地は色々ありそうです(脚本の都合かもですが)。
モスのセリフところどころおもしろいですよね~。
英語の「Noooooo!!」だと普通な気がしますが日本語の「そんなー!!」はおもしろい。
そのおかげもあっていいキャラになってますよね。ついツッコミ入れちゃう。