フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第82話 ミスター・ピジョン72(Mr. Pigeon 72)
すごくキュートでいい話。シャノワールの出番はないけど。
ストーリー
プロローグ
学校は春休み。マリネットはアルヤと一緒に部屋にこもり、呪文の書を読み解いて、シャドウ・モスによるアクマタイズを防ぐ方法はないかと必死に研究していた。
シャドウ・モスは過去にアクマタイズした相手を再び狙う傾向があり、鳩好きのラミレスさんはもう71回もミスター・ピジョンに変身させられている。
アルヤは休もうとしないマリネットをなんとか気分転換させようと、「最近アドリアンとカガミがデートしてないみたい」とネタを提供する。
マリネットは喜ぶどころかカガミに同情し、ともあれ研究はアルヤに任せて久しぶりに外に出かけて行った。
カガミはいつものように公園で母親と剣道の稽古中。
そこにマリネットが乱入してきて、パンと引換にカガミを連れ去った。
カガミが断るのも聞かず、アドリアンが撮影をしているプールに行って仲直りさせようとする。
アクマ誕生
プールでは、悪徳芸能プロデューサーのボブ・ロスがガブリエルの新作フレグランスのCM作りを請け負っていた。
鳩を演出に使うことになっているが、安く済ませるために鳩好きおじさんラミエルを言いくるめて、そのへんの公園の鳩を集めさせていた。
マリネットはカガミがまだ恋心を抱いていると信じ込み、アドリアンの姿を見せようとプールを連れまわす。
カガミは無表情のまま、アドリアンに対してマリネットの言うような感情はわいてこないと訴えるが、マリネットはまるで聞く耳を持たない。
ラミエルさんは鳩を操って演技をさせようと努めるが、アドリアンがくしゃみをしてしまったり、乱入してきたマリネットに邪魔されたりしてうまくいかない。
タブレット越しに監督していたガブリエルがしびれを切らすと、ボブ・ロスは失敗をラミエルさんのせいにし、鳩を追放してやると怒鳴って追い返した。
落ち込むラミエルさんのもとに、変身したシャドウ・モスがアクマの蝶を放った。
アクマは鳩笛に宿り、ラミエルさんは例によってミスター・ピジョンにアクマタイズされた。
ピジョンの吹く笛の音で、パリ中の鳩が黒く染まる。
この黒い鳩に触れられた人間は鳩に変えられてしまう。
ヒーロー登場
マリネットは帰ろうとするカガミを必死に引き留めていた。
そこに黒い鳩が現れ、カガミやボブ・ロスを鳩に変えてしまう。
マリネットはなんとか隠れてレディバグに変身したものの、アドリアンはくしゃみした隙に鳩に変えられてしまった。
プラッグからシャノワールが来られないことを聞いて、レディバグはラッキーチャームでハンドドリルを入手し、作戦を立てる。
その頃、マリネットの部屋で調査を進めていたアルヤは、ニュースでアクマ発生を知る。
レディバグからの連絡を受けてリナ・ルージュに変身すると、ミラージュでレディバグとシャノワールの幻影を作り出した。
ヒーローの戦い
リナ・ルージュは幻影を操ってミスター・ピジョンをプールにおびき寄せた。
幻のレディバグとシャノワールは、追いつめられてミラキュラスを外し、プールに投げ込んで見せる。
ミスター・ピジョンが鳩の代わりにプールに飛び込もうとしたところに、プールの浮きにひそんでいたプラッグが飛び出して鳩笛を奪取。
更衣室にたてこもったレディバグはハンドドリルでドアに穴を開け、鳩笛を受け取って破壊。
ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
ラミエルさんのアクマタイズは解けたものの、レディバグはまた彼が狙われるかもしれないと心配する。
そこにリナ・ルージュがやって来て、「レディバグには物を作り出す能力がある」ことを思い出させてくれた。
レディバグは欲しいものを生み出そうと集中する。
髪が伸び、新たなコスチュームを身に着けたレディバグは、バグフォンの光の中から新たなアイテムを取り出した。
「マジカルチャーム」と名付けられたテントウムシ模様のチャームは、持っている人をマイナスの感情から守ることができる。
リナと二人で「やったね!」とフィストバンプし、一件落着。
エピローグ
プールからの帰り、外では雨が降っている。
マリネットはかつてアドリアンが貸してくれた傘を差し、車に乗り込むカガミを見送る。
カガミはマリネットのアドリアンへの想いを指摘し、「完璧なアドリアンはあなたにぴったり」と笑いかけてくれた。
マリネットは、アドリアンへの恋心が残っていることを自覚して戸惑ってしまう。
そこに、プールから出てきたアドリアンから声をかけられた。
マリネットは妙なことを口走りながらも、アドリアンに「一緒に歩いて帰らない?」と声をかけることができた。
アドリアンには予定があるからと断られたものの、笑顔で手を振り合って明日学校で会おうと挨拶する。
雨の中、幸せな気分のマリネットはティッキーと一緒に帰途につくのだった。
感想とメモ
ようやくマリネットが戻って来た!
ラストシーンのあの素直な笑顔がたまらないですね。
椅子の男アルヤ
前回アルヤに「私がレディバグなの」を打ち明けたところだが、今回アルヤは冒頭から当然のように一緒にいる。
詳しい事情説明シーンは省略するのがいさぎよい。
ずっと孤独だったレディバグにアルヤという相棒ができたっていうのがほんとに安心するよね。
主人公の相棒キャラってのは多くのシリーズにいるものだけど、レディバグを見るとそのありがたみがよく分かる。
今回は視野が狭くなっちゃってたレディバグを落ち着かせてくれて、直接的にもアクマを倒すのに手を貸してくれて、初心を思い出させてパワーアップもさせてくれた。
幻影ってほんと何でもできるから対人戦には最強だ。ボイリング島ではバカにされてるけどそんなことない。1 幻と言いながら音声も発せられるし。セリフは自分で考えないといけないからセンスは試されるが、そこはさすがのアルヤ。
関係ないけど「椅子の男(guy in the chair)」ってスパイダーマン映画のネッドが最初に言い出したのかな?
てっきりアメリカのサブカル用語だと思ってた。
レディバグの浸食
「アドリアンがカガミと別れたっぽい」と聞いたマリネット。
「それホント!?」に続く言葉が「カガミを元気付けに行かなきゃ!!」
こんなのアルヤじゃなくても正気を疑います。
レディバグの姿はマリネットのヒーロー精神を象徴してると考えれば分かりやすい。
マリネットが持つ一人の人間としての大いなる動機は、アドリアンへの恋心だった。デスペラーダ回みたいに、アドリアンを思うあまりヒーローとしての判断を間違えたこともあった。
ところがどっこい、今は「アドリアン」より先に「カガミを励まさないと」という人助け精神の方が自然と噴き出してしまってる。
自分の部屋でマリネットの姿ではなくレディバグの恰好をしてるように、心の中でも「マリネットとしての感情」が「ヒーローとしての正しさ」に上塗りされてしまってるようだ。
前回は自分が負った責任に押しつぶされそうになってたけど、なまじアルヤに打ち明けたことによって精神的負担が軽くなった。
おかげで再び、滅私奉公に精を出せるようになっちゃったんだよね。ちっとも楽にはならないね。
カガミとマリネット
カガミは終始クールな顔を保っていて、本当にアドリアンに対して未練も変な恨みも抱いてない様子。
一方のマリネットの方は、口ではもう好きじゃないとか言いつつアドリアンへの恋心をなくしてなどいない。
自分が抱いてる思いをカガミに投影して、妙な行動力を発揮して、コントみたいになっちゃった。おもしろかったです。
マリネットのこの迷走をカガミはちゃーんと察してくれていた。
最後の言葉は、マリネットが自分の気持ちから目をそむけてることを理解した上で、それに向き合うチャンスを与えてくれたってこと。
カガミはとっつきにくいだけでいい子なんですよね。誰ですかカガミが嫌いとか言うやつは。誰か嫌いたければクロエお嬢様にしておきなさい。
あんなにぎくしゃくしてたカガミとマリネットがすっかり気の置けない友達になってるのがほんと微笑ましい。
ミスター・ピジョン72
タイトルがもうおもしろい。
でも確かに、「一度アクマタイズした相手を再び狙う」っていうシャドウ・モスの傾向に間違いはないだろう。
相手の考え方を分かってて操りやすいだろうし、アクマとしての姿とか能力とかもだいたいデザイン済みだし。
マイナスの感情に捕らわれやすいっていう性格特性もあるのかな……とか言い出すと変な話になりそう。
「アクマタイズされるような心の弱いやつ」みたいなレッテル貼られて、就職面接で不利になったりしないだろうか。
でも面接官もアクマタイズ済みかもな。パリ市民だいたいアクマタイズ済みの可能性すらある。
ラミエルさんのかしこい愛鳩の名前はエドガー。実にかしこい。
最初のミスター・ピジョンはただ鳩を操るだけの能力だったけど、今回は触れただけで相手を鳩にするというとんでもない追加効果が。
でもレディバグとシャノワールを鳩にしちゃったらシャドウ・モス、詰みでは?
新たなコスチューム
新アイテム「マジカルチャーム」は、アクマタイズを防ぐことができるらしい。
物を作り出すレディバグの能力のたまもの。
確かに、アルヤに言われるまで忘れてたがレディバグは創造という神様みたいな力を司ってるんだった。
アクマ発生のチャンスが減るってことは、パリ市民の平和が増えるってことでもあり、ヒーローたちの負担が減るってことでもある。
それにともない、レディバグの見た目がマイナーチェンジ。
髪が控えめに伸びて、コスチュームもオリエンタルなアレンジが加わった。
スーパーフォームを入手したというより、レディバグの地道な成長を表してるって感じ。
フォームチェンジといえば、属性変身薬の残りも早く使って見せてほしいですね。
おかえりマリネット
マリネットはアドリアンに傘を借りてた。
これはストーンハート回で、マリネットがアドリアンに恋をしたきっかけの傘なんだよね。
アドリアンへの恋を忘れようとしていたマリネットが、彼を好きだと改めて思い直すシーンでこの傘が出てくるってのがいい演出。
70話も返さずに持ち歩いてたってのがマリネットらしい。
シーズン4になってから、レディバグとしての責任を負うあまりマリネットの姿を捨てかけてた。
でも今回の話で自分が一人の人間だってことを思い出せたんじゃないかな。
それもこれも、マリネットのことを理解して背中を押してくれたアルヤとカガミのおかげ。
一緒に傘差して帰らないかって誘うとき、マリネットはちゃんと人語を話せてたよね。一歩前進だ。
その他ポイントメモ
- レディバグのまま部屋で研究に没頭するマリネット。いつでも出動できるようにかな。精神だいじょうぶかな。
- アルヤおばあちゃんの名言「人生とは嵐が去るのを待つより雨の中のダンスを学ぶこと」
- フランスは4月に春休みがあるらしい。イースター休み的な。
- パリは4月からプールに遊びに行くのか。
- またパジャマで出かけようとするマリネット。
- カガミ「スケジュールを暗記してるの?」
おかえりマリネット。 - 真顔で引きずられてくカガミかわいい。
- プールバッグにいっぱいのチーズ。プラッグが幸せならそれでいいか。
- いいように使われるウェイムくん。
- 例によってアドリアンの等身大パネルを持ち歩くウェイムくん。
- アドリアンとどこに不意に遭遇しても大丈夫セットを持ち歩くマリネット。
- 水着姿は初めてだっけ。マリネットは二着持ち歩いてるらしい。
- アドリアンはハトアレルギー。撮影用のハトなら大丈夫なのか。
- カガミを持ち運ぶマリネット。
- 「言われたこともまともにできない間抜けなトリ」
よく見るとおもしろいセリフ。 - ボブ・ロスは撮影に協力すれば市長に口利きしてハトを保護してやるとかなんとか言ったらしい。
ボブはもちろん、市長もとても信用できないのにねぇ。 - プラッグがカタクリズムで破壊するかと思いきや、奪うだけだった。
いたずらにクワミに能力を使わせちゃいけないって分かってるのがさすがガーディアン。 - アドリアン「レディバグって本当にミラキュラスだよね」
おっしゃる通りです。
今回の記事はここまで。
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