フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第76話 レディバグ(Ladybug)
筋書きが果てしなく雑だけど色々な発見のある回。でも雑だなぁ。
ストーリー
プロローグ
リラは私怨&ガブリエルの指示により、マリネットの社会的信頼を失墜させる計画を実行する。
- テストの答えを盗んでマリネットのカバンに入れ、バスティエ先生に密告して持ち物検査をさせ、マリネットがカンニングしたように思わせる。
- 階段下に寝転がってケガをしたと騒ぎ立て、マリネットが突き落としたように思わせる。
- 自分のネックレスをマリネットのロッカーに仕込んでみんなの前で開けさせ、マリネットが盗んだように思わせる。
これらをすべてうのみにしたダモクレス校長は、マリネットに退学処分を言い渡した。
アクマ誕生
みんなの人気者マリネットの裏切りで、先生にも友達にもマイナスの感情が生まれた。
これを狙っていたホーク・モスはナタリーをカタリストにアクマタイズし、自分を再びスカーレット・モスにパワーアップさせる。
そして何体ものアクマの蝶を放ち、マリネットたちをアクマタイズしようとした。
ポシェットにアクマが宿ったマリネットは「レディバグのミラキュラスを持ってこい」というホーク・モスの指示に従い、自らのイヤリングを外そうと手をかけた。
だが危ないところでホーク・モスの支配から逃れることができた。
カタリストとなったナタリーが咳込んで倒れたせいだ。
ガブリエルはナタリーの体調を慮って変身を解き、もうカタリストにもマユラにもならなくていいと言ってピーコックのミラキュラスを外させた。
正気を取り戻したマリネットは、リラの策略に負けまいと改めて決意する。
アルヤはマリネットの無実を信じて捜査を行ってくれたが、マリネットを陥れた犯人の痕跡は出てこない。
退学になったマリネットはパパのパン屋を手伝わされることに。
アモク誕生
ナタリーは弱りながらも、ガブリエルのために役に立ちたい一心でこっそりピーコックのミラキュラスを持ち出した。
ガブリエルに見つからないよう下水道でマユラに変身すると、エッフェル塔のキーホルダーにアモクを宿らせる。
そしてこれまでになく精巧なレディバグそっくりのセンチモンスターを生み出した。
センチモンスターとマユラが戦っている様子をニュースで見たアドリアンは、本物のレディバグだと思い込みシャノワールに変身して駆けつける。
マリネットもニュースを見て、マユラが生み出したセンチモンスターだろうと悟り出動しようとするが、パパをごまかすのに一苦労。
センチモンスターはマユラの指示を受けて負傷したふりをし、シャノワールを甘い言葉で油断させてミラキュラスを奪おうとする。
すんでのところで本物のレディバグが割って入り、シャノワールの唇もミラキュラスも無事で済んだ。
ヒーローの戦い
シャノワールは甘い言葉をかけてくるレディバグの方を本物だと思ってしまう。
レディバグは憤慨しながらも、カタクリズムでミラキュラスを破壊してみればいいと言ってマユラをおびき出し、自分が本物だと証明した。
マユラに指示されたセンチモンスターは、センチチャーム(なにそれ)ででっかい銃を入手。
負けじとレディバグもラッキーチャームでフォークを手にした。
その頃、ねんねしていたガブリエルが目を覚まし、ニュースでマユラが戦っていることを知る。
レディバグはフォークで天井の窓ガラスをひっかいて嫌な音を出し、マユラが取り落としたキーホルダーを拾う。
壊してアモクを浄化しようとしたものの、あまりにモンスターらしくないセンチモンスターの姿を見て考えなおし、キーホルダーをセンチモンスター本人に渡した。
センチモンスターを操れるのは、アモクの宿るモノを手にした人。自由を与えられたセンチモンスターは、レディバグに協力することに。
3対1でマユラを追いつめたと思われたが、マユラは自らアモクを取り出しセンチモンスターを消し去った。
さらにホーク・モスが姿を現し、シャノワールと格闘して押さえ込んでしまう。シャノワールはミラキュラスを奪われまいとカタクリズムで手を守った。
レディバグもマユラをヨーヨーで拘束し、お互い人質を取った状況に。
ホーク・モスがシャノワールを、レディバグがマユラを屋上から同時に投げ出し、二人とも互いのパートナーを救うことを選んだ。
ホーク・モスはマユラを連れて撤退し、戦いはひとまず終了。
エピローグ
アドリアンがいつものように撮影現場に行くと、カメラマンを丸め込んだらしいリラが新たなモデルとして待っていた。
リラの嘘を悟っていたアドリアンは「知らんぷりしてあげるからマリネットの濡れ衣をとくように」と取引を持ち掛ける。
悪い話ではないと思ったらしいリラは、「珍しい病気のせいで妄言を吐くことがある」と校長先生をだまし、マリネットが無実であると認めた。
退学処分を撤回してもらったマリネットもつい、リラにまともなところがあると信じてしまう。
だがリラがアドリアンと仲良くモデルとしてテレビ出演しているのを見て、開いた口が塞がらないのだった。
感想とメモ
駆け足展開だからまだ見ていられるって感じ。
でもさすがに脇のキャラクターたちをバカにしすぎじゃないか?
悪いのはリラじゃなくて……
納得のいく理由付けを怠っているストーリーライターさんに責任があると思います。
だって誰一人マリネットの言い分を聞こうとしないし、リラの証言を「なんで知ってるんだ」って追及するどころか疑おうとすらしないし、そんな状況で退学というとんでもない処分が下されても誰も疑問を呈さない。
とりわけパパとママの言動が最悪である。これまでのパパとママならマリネットを信じるし、おかしいと思ったらハッキリ言うはず。あの格好いいパパとママはどこへ行った。
こういう脚本の都合でキャラクターをアホにするのってすごく好きじゃないのだ。
キャラクターをアホにして主人公をほめそやさせれば「俺TUEEEEE」だと嫌われるが、キャラクターをアホにして主人公を理不尽に目に遭わせるのは普通に不愉快じゃないか。
これまでのエピソードでも割とそういうところはあったけど、今回はひどいもんだ。
リラの有能さが全然見えないってのも悪い。
せめてオニチャン回のときくらい、相手が「つい信じてしまう」「つい従ってしまう」ような狡猾な立ち回りをしてくれれば納得できるし、ヒールとしての魅力も感じられる。
でも今回はただ口先から出しただけのことを全員が無条件で信じちゃってるから、「リラが手ごわい相手」ってより「脚本がご都合」っていう印象の方が圧倒的に強くなっちゃってる。
リラが実はサイキックで人を洗脳できる、って設定であればまだマシなんだけどなぁ。
キャラクターをアホにしなくても筋が通るようにしてほしいものです。
でもアドリアンだけは
最後のアドリアン、あまりにもオトナだ。
シャノワールのときは頭脳プレイのズの字も持ってないくせに、アドリアンとして落ち着いてるとすごく賢い。
マリネットみたいにストレートにリラを問い詰めるんじゃなく、最低限の結果を求めて交渉を図った。
ガブリエルと親子だなって感じ。
ナタリーの変身
今回のガブリエルは、みんなの人気者マリネットの評判を落とすことで、マリネット本人のみならず周りの人間もまとめてアクマタイズしようとしていた。
そのために力を借りるべくはカタリスト。
考えてみれば確かに、ナタリーをアクマタイズすることにはコストもリスクもないよな。
これまでカタリストにしなかったのには理由があるのかな。
アクマタイズされた人が体力を消耗したって例はこれまで見たことないし、マユラに変身させるよりよっぽどいい策なのでは。
スカーレット・モスになる方がエネルギーを使うのかもしれないけど。
でもカタリストに限った話じゃないよね。
ホーク・モスに従う保証のないその辺の一般人を使うより、ナタリーに出動してもらった方がよっぽど安定感がある気がする。
まあ、しょうがないか。
そもそもピーコックのミラキュラスのせいでナタリーは弱ってて、毎日アクマになれるほどの元気はないって感じだろう。
ところでピーコックのクワミちゃんドゥーズーはかわいらしい。
紺かと思ってたが、下水道の灯りの下で見るともっと淡いブルーだった。
ミラキュラスが壊れてることがこの子に影響してるのかどうかは分からない。一切話題に出さないのが逆に不気味。
ガブリエルとナタリー
ナタリーが倒れると急に優しくなるガブリエル。
今回あたかも「いつもダメって言ってるのにナタリーが勝手に使う」みたいな言い方をしてたけど、そんなことないだろ、あんた普通に使わせてたじゃないか。
どうもガブリエルにもナタリーにもヴィランスイッチがあるように思える。
普段はアドリアンやお互いに優しい顔を見せるのに、ときどき邪悪な顔になってアクマを生み出すことを優先してる気がするのだ。
いや……この「お互いに優しい」ってことと、「人を平気でアクマタイズして操る」ことは必ずしも矛盾しないのか。
そもそもホーク・モスの目的だって、愛する人を取り戻すことなんだから。
だからいくらガブリエルやナタリーが家族に優しいからって、「悪党じゃない」と思うことはできないんだよね。
でもレディバグとシャノワールはそう思っちゃいそう。今回も、ホーク・モスがマユラのことを大切にしてるって気づくことはできたはず。
シャノワールは「お前こそモンスターだ!」ってホーク・モスに言ってたが……。
生命を生み出すマユラ
マユラのアモクっていうのは宿ったオブジェクトから自動生成されるばかりじゃなく、マユラが制御して生み出すことができるらしい。
思ったよりすごい力だった。
レディバグの創造する力とはちょっと方向性が違うことになる。
センチモンスターは持ち主の指示に従うものの、アクマタイズを受け入れるような感情があり、指示を判断する意思もある。
これを「人格がある」と表現してしまうと、今回レディバグとシャノワールが気にしたような議論が生まれてくるんだね。
「誰かにそっくりな人物を創造できる」っていうのは、ホーク・モスにとって色々と利用の余地がありそう。
もうマユラにはしないとか言ってるけど、分かったもんじゃない。
とりえあず、ガブリエルは「本物のエミリー」じゃないと受け入れないだろうけど。
ところで、マリネットの方は今回のようなアモクが存在しうると最初から知ってたらしい。
他のミラキュラスの効果も全部把握してるし、勉強したんだろうな。
学校の成績がいいのも不思議じゃない。
また偽レディバグ
偽レディバグでシャノワールを油断させる作戦はあまりにも有効。
さすがナタリー、シャノワールの恋心を知って利用にかかったのだ(マリネットの濡れ衣騒ぎとはなんの関係もなかった)。
シャノワールとしてはせっかく好きって言ってもらっちゃったら、それを「偽物だ」って退けるのは大変なんだよね。
だまされちゃうというより、好きって言ってくれるのを本物だと「思いたい」のかもしれない。
蝋人形のときは匂いのせいで偽物だって気づいてたな。
「ちょっと、なんでだまされるの!?」
視聴者全員ずっと思ってたよ。
「見た目だけで判断しない方がいい」
今回のキーワード。
英語だと「Things aren’t always what they seem to be at first sight(物事は一見した通りであるとは限らない)」
無実の罪を着せられたマリネットは明らかにこの教訓を与えた側だったんだが、なぜか「リラが悪者だと決めつけてしまっていた」自分への教訓だと受け取ったらしい。
最後のリラの証言はどう考えても善意からじゃないだろ、と思うんですけど。
相手がクロエだったらマリネットも「絶対なにか企んでるよ!」と言い出しそうなところだが、退学というとんでもない事態を免れて安心しちゃったのかな。
自分としては、これはクロエお嬢様のための言葉だと信じて疑わない。
その他ポイントメモ
- この話の時系列はいつなんだろう。
- バスティエ先生、ゾンビズーの時はやっぱり補正かかってたな。
- オウルさぁ……。
- ジュレカ、カタリスト回のときはアクマを退けてたけど、それはマリネットから勇気をもらってたからかもね。マリネットに裏切られたと思うとそうはいかなかったんだろう。
- クロエお嬢様がサブリナを守ってた!!
- レディバグそっくりの生き物が登場するってことは、マリネットとレディバグが同時に存在することでアリバイができるんだろうと予想してしまいました。違いました。
- ねんねガブリエル。
- オウルさぁ……。
今回の記事はここまで。
コメント
せっかく無実を証明するパートが生まれたのにアドリアンのお助けでなんとかなったのは普通につまらないですよね。マユラがレディバグを産み出す下りとも繋がっていないですし。
あと、リラは根本的なコミュ力もめちゃくちゃ高いですよね。オニチャンの時も思ったんですけれど相手を誘導したり相手の機微を読んで的確な言葉をかけるのが上手い。なぜか正直に言って偉いって雰囲気になっていましたけれど。(あと、特別な病気というのは彼女の唯一の真実だと思います。皮肉ですが。)
ヴェリティクイーンとプリンセスジャスティスはいつか見てみたいです。真実と正義の名を持つアクマ。
日常パートとヒーローパートがいまいち噛み合ってない感じが残念でしたね。テーマがとっちらかっていると言いますか。
リラに関わる虚実と正義の話にするか、レディバグそっくりで人格をもったアモクの話にするか、どちらかに寄せてたらもっとおもしろくなった気がします。
リラって嫌な女ですけど、全部「悪意を自覚してやってる」ってところでクロエともガブリエルとも違うヴィランらしさを持ってますよね。秩序型サイコキラーの素養がある。
シーズン4でめっきり出番が減っちゃったのは、やはり人気がないってことなんでしょうかね~。