イケメンモードのロキがとうとうマーベル・パズルクエスト*1のキャラに追加されました。イケメンじゃない方を頑なに守り続けてきたMPQには好感を持っていたのですが、おそらくプレイヤーの要望を抑えきれなくなったのでしょう。
d3GO!さんから画像いただきました。イケメンじゃない方はもらえませんでした*2。
何となくシャクですが*3、せっかくなのでロキというキャラクターについて取り上げることにします。
Loki:いたずらの神ロキ
基本情報
ロキはマーベルの中でも北欧神話にルーツを持つキャラクターの一人です。
人間の住む地球とは異なる神の国アスガルドの出身で、いたずらの神との通称通り、アスガルドやその他の国であれこれと騒ぎを起こすのを身上とする自他ともに認めるトリックスターです。
根っから残虐非道な悪人というわけではなく、近年ヒーロー寄りの活動も多いのですが、キャラクターとしてはヴィランとして扱われることがほとんどです。
アベンジャーズの映画や日本アニメのディスクウォーズ・アベンジャーズにメインヴィランとして登場していたことから、日本での知名度は高い方なんじゃないでしょうか(詳しくは後述)。
マーベルデータベースからの情報はこんな感じ。
ロキ(Loki)
- 性別:男
- 身長:6フィート4インチ(≒193cm)
- 体重:525ポンド(≒238kg)
- 瞳 :グリーン
- 髪 :ブラックグレー
- 能力:超人的な肉体&寿命
様々な魔術(飛行、テレパシー、幻覚、催眠、変身、
次元間移動、エネルギーブラスト等)
オリジン
もともといたずら好きな性格だったロキですが、複雑な家庭環境中でひねくれてしまい、野心が増大したあげくに悪の道へと進んでしまいます。
ロキは氷の巨人族の王、ローフェイの息子として生まれました。
生まれつき体が小さかったせいで、お父さんからは蔑まれ殴られるばかりの日々。いつかこんなろくでもない生活から這い上がってやる、と子供ながらに野心を抱きながら育ちます。
あるときローフェイはアスガルドの王オーディンに独りで戦いを挑み、敗れてしまいます。それを見ていたロキは”思わず父親の亡骸に駆け寄り”、”敵のオーディンに勇敢にも刃を向け”ました。オーディンは父を亡くした幼い巨人の子供を引き取り、自分の息子として育てることに決めます。
こうしてロキはオーディンの息子、すなわちアスガルドの王子となったのです*4。
順調な成り上がりの一歩かと思われたのですが、彼にとっての目の上のたんこぶが兄である雷神ソーでした。
第一王子のソーは華やかな金髪にたくましい体躯を誇る優秀な戦士で、父オーディンやアスガルドの民たちから愛され認められていました。
ロキはそれに比べたら陰の存在。魔術に長けた頭脳派ではあるのですが、軍功を尊ぶマッチョな文化ゆえに皆からは認められず、ソーに対して嫉妬と対抗心を抱かずにはいられませんでした*5。
そして王位継承者として選ばれるのも当然、オーディンの実の息子であるソー。
ふんもういいよ、俺は自分の力で王になってやる!
頭空っぽなソーなんかより俺の方がアスガルドの王にふさわしいんだもんね!
というわけでいつしか本格的にひねくれてしまったロキは、今日も今日とてソーをハメて自分がのしあがるチャンスを狙っているのです。
ビジュアル
ロキと言えば二本の角。
金色のヘルメットからにょきりと伸びる金色の角がロキの象徴で、四六時中こんなものをつけている彼の首はやはり神様ならではの強靱さを誇っていると言えます。
イメージカラーはグリーン*6で、クラシックなロキは鱗のある全身スーツにふわふわの毛皮がお気に入り。毛皮似合うよね。
ロキの本来の出自である氷の巨人族はブルーの肌が特徴で、アスガルド人とは異なる見た目をしています。幼少期のロキも青白い肌の巨人族っぽい外見でした。
オーディンが彼を引き取った際に、魔法によってアスガルド人と同じ見た目に変えたものとされています。瞳はもともとキレイなグリーンでした。
ソーは服飾に無頓着な印象がありますが(自前の筋肉があれば充分なようです)、ロキは美意識が高くけっこうなおしゃれさん。黒い爪がよく似合っています*7。映画でも地球に降り立つロキは毎度毎度おしゃれなスーツ姿でした。
「クラシックなロキ」と述べましたが、ロキは近年色んなイメージチェンジを繰り返すものでビジュアルがいっぱいあるのが困りものです。
女体ロキ、キッドロキ、青年ロキと色々いますが、角付きグリーンというモチーフだけはほとんど同じです。
能力
特技は魔術、人を騙すこと、丸め込むこと。
魔術は色々できるようですが、幻覚を見せたり姿を変えたりと言った精神支配系を得意としています。
魂と肉体を入れ替えるとか、過去にさかのぼって歴史に干渉するとか、「いたずら」では済まない大仰な魔術も使いこなします。
魔術を封じたとしても、口先で人をかどわかし自分の思うとおりに動かすという厄介な能力が残ります。
ロキを大人しくさせておこうと思ったら口も塞いでおくのが賢明でしょう。
一応アスガルド人の神様なので、細身に見えてもその肉体は強靱。
人間なら死ぬような衝撃*8にも平気で耐えられます。
頭脳派ではありますが、それなりに近接戦闘や銃器の扱いもできたりします*9。
ソーと同じように戦士としての訓練も受けてきたのでしょう。本当です。
ヴィランとしてのロキ
ロキは何企んでるか分かったもんじゃない。
ロキの言うことなんか嘘に決まってる。
ロキに対する決まり文句といえばこういうの。
口がうまく嘘つきのロキは、自分の策略のために人を操って利用するのが基本スタイルです。
レッドスカル*10。やドクタードゥーム*11といった組織のボスとして表に立つヴィランに対して、ロキはボスの陰からこっそり手を回すジョーカー的な存在となることが多いです*12。
そもそもアベンジャーズというチームが発足したのも、ロキの嘘が発端でした。
地球で活動するソーをなんとかやりこめてやろうと企むロキは、緑の巨人ハルクの暴走を利用して、ヒーロー気取りのソーをおびき出そうとしたのです。
結局は他のヒーローたちまで団結させアベンジャーズというチームができてしまう結果に終わったのですが、その後もロキはソーを倒し自分が神も人間も支配してやろうと、あの手この手で狙い続けることになります。
ヒーローとしてのロキ
ロキはいたずらの神ですが、本来邪神ではありません。
人間に災いをもたらしてやること自体が喜びというわけではなく、彼の働く悪事や奸計はあくまで自身が支配者にならんとする野心、または自分をバカにした奴らを見返してやろうという復讐心から出たものです。
ゆえに自分の行いによって世界の破滅の危機を招いたとあれば、素直に後悔し、己の命を捧げて報いたこともありました*13。
その後転生を繰り返すロキは、昔の邪悪だった自分と決別し、ヒーローとして新たな人生を歩み始めています。見た目もスタイルズスタイリッシュになって女性人気も爆上がりでしょうね、はい。
気になる方は邦訳もされているコミック「エージェント・オブ・アスガルド」を読んであげましょう。
- 作者: アル・エウィング,リー・ガルベット,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2017/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
※画像はAmazonへのリンク
MCUロキの功績:人気キャラへの道
クラシックなロキはいかにも人相の悪い壮年の男性でしたが、アベンジャーズにつながるマイティ・ソーの映画(MCU:Marvel Cinematic Universe)によってそのイメージはガラリと変わります。
主人公ソーに合わせて青年のいでたちとなり、マッチョで豪快なソーと対照的にスレンダーで繊細な美男子に。
さらに悪役のくせにどうにも詰めが甘く、ソーに対しては憎悪ばかりでなく微妙な愛情も覗かせ、本当はヒーローの仲間になりたいのかもと疑わせる。
こんな複雑な性格と愛嬌がやけにハマり、ロキというキャラクター自体のイメージがこちらに引っ張られていきます。
このイメージチェンジと人気度アップの結果が、
- ヒーローとしての転生(前述)
- ヴィラン時の「ギャグ要素」(後述)
につながっていきます。
ロキ:笑いの神
青年神となったロキは、「愉快な悪者」としてのイメージがやたらと膨らんでいきます。
マイティ・ソーとアベンジャーズの映画において、かっこつけて角付きヘルメットを愛用したり分身したりコスプレしたり調子に乗って失敗したりハルクにびったんびったんされたりするシュールな姿を見せつけられた我々は、ロキって面白いということに気づいてしまいます。
日本のアニメ「ディスクウォーズ・アベンジャーズ*14」での、ロキ公式笑いの神認定事件はまさにこれ。
このアニメ全体的にロキが安定しておもしろく、人気投票ヴィランの部ではもちろんダントツトップでした*15。
後続アニメの「フューチャー・アベンジャーズ*16」でも、出番は減り美形度は増した割におもしろ度は衰えていません。放送開始した第二シーズンも期待できますね。
さらにさらにこちらは海外アニメの「アルティメット・スパイダーマン*17」における、スパイディロキ入れ替わり回はまさに神級のおもしろさです。「入れ替わり」で想像つくかと思いますが、声優さんの偉大さが改めて分かります。
こういったメディアミックスでギャグ担当なイメージがどんどん再生産されていき、今やロキが登場すれば「あ、ロキ出たwwwwww」とみんなが笑顔を浮かべることでしょう。
ソーとの関係
義兄ソーとの関係は語らずにはおけません。
前述の通り、ロキはソーに対して色々と複雑な思いを抱いています。
基本的には自分が栄光を得るための邪魔者で疎ましい存在なのですが、兄弟として育ったことも事実。少年時代は仲良く狩りや冒険を楽しんでいました。
ソーの方は昔からロキのことが嫌いだったわけではありません。自信家で傲慢なところのある王子様はロキのことをバカにすることもあったのでしょうが、デリカシーがないだけで悪気はなかったと思われます。
とはいえ背後から刺すような真似を何度もされては、いくらソーでも学習します。
たいていの世界のソーは、ヴィランとしてのロキを自明のものとして「敵」とみなしつつ、「弟」という絆も忘れてはいないようです。
ロキの方はどうかというと、たいがいは「ソーのバーカ、俺の方が王にふさわしい!」という露骨な態度をとっています。
が、この憎悪という執着は愛情や尊敬の裏返しでもある。ソーを倒したいという願望は、ソーに認められたいという意味も含んでいるのです。
実際、いざソーを手に掛けられるとなると、躊躇せずにはいられないロキ。
その辺の葛藤が切々と描かれているのが、邦訳もされている「ブラッド・ブラザーズ」のミニシリーズ。
- 作者: ロバート・ロディ,エサッド・リビッチ,中沢俊介
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2016/05/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
※画像はAmazonへのリンク
これはロキが戦に勝利し、ソーを捕らえて投獄した場面から始まるお話です。
とうとうアスガルドの王となったロキには予想以上の重責がのしかかり、王としてどうあるべきかを自分の人生を振り返りながら悩むロキ。
そして決断を下したものの・・・・・・あ、ちょっと遅かったというオチがつきます。
絵画のように重厚で緻密な絵柄で、ロキのデザインはクラシックなもの。
単純な邪神におさまらないロキの繊細で複雑な心象が描かれた、ロキを理解する上では必読の書かもしれません。
上述の、子ロキがオーディンに拾われたときの話も掲載されています*18。
いずれにせよ二人には仲良くしていてほしいものです。
ロキがなんかしたら、兄上止めに行ってあげてよね。
今後の裏切りは?
何かとキャラクターや読者の予想を裏切った斜め上の展開を得意とするロキ。
まだまだ何をしでかすか分からないポテンシャルがありまくりです。
ヒーロー転向(イケメン転向)叶っておいしいかもしれませんが、正史以外ではお調子者のヴィランとして引き続き活躍してくれたまえ。
もこもこの毛皮つけた鷲鼻ロキの悪巧みも時には見せてほしいと思う私ですが、エージェントオブアスガルドの続きには出てきてくれるのかな・・・・・・?
とりあえず、コミックを読んで勉強しないと。
今回の記事はここまで。
*1:MPQ:私のお気に入りアプリゲーム
*2:でもこっちも「カッコイイ」という方面に持って行こうとしているキャラデザインではないように思えますね。実に好感が持てる
*3:私はロキのことは好きですが、あまり表だっては喜びません。デッドプールもそうですが、ロキってキャラクター的には「疎まれてなんぼ」なんですよね。そういうキャラは自然とぞんざいな扱いをしてしまいます。
*4:これら一連のローフェイ、オーディン、子ロキの行動は、大人になったロキが過去に戻ってそれぞれを唆した結果であるということが明らかになっています。タイムパラドックスじゃね?と思うのですが科学じゃなくて神様の魔法なのでいいのです
*5:マイティ・ソーの映画などでは、ロキが自分が継子であるとは気付いていませんでした。後になって知る方がきっとショックだよね。だからソーばっかりひいきされてたんだって思うよね。
*6:ソーは赤です。「兄は赤、弟は緑」なのは日本の人気キャラとおんなじですね。
*7:幼少期も黒かったのでマニキュアじゃなく自前かも
*8:緑の巨人に地面に叩きつけられるとか
*9:本当です。人間の子供に押し負けてたこともあるとか言わんといてあげて。
*10:秘密組織ヒドラのボスで、キャプテンアメリカの宿敵。なんだかんだの手段を用いてキャプテンアメリカと同じように長いこと一線で活動し続けています
*11:ラトベリア王国の君主である悪魔博士。魔術と科学双方に長け、自前のロボット軍隊を組んで世界の覇権を狙っている
*12:とはいえクラシックなロキは軍隊を抱えており、部下には案外優しい一面を見せることもありました。
*13:「シージ」シリーズでの出来事。ソーもロキの犠牲に涙し、ロキを殺したヴォイドを自らの手で葬った際は憂いと誇りの混じったような清らかな表情を浮かべておいででした。
*14:キッズ達に地上派でマーベルヒーローの活躍を見せるすばらしい企画のアニメ。ヒーローでポケモンバトルする設定ゆえに登場ヒーロー・ヴィランも多岐にわたり、ロキやデッドプールのネット上での人気を上げた戦犯でもあります。ちなみにロキの瞳の色はなぜかオレンジ。
*15:特典の壁紙は真面目な悪者っぽくてかっこよかったです。
*16:こちらは無料BSチャンネルのDLifeで放送中。ディズニー系列のためか、X-Menの出番は今のところ確認できず。ディスクウォーズのキャストを使うものの設定やキャラクターは一新し、新たなストーリーとなっています。
*17:高校生スパイディが究極のヒーローを目指してS.H.I.E.L.D.で仲間と学ぶ、テンポマックス密度ギッシリのアニメ。もう終わってしまっていますが、かまわず全話感想を書きたいです。
*18:別シリーズの一部を切り取って掲載しているのでだいぶ唐突なのですが、原書がそうなっているから仕方ない。
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