フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第42話 キャプテン・ハードロック(Captain Hardrock)
セーヌ川を下りながら音楽祭を楽しもう。
マリネットの恋にも新たな要素が……?
ストーリー
プロローグ
船の上でステージの飾りつけをしているマリネットたち。
パリ音楽祭が催される今日は、クラスメイトで組んでいるバンドが初ステージを披露するのだ。
その船:リバティ号の船長アナルカはジュレカのママ。
散らかってていい、ごちゃごちゃの中からいいものが生まれる、と言い放つ破天荒な人物だ。
その頃アドリアンは家で父ガブリエルに向けてピアノを発表していた。
練習が足りないと指摘されたアドリアンは「他の楽器と一緒に演奏すれば上達するかも」と言い返すが、聞き入れてもらえない。友達のバンドライブに行くことは禁止されてしまった。
アドリアンが来られないと分かってがっかりするマリネット。
金属の置物を羅針盤の上に置いたら、アナルカに「羅針盤の磁石が動くから金属は絶対近づけちゃダメ」と注意され、近づくことが許されないなんて自分とアドリアンのようだとなおさら落ち込んでしまう。
そんなマリネットに対し、アナルカはリハーサルを始めるから息子のルカを呼んで来るよう頼んだ。
船室に降りたマリネットは、ベッドの上で目を閉じ瞑想している男の子、ルカを見つける。
声をかけあぐねていたところ、目を開いた彼に見つめられ、マリネットはキョドりつつもリハーサルに呼びに来たと用件を伝えた。
するとルカが、マリネットの心痛を表現したようなギターの美しい音色を聴かせてくれる。
ルカはマリネットと同じくジャゲッド・ストーンの大ファン。ギターピックを一つもらったマリネットは、すっかり笑顔を浮かべていた。
アクマ誕生
リハーサルが始まり、アナルカのセットした巨大スピーカーでルカがギターをかき鳴らす。
160デシベルの尋常じゃない轟音が鳴り響き、路上の車までが吹っ飛んだ。
いくらなんでも警官のロジャーがやってきて、音が大きすぎるとアナルカに注意する。
だが自由を求めるアウトローなアナルカは、そんな指図に従うなんてまっぴら。
反発するアナルカの態度に怒ったロジャーは、次々と違反切符を切って行く。
アナルカの憤激を感じ取ったホーク・モスがアクマの蝶を飛ばす。
アクマは船の羅針盤に宿り、アナルカはキャプテン・ハードロックへとアクマタイズされた。
リバティ号そのものがますます派手な海賊船と変貌する。
他のライブを潰してやろうとするキャプテン・ハードロックを止めようと、マリネットたちは口々に呼びかける。
当然聞き入れられるはずもなく、マリネットたちは鎖で縛られ船内に閉じ込められてしまった。
ヒーロー登場
セーヌ川を往くキャプテン・ハードロックのリバティ号が、音楽祭のステージを破壊して回っている。
ニュースを見たアドリアンはすぐさまシャノワールに変身し、部屋を飛び出した。
ルカと一緒に縛られたマリネットは、ひそかにティッキーの力で鎖の鍵を開け、拘束から抜け出す。
だがやって来たキャプテン・ハードロックに追いかけられ、ルカが捕まったものの機転を利かせてマリネットだけを逃がしてくれた。
一人になったマリネットはレディバグに変身し、みんなを助けに向かう。
ヒーローの戦い
シャノワールとレディバグがリバティ号の上に降り立ち、襲ってくる鎖を振り払いつつ、なんとか船を止めようとする。しかしキャプテン・ハードロックの言うことしかきかないという船はびくともしない。
シャノワールがキャプテンの気を引いている隙に、レディバグは人質たちを助けに行った。
みんなの拘束を解いたところでラッキーチャームを発動し、鎖を入手。
レディバグとシャノワールは二人で鎖を持って突進し、キャプテン・ハードロックの体を羅針盤に鎖でくくりつける。
鉄の鎖によって羅針盤の磁石が狂い、リバティ号は制御を失って蛇行すると、とうとう広場に乗り上げた。
水没の危険がなくなったところで、シャノワールがカタクリズムで船を破壊。
出てきたアクマの蝶を浄化し、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
エピローグ
大人しく家に戻ったアドリアンは、再びピアノを聴きに来た父に、「一緒に弾いてほしい」と頼んだ。
戸惑った様子のガブリエルだったが、素直に隣に座って演奏してくれる。
コンサートを聴きに行ってもいいと許可してもらったアドリアンは、思わず父親に抱きついた。
リバティ号ではおまわりさんが音量をチェック。少し基準を超えているものの、音楽祭だからと許してもらえた。
そこにアドリアンが合流して、散らかった船でけつまづいた拍子に古いキーボード「ZX20.4」を発見。
アドリアンもキーボードとしてバンドに加わることになり、新しいメンバーをルカも歓迎してくれた。
ロックバンド「キティ・セクション」は夜のパリで盛大に曲を披露するのだった。
好きさ、ユニコーン!
感想とメモ
まあ、ルカ登場回としか言いようがあるまい。
アクマの能力もバトルも単純ながらド派手なもので、アニメらしく楽しめる話だ。
イケメンロックボーイのルカ
第一印象から「こいつ、できる……」と察するよね。
男子の新キャラは何気に初めて。
それも明らかに魅力的な男の子であり、マリネットがアドリアン以外にキョドるのも初めて。
なにしろ立ち居振る舞いがいちいちクール。アドリアンのようなジャニーズ系さわやか男子と違って、ミステリアスだけど紳士的。カメラワークもルカをクールに映そうとはりきっているようである。
単なるキザにもなりうる言動だが、渋い声のせいか、落ち着いた物腰のせいか、悟りを開いたようなまなざしのせいか、妙な強者感がただよっている。
そんなルカはマリネットのみならず、イケメンを好むミラキュラスファンの心までわしづかみにしてしまったようである。ルカに好意的じゃないファンはいないんじゃないのか。
ルカの方もマリネットが自力で抜け出しレディバグを呼んでくれたと思って「勇気がある子だ」と感激していた。
ひとまずいい友達にはなれそうな雰囲気。いい友達……。
それにしても、黒い爪がクールだなちくしょう。
ルカはいいやつなので憎まれ口を叩く気はないんですよ。
羅針盤マリネット
グラシエーター回と同様、「アドリアンが外出できない=自分に会ってくれない」ととらえて落ち込むマリネット。少女漫画らしい恋愛脳だと言えよう。落ち込みたいのはアドリアンの方だろうに。
それほどの想い人アドリアンが近づくとおかしな動きを始める羅針盤マリネットだが、今回はルカに対して同じようなおかしな動きをしていた。
アドリアンのことが好きになったのは優しい一面を見たからだったんだけど、ルカのことはほぼ一目惚れ。
とはいえヤツのふるまいは視聴者の立場であっても妙に魅力的で、傷心のマリネットが抗えなくても無理はないのかもしれない。
ただの面食いやないかい、とは言わない。
破天荒なクーフェン家
「なんで船?」と思ったらまさかの住居であった。
船長のアナルカの元、兄のルカと妹ジュレカが一緒に住んでる。住所登録どうなってんだろう。
船室に降りるとリビングがあって、ドアの先にルカのスペースとジュレカのスペースが4畳ずつくらい確保されてる。間仕切りは動かせるやつ。
それにしたって荷物をどこに入れてるんだ?上についてるちっちゃい棚?ベッドの下?(ベッドの下はマリネットがすっぽり入れるくらい空いてたけど)
ジュレカスペースはパープルのカーペットが敷いてあって、ベッドと机と椅子が一つずつ。友達との写真が貼られてるのが微笑ましい。ネイルアートの道具も見られたが、そういえばジュレカの爪はいつもいろんな模様だった。
ルカスペースはなぜか畳敷きで、壁にはジャゲッド・ストーンのポスター。ルカのTシャツもジャゲッドのグッズ。ギターピックもいっぱい持ってる。
破天荒な船長
ジュレカとルカがローテンションなのは、お母さんが振り切ったハイテンションだからなのかもしれない。
アナルカは常識とか規則とか法律とかに縛られるのがイヤらしく、自由と混沌を求めるロックなおばちゃん。はっきり言って危険思想である。しかも行動に移すのがタチが悪い。
友達のお母さんならおもしろいけどね。自分のお母さんとか、まったくの他人としては関わり合いになりたくないぞ。
キャプテン・ハードロックは見た目的にあんまりアナルカの面影がない。というかアナルカが既にアクマタイズされてんのかってド派手な格好してたし。
今回は船という大きな付属物を伴ってのアクマタイズ。
でっかいギターを模した船は、キャプテンの思い通りに動くらしい。鎖を振り回して動くものを捕まえようとする。ストレングスか。
砲撃といい鎖といい、普通に戦艦であり、普通に危険。
おまわりさんがうっかり駆けつけてもおかしくないが、そのまま死んでてもおかしくなかったぞ。いくらミラキュラスでも死んじゃったら戻らない……よね……?
しかし派手な船がセーヌ川を下る画は今までにないスケールだった。最後の大ジャンプも見栄えがすごい。
学園モノといえばバンドステージ
バンド組むのもティーンエイジャーアニメっぽい。みんな普通に楽器弾けたりする。
バンド名は「キティ・セクション(Kitty Section)」。
今回演奏した曲は「好きさユニコーン(I Love Unicorns)」、アドリアンが作曲したそうだ。
ドラムのイヴァン、ベースのジュレカ、ギターのルカ、そしてヴォーカルのローズ。
イヴァン、ジュレカ、ルカはロックが好きだって知ってるけど、ローズもなのかと意外。
そんなローズの歌こそ最高にロックでした。歌詞はローズだけど。
その他ポイントメモ
- ガブリエル「我々にはソロが似合う」
レディバグとシャノワールには仲間がいっぱいいるけど、ホーク・モスはいつも一人。アクマは彼の「仲間」ではなく道具なのだ。 - ガブリエルはアドリアンに同じ曲ばかり練習させているらしい。そんなに大事な曲ということか。
- マリネット「私、マママ、マリネット」
ルカ「どうも、ママママリネット。フフ……」
第一声が明らかに渋い。ただものじゃない。 - フライトニンゲール回でマリネットとアドリアンと一緒にMV出演してたルカ。エピソードのナンバリングはこっちが後だが、時系列的にはこっちの方が先だったのかな。
- プラッグは本当にアドリアンにとって大きな存在だよね。歌は地獄みたいだけど。
- 1982年から開催されているパリ音楽祭(シャマクさん談)。
もちろん実際にパリで行われている大きなイベント。プロのミュージシャンだけでなく、市民たちも街のあちこちで演奏するのだ。
アニメではこれまで出てきたミュージシャンキャラ(ミスターXY、クララ・ナイチンゲール、ジャゲッド・ストーン)がこぞって参加したようだが、登場は名前だけ。 - マリネット、アルヤ、ニノは耳栓してもギターの音にぎょっとしてたが、ミレーヌだけは慣れた様子で涼しい顔。イヴァンと一緒にメタルフェスとか言ってるのかな。
- 警官ロジャーの違反チケット芸。パプリカ学園か。
- ホーク・モス「自由を求める心が抑え込まれもがいている……」
誰のこと?息子のこと? - いい子でおすわりしてギターをチューニングするジャゲッド。後ろにいるペニーの髪の色がいつもと違う。
- 大砲の弾を飛び移るシャノワールかっこいいぞ。
- シャノワールの ひっかく こうげき!
猫らしい爪攻撃、初めて見たけど役には立たず。 - シャノワールを捕まえたらちゃんとすぐにミラキュラスを奪おうとするキャプテン。
でもレディバグに気を取られる。 - ロジャーの「そこの船、止まりなさい!」は天丼。意味はないけどただおもしろい。
- 「フハハハハハ!」と負けたくせに高笑いした後で、
アドリアンの部屋でおすまし顔してるガブリエルがおもしろい。 - 息子にピアノを一緒に弾こうよと言われ、露骨に狼狽するガブリエル。かわいくしてもダメ!
- 一緒にピアノを演奏するガブリエルとアドリアンに、そっと微笑みを浮かべるナタリー。
ナタリーもまた、二人が愛情をはぐくむことを望んでいるんだろう。
今回の記事はここまで。
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