フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第45話 クイーン・ワスプ(Queen Wasp)
今回は「クイーンズ・バトル」前後編のパート2。44話から直接続きます。
クロエが拾ったミラキュラスと、ママへのコンプレックス。二つがそろったときヒーローがアクマになる。
ストーリー
プロローグ
亡き妻エミリーの前で立ち尽くすガブリエル・アグレスト。
最高傑作のスタイル・クイーンもミラキュラスの奪取に失敗し、アドリアンを危険にさらしてしまった。
絶望したガブリエルはモスのミラキュラスを外し、自室で椅子に身を沈める。
その肩をナタリーがそっと抱きしめた。
新ヒーロー登場?
スタイルクイーン騒動が収まり、ファッションショーが改めて開催されていた。
アドリアンのランウェイに姿を現したのは、人前に出ないことで有名なガブリエル。彼は無言のまま歩み寄り、息子を抱きしめた。
ショーの後、ブルジョワ一家、アグレスト親子、加えてデュパン=チェン一家がそろった中で、ガブリエルがオードリーに感想を尋ねる。
オードリーはマリネットが作った帽子を取り上げると、なんと手放しに誉めてくれた。さらにはマリネットを特別な子だと言い、デザイナーになりたいならNYに付いてこいと誘ってくれる。
皆がマリネットを応援する中、認められないのはクロエだった。
オードリーに「私が母親ということ以外に特別なところはない」とはっきり告げられ、傷ついたクロエはエッフェル塔で拾ったミラキュラスの箱を開けて見せる。
現れたハチのクワミに向かって「ポーレン、バズ・オン!」の掛け声。
ミラキュラスの髪飾りを付けたクロエはクイーン・ビーに変身すると、新しいヒーローだと言って会場を飛び出していった。
気に留めた様子のないオードリーは、明日の8時にヘリで待っているとマリネットに告げて立ち去った。
マリネットとアドリアンは放っておけないと思いつつ、家族に「レディバグとシャノワールがなんとかしてくれる」と言われればそれまで。
アクマ誕生
帰りの地下鉄で、マリネットの両親はNYに行ってもいいのだと応援してくれ、マリネット自身もデザイナーになれるチャンスに喜んでいた。
だがティッキーだけは浮かない顔。ホーク・モスのいるパリを離れることはできないから。
一方のクイーン・ビーはさっそく人助けしようとするが、平和なパリは誰も困ってない。
ならば自分で事件を起こして解決すればいいのだと、テレビレポーターを地下鉄に呼びつける。
地下鉄運転手の腕を「ヴェノム!」で突き刺し、アクセル全開にしたまま動けなくさせる。そうして暴走する電車を自分で止めてみせることに。
家に戻ったガブリエルは、蝶の飛び交う地下室に来ていた。
ミラキュラスを持つヒーローをアクマタイズするチャンスだと邪悪に笑い、ホーク・モスに変身する。
アドリアンもまた自分の部屋に飛びこみ、急いでシャノワールに変身。
マリネットも電車暴走の騒ぎのどさくさで一人になるとレディバグに変身。
電車を腕力で押しとどめようとするクイーン・ビーだが、効果はなさそう。
そこにレディバグとシャノワールが登場し、二人は武器を使って無事に電車を止めた。
レディバグはクイーン・ビーが運転手に能力を使ったことを察すると、レポーターのカメラの前だろうが容赦なく責め立てる。
自作自演がバレたクイーン・ビーは市民たちに責められ、母親には「ダメな子だ」とそっけなくされるばかり。
レディバグとシャノワールが話している隙にその場を逃げ出した。
家に戻って落ち込むクイーン・ビーのミラキュラスに、ホーク・モスのアクマの蝶が宿る。
ヒーローの仲間になれないなら敵になればいいのだとささやかれ、クイーン・ビーはクイーン・ワスプへとアクマタイズされた。
ヒーローの戦い
クロエにミラキュラスを返してもらおうとブルジョワ邸を訪れるレディバグとシャノワール。
だがそこにいる人々はみな蜂に刺された跡を付けて固まっていた。
現れたのはクイーン・ワスプ。従えたハチの群れで襲い掛かってくる。
レディバグとシャノワールが川に飛び込んで逃げると、クイーン・ワスプは「ディスパーサル」でハチの群れをあちこちに配置し、二人を探させた。
ジュレカん家の船に上ったレディバグとシャノワール。
ラッキーチャームでシュノーケルを手に入れると、ちょっぴり汚れる作戦を決行。
ゴミ箱をかぶってハチの目をごまかしつつ、クイーン・ワスプのいるホテルの屋上へ。
隙をついてクイーン・ワスプにシュノーケルをくわえさせると、ヨーヨーを巻き付けて川へと引きずり込んだ。
水中で抵抗するクイーン・ワスプをレディバグが押さえ込み、シャノワールがカタクリズムでミラキュラスを破壊。
アクマの蝶が飛び出したところで三人も川を飛び出し、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
ミラキュラスを抱きしめたクロエはもう一度チャンスが欲しいと言うが、居場所を嗅ぎつけて来たリポーターが割って入り、タブレットの向こうからオードリーに「クロエに特別なところは一つもない」と言われてしまう。
落ち込むクロエをシャノワールとレディバグが励ました。
ヒーローでも間違いはしてしまうもの。大事なのはそれをどう正すか。
考えたクロエはミラキュラスを返し、二人にごめんなさいと言った。
エピローグ
翌日、約束の時間が過ぎたころになって、マリネットは荷造りしたクロエを連れてオードリーの元を訪れた。
パリには大事なものがあるからとNY行きを断り、オードリーにも大事なものがあるはずだとクロエを示す。ぎくしゃくする母娘をよそに、クロエが特別意地悪な最低女でオードリーとそっくりだと涼しい顔で言い放つと、さっさとその場を立ち去った。
息ぴったりでマリネットに吠え返したブルジョワ母娘。
オードリーに意地悪なのかと尋ねられたクロエは、友達はいないし人の名前は覚えないし執事をこきつかうのが趣味だ、といつもの調子で高飛車に笑う。
そんなクロエの様子にオードリーは微笑みを漏らし、あなたは私と同じ特別だとクロエを抱きしめる。
パリに残ると言ってくれた母親を、クロエも抱き返すのだった。
ガブリエルは考えを改めていた。今日、レディバグとシャノワールは誤った人間にミラキュラスを渡すミスを犯したのだ。いずれまたチャンスが訪れるはず。
妻を忘れられないからと言うガブリエルに、無表情にうなずくナタリー。だが一人になると切なげに肩を落とすのだった。
感想とメモ
クロエ回、ここに来てひと段落。
そして気力を失ったかに見えたホーク・モスも再び欲望を取り戻した。
お注射でござる!
ハチのヒーロー、クイーン・ビー(Queen Bee)が誕生!女王バチ、分かりやすい名前。
変身時の掛け声は「バズ・オン(Buzz On)」、バズはバズるのバズ。虫がブンブン言う羽音。
黒と黄色のスーツにはハニカム模様が刻まれてハチらしい。
ポニーテールには黒いリボンが付いて、触覚っぽいのがぴょこんと二本飛び出してる。よく見るとポニーテール自体がハチの針みたいな形状になってるのだ。前髪も普段は耳にかけてるのがなびいててかわいい。
クワミはポーレン(Pollen)さん。
会話するシーンはなかったけど、クロエのことは「マイ・クイーン」と呼んで立ててくれそうな感じ。
武器は独楽。糸がついてるからレディバグのヨーヨーと同じように扱えるようだ。
能力は「ヴェノム(Venom)」で独楽をハチの針に変えて腕に装着し、これで刺したものの動きを止める。
ビー(bee)はミツバチ、ワスプ(wasp)はスズメバチ。ワスプの方が絶対強い。
クイーン・ワスプの方は黒が多めのコスチューム。肌は黄色で瞳が紫、髪も黒くなってて邪悪そう。
アンチバグのときはただのコスプレクロエだったけど、今回はしっかりクールにアクマタイズされている。
ハチの群れを操る能力は、金粉を操るスタイル・クイーンにちょっと似てたり。
ブルジョワ母娘の問題
マリネットの帽子にデレデレのオードリー。ツンデレの落差が激しすぎる。
オードリーは良いと思ったものは良いと主張する素直さと自信があるということ。
その点、クロエもツンデレなんだけど、何にツンツンして何にデレるかっていうことを、本当の自分の好みだけじゃなくて周りの目を気にして決めてる。だから「嘘よ、本当は大好き!」ってことになる。
というのもクロエにとってはママの判定が正解で、ママが嫌うようなものなら自分も嫌わないといけないと思ってしまうからじゃないか。
で、今回問題になったのがマリネット。
好きなものを嫌いになる(フリ)はできるけど、嫌いなものを好きになるのはプライドが邪魔して難しい。
おまけに自分が欲しくてたまらなかったものをマリネットが横からかっさらったわけだから、傷つくのは当然のこと。
だから最後のマリネットは自分がオードリーの「嫌い」になることで、クロエの葛藤が起きないようにした。なんというヒーロー。
こういう陰での活躍も、ティッキーが知っててくれると思うとマリネットもストレス溜めずに済むね。
クロエがオードリーをほめそやして特別扱いするような行動は、オードリーにしてみればちっとも特別とは思えなかったんだろう。だから自分と一緒にいないときにクロエがどんなふうなのか、興味を持ってこなかった。
でもクロエは自分勝手で高飛車でボロクソ嫌われてるっていう、オードリーにとって「自分と同じ」と思える特別な要素を持っていた。
それが分かったおかげでもっと娘のことを知りたいと思ってくれたんなら、クロエにとっては幸せなこと。
ママがマリネットの名前を間違えてクロエの名前は間違えないってのは、さぞ嬉しかったことだろう。
市長にとっては地獄の始まりだな。がんばれ。
みんなの前でヒーローに変身
クロエはカッとしてやっちゃったんだろうけど、スーパーヒーローの変身の仕組みがみんなの前にさらされちゃったのには問題があるんじゃなかろうか。
クワミっていう妖精が付いてることとか、それがアクセサリに宿って変身できるとか、一般市民はきっと知らなかったはず。
こうなるとやっぱり「正体は存在しませんよ」という言い訳はきかなくなっちゃうね。
それにしても安定のクソリポーターシャマクさん。
「お母さまと中継がつながってます。娘さんに言いたいことは?」
弱ってる人に追い打ちかけんなって。
ところで今まで「市長の娘」だったクロエが、ここ2話では「オードリーの娘」になってる。
オードリーがパリにいる間は市長もでかい顔できないらしい。
ダークウィング、フォール?
前回は最強のアクマを造り上げたはずなのに、レディバグ一人に負かされてしまった。
そのことに加え、アクマがアドリアンを危険にさらしたことがガブリエルの心を痛めていたんだろう。
ホーク・モスの悪事は自分の願いを叶えらえるはずという希望によって行われていたもの。
悪事をやめるのはいいことかもしれないけど、それでガブリエルが何もかも投げやりになってしまうとしたら複雑だが……。
と思ってたら、ホーク・モス引退を決めた後のふるまいはなんとも普通のお父さん。
ごきげんななめのオードリーにきっちりフォローを入れたり、マリネットの才能を率直に褒めたり、拍子抜けするほどに普通。
こんなお父さんが急に変わっちゃったら、アドリアンもよほどショックだったろうとよく分かる。
結局ホーク・モスのコスチュームは捨てきれなかったわけだが、ガブリエルの普段のふるまいもちょっとは普通になるのかどうか。少なくとも引きこもりは変わらないし、アクマに狙われないようにアドリアンを大事に保護するのも変わらないだろう。
シャマクさんが言うにはエミリー・アグレストは「失踪」したことになっているらしい。ということはガブリエルが保管している彼女は死んでいるわけではなく、眠っているのか。
前回スタイル・クイーンが金に変えたアドリアンのことを「sleeping beauty」と呼んでいたのがちょっと効くな。
冒頭でガブリエルが「約束」と言っていたのはどんなものなんだろう。エミリーに何があったのか、ますます気になってくる。
でも邪悪なやり方じゃないとほんとにいけないのかな?
エミリーを取り戻したい思いは純粋なんだろうけど、人のマイナスの感情を追い続けたおかげで、ホーク・モス自身もマイナスの感情に侵されてしまっているような。
ミラキュラスにアクマが宿ると……
ミラキュラスは物理的には壊れないから、カタクリズムでアクマを追い出すしかないらしい。
でもロボスタス回ではワクチンソフトでアクマを追い出してたよね。あのときはCPUの部品にではなく、ソフトウェアにアクマが宿ってたってこと?
とにかくそうすると、アクマを追い出せるシャノワールのミラキュラスと、アクマを浄化できるレディバグのミラキュラスは非常に重要な存在だってことになる。
願いをかなえるために二つが必要なのはわかるが、ホーク・モスはやっぱり一つずつ狙うべきでは。
むしろシャノワールとレディバグをアクマタイズできないかを虎視眈々と狙うべきなのでは。
ホーク・モスの千里眼の能力がどういう仕組みかは知らないけど、二人の正体を探ろうと努めるべきな気がする。
その他ポイントメモ
- 前回と同じ日っぽいけど、そういえばショーは夜に開催されるんじゃなかったっけ?時間帯がようわからん。
- ブルジョワ母娘はちゃんとエッフェル塔の階段降りて戻ってきたらしい。
- サングラス外したオードリーはクロエにそっくり。眉がモードな感じ。
- アドリアンがいつもクロエにコメントを振るのは優しさなんだろうと分かってるけど、マリネットのNY行きが提案されたときはさすがに察してあげようよ。
- それに対してクロエがキレたときのセリフは「Ridiculous, utterly ridiculous!!」、オードリーの口癖。
- 目の前で娘が魔法で変身しても「昔から目立ちたがり」で片付けちゃうオードリーの落ち着きっぷり。
- マリネットパパはどこへ行こうとパン屋を開きたい。
- もしマリネットが本当にNYに行くとしたら、ミラキュラスは置いていくことになるのかな。そうしたらマスターはまたレディバグにふさわしい子を探さないといけなくなるのか。
- 地下鉄でパパママが行っちゃって一人になったときのマリネットの悪い顔。
- ラッキーチャームのシュノーケルはクイーン・ワスプがハチに命令できないように口をふさぐためかと思ったが、クイーン・ワスプが窒息しないようにするためだった。さすがヒーロー。
- オードリー「……あなた、意地悪なの?」
- 名前を覚えてもらえない執事さんの名前は「ジャン・イヴ(Jean-Yves)」が正解か?オードリーがちゃんと覚えてたのなら。
- ナタリーは人前では冷徹な態度を保ってるけど、どうもガブリエルのことを密かに慕っているらしい。彼がホーク・モスを辞めることはナタリーにとってある種嬉しいとも言えるわけだが、それでもナタリーはただただガブリエルの意志に従うのである。
- バブラー回のナタリーがあたふたしててかわいかったのを思い出す。
今回の記事はここまで。
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