フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第79話 トゥルース(Truth)
物語の転換を迎えてシーズン4が始まるよ。みんな大好きルカ回だ。
ストーリー
プロローグ
ガブリエルはマスター・フーから奪った古文書の解読データに従い、ピーコックのミラキュラスを修理した。
ヌールーとドゥーズー、二人のクワミをユニファイし、シャドウ・モスとして新たな力を手にしたのだった。
その頃マリネットは自分の部屋で、マスター・フーから受け継いだミラクルボックスの仕組みを理解しようと努めていた。
上部のボタンを押してみたところ、すべてのクワミが解放されてマリネットの部屋を好き勝手に飛び回り始める。
窓から外に飛び出すわ、スマホで勝手にメッセージを送るわ、PCでアルヤにビデオ通話をかけるわてんやわんや。
ルカからかかってきた電話になんとか出たはいいが、彼とデートの約束をしていたことをすっかり忘れていた。
慌ててミラクルボックスとクワミをしまい込み、既に部屋の下まで来ているルカのもとへ。
そもそも約束の日は昨日だったうえ、マリネットは何の映画を見る予定かも忘れていたが、ルカはいつものように冷静に微笑んでいる。
アクマ誕生
マリネットとルカはジャゲッド・ストーンの歌詞クイズに興じながら、ジャゲッド主演の「クロコダイル・ハート」を見に映画館へ。
マリネットがジャゲッドのサイン入りギターピックをルカにプレゼントし、いい雰囲気になったのに、突如外から轟音が響いてくる。
アクマの存在を悟ったマリネットはルカに言い訳をして席を立ち、レディバグに変身して様子を見に行く。
既にシャノワールも出動していた。パトロールの約束をしていたのに、マリネットはこちらも忘れてしまっていたらしい。
アクマを片付けてマリネットが映画館に戻った頃には、映画は終わってしまっていた。
その後もたびたび、ルカと過ごしていたところにアクマが現れ、マリネットが怪しげな言い訳をして立ち去ることが続く。
ルカはマリネットを橋の下に連れて行き、自分は父親を知らないのだと悲しげに語る。母親が教えてくれない、やるせなくなったときはここに来て水が奏でるメロディで心を癒すのだと。
ルカはマリネットに、本当はどこへ行っているのか、受け入れるから教えてほしいと尋ねる。アドリアンが好きでも気にしないと言っても、マリネットはそのことじゃないと否定する。
結局、マリネットからの返事は「どうしても話せない」だった。
ショックを受けるルカのもとに、シャドウ・モスがアクマとアモクを差し向けた。
胸に下げたギターピックにアクマとアモクが宿り、ルカの心にシャドウ・モスが語り掛ける。
ルカは必死に抗おうとしたが、心の傷につけ込まれ、トゥルースへとアクマタイズされてしまった。
センチモンスターは背後に浮かぶ目玉型のライトだ。
マリネットは「逃げろ」というルカの最後の言葉に促され、その場を離れてレディバグへ変身する。
ヒーロー登場
センチモンスターはライトで照らした人物の動きを止めることができる。
トゥルースがギターピックから発した光線を浴びせると、その人の唇が白く染まり、質問に対して真実を語ってしまうようになる。
トゥルースは船に集まっていたアルヤたちからマリネットの秘密を聞き出そうとするが、そろって「マリネットはアドリアンが好き」と分かりきったことしか言わない。
レディバグはシャノワールを応援に呼び、トゥルースに立ち向かう。
だが自分のせいでルカがアクマタイズされたことを改めて思い知り、怯んだ隙に光線をくらって真実しか話せなくなってしまった。
正体を質問され、絶体絶命のところをシャノワールを助けてくれた。
トゥルースは逃げて行ったレディバグとシャノワールを追う前に、母親のアナルカに光線を浴びせる。
自分の父親は誰かと質問すると、答えはなんと「ジャゲッド・ストーン」であった。
トゥルースは事実を明らかにするため、ジャゲッド本人を探しに行く。
ヒーローの戦い
川から上がったレディバグとシャノワール。
レディバグは真実しか口にできない状態のため、シャノワールに借りたしっぽ(ベルト)で自分の口を塞いでおいた。
ホテルの屋上でギターを弾いているジャゲッドのもとに、トゥルースが現れる。
ルカ・クーフェンが息子なのかと尋ねられ、ジャゲッドはそうだと頷く。事実を隠し放っておいたのは、期待されるような父親にはなれないからだと。
おかげでいい曲ができたと軽々しく言うジャゲッドを、怒ったトゥルースは屋上から投げ飛ばした。
ジャゲッドを助けに行ったレディバグとシャノワールをセンチモンスターが追いかける。
トゥルース本人はもう一つの真実を知るためマリネットの家へ。
サビーヌママからマリネットが日記を隠していることを聞き出し、マリネットの部屋を探し始める。
ミラクルボックスが見つかってしまうすんでのところで、レディバグとシャノワールが駆け付けた。
口に巻いたベルトを外したレディバグに、シャノワールが「ピンチのとき、なんて言う?」とナイスパス。
ラッキーチャームを唱えたレディバグはアルミホイルを手に入れた。
シャノワールも正直ビームをくらってしまったが、トゥルースに質問させまいとレディバグが立ち回る。
そこに乱入してきたセンチモンスターが、シャノワールのカタクリズムを当てられて暴走を始めた。
アルミホイルを被せた傘でセンチモンスターのライトを反射させ、トゥルースの動きを止めることに成功。胸に下げたギターピックを壊して、アクマとアモクを浄化。
ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
エピローグ
レディバグとシャノワールは夜の屋上で互いを労う。
敵のシャドウ・モスは新たな力を手に入れたが、シャノワールはレディバグと一緒にいられるなら戦いも楽しめるらしい。
マリネットは正気を取り戻したルカと改めて話そうとするが、嘘をつきたくないばかりに言葉が出てこない。
ルカはマリネットを抱きしめて、話したくなるまでずっと待っていると伝えた。
気持ちの晴れないルカのもとにジャゲッドが姿を現し、抱きしめてくれる。
「俺にできることは感情を受けとめ曲にすること」「一緒に曲を作らないか」と言葉をかけられ、ルカは笑ってうなずいた。
自室に戻ったマリネットは、ルカがシャドウ・モスに操られ正体を探ろうとした事実に改めてショックを受けていた。
ヒーローであり、ガーディアンとなった今、ボーイフレンドを作ることすら危険がすぎる。
涙に暮れるマリネットを、クワミたちが優しく抱きしめるのだった。
感想とメモ
始まりましたシーズン4。オープニングテーマのアレンジが変わり、マリネットのモノローグもちょっと大人っぽい雰囲気に。
でもしょっぱなから怒涛の展開すぎておもしろい。
ピーコック復活
前シーズン、ガブリエルは有能なナタリーのおかげでミラキュラスの古文書解読データを手に入れることができた。
これを読んで壊れたピーコックのミラキュラスを修理することができ、モスとピーコック二つのミラキュラスを操ることができるようになっていた。
隕石と金とピーコックの羽を混ぜ合わせた溶液を流し込めばヒビが修復できるらしい。
モスの杖とピーコックの扇はエレガントでガブリエルによく似合う。
違いを示すために「シャドウ・モス」と名乗るようにしたらしい。パワーアップしたことをヒーローに教えてくれるヴィランの鑑。
ドゥーズーが相変わらずテンション高くておもしろい。これでヌールーもさみしくなくなった。
ガブリエルとしては、二人のクワミをちゃんと監視しておかないと危ないよ。
クワミとミラクルボックス
責任感の強いマリネットはミラクルボックスの仕組みを理解しようしっかり研究に努めてる。
マスター・フーは、ミラクルボックスを出て人間の世界で過ごすことができるのは主がいるクワミだけと決めていた。だから今まではマスターが呼んだクワミしか外に出られない仕組みになってたんだろう。
今やマリネットがガーディアン。ミラクルボックスの見た目が変わり機能も変わったらしい。「ドア全オープン」のボタンしかない。どう考えても手に負えない。
ミラクルボックスの中には別の世界が広がってて快適らしい。モンスターボールみたいなものかな。
クワミは直接なら認識されるが、カメラには姿も音も映らない。理由は「魔法の生き物だから」。
シャノワールの方は、レディバグがミラキュラスのガーディアンになったことを「僕らの関係が変わらないなら別にいいよ」と思ってるらしい。
正体隠してるから仕方ないのかもしれないけど、レディバグに責任の比重が大きいのは否めないよね。そりゃスーパーマリネットでも泣きたくなる。
川の流れのようにルカ
「いいよ、きみがそうしたいんだったら(if you want to)」
ルカのマリネットに対する態度はこのようなもの。強いることはしない。マリネットが望むなら受け入れる。
これは何も、ルカが二番手キャラ(マリネットがアドリアンを諦めた場合の受け入れ先)だから脚本の都合として付与された属性ではないよ。
むしろ彼の「禅ボーイ」なキャラクター性をよく表した態度だなと思う次第です。
「禅」というのは自分が勝手に使ってるだけの表現だが、あるがまま・諸行無常を受け入れ、その中で自分はただゆったりと自分であり続ける、というような態度を指してます。
受け入れるということは、思い通りにならないマイナスの状況をも受け入れるということ。
たとえばマリネットが自分のもとには来てくれないということになっても、その事実を拒絶して無理矢理思い通りにしようとするんじゃなく、そのときに生じた切なさを受け入れ噛みしめるだけなんじゃないかと。アーティストらしいね。
そんな彼もマイナスの感情に負けてアクマタイズされたことがあった。
一回目はサイレンサー。愛するマリネットを襲った理不尽な不幸と戦おうとした。
二回目が今回のトゥルース。こっちは上に書いた禅の態度に関わってくる。
ルカはどんな事実であっても「受け入れる」ことができ、おそらく自分でもそれを誇りにしてるんだろう。
ところがマリネットから「真実は話せない」とはっきり言われてしまった。自負している禅の心自体を、信頼していたマリネットに否定されたように感じてしまったんじゃないかな。
くわえて、母親にも同じように隠し事をされてるという気がかりがあったわけだから、割り切れない思いにつけ込まれちゃったもの仕方あるまい。
何が言いたいかというと、アルヤがマリネットに隠し事されて怒る理由と、ルカが隠し事されてショックを受ける理由は違うってことです。
ルカの場合、もっと自分の拠り所である心の持ちように関わってるんじゃないかなと。だから今回の話のキーワードは「受け入れる」なのだ。
それにしてもルカのやつ、アクマタイズされようとして「真実は力尽くで聞き出すものじゃない!」「マリネットは信じてくれてる!」と抗いやがった。まったく格好いい野郎だ。
ギターだけが俺の家族
ワニもだろ、というツッコミはさておき。
多くのファンはもう察してた1らしいが、ルカの父親はジャゲッドなんだそうです。
デスペラーダ回でジャゲッドとアナルカが組んでた時代があったのは分かってたし、そういう機会もあったんだろう。
個人的に好ましいのはジャゲッドが「アナルカと恋人関係にあった」って話にはなってないところ。
トラブルメーカー回でもハートハンター回でも、ジャゲッドはやたら無邪気でロマンスと縁がなさそうな雰囲気を保ってた。こういう、ロマンスに関わらないキャラクターが出てくるアニメが自分は大好きです2。
秘密にしてた理由は「俺はダメ人間で期待されるような父親にはなれない」から。ジャゲッドの案なのかアナルカの案なのかは不明だけど。
ジャゲッドももちろん息子への愛情は持ってるだろうけど、彼にとって親子関係ってのは、たぶんこの話をしたときの態度くらい軽いものなんでしょう。軽いって言い方は悪い意味に聞こえちゃうけど、執着がないというか、あるがままを受け入れてるというか、子供ができたところで自分のありようは変わらないというか。
ジャゲッドがそんな態度だってことを踏まえると、アナルカに「父親を名乗るな」と言われてたのかもしれない。
とりあえず、ジャゲッドがダメ人間なことは間違いない。クソヤローと呼ぶには悪意がないから、やっぱりわがまま小僧でポンコツで社会不適合者と呼ぶのがよかろう。
あと「家族がいないことでいい曲ができた」って言葉も本心でしょうね。「俺にできるのは感情を受けとって最高の曲にすることだけ」ってのも。後者は比喩かもしれないが、ジャゲッドのことだから言葉通りの意味かも。
これらも上に書いた禅っぽい考え方とも言える。ままならない出来事を受け入れた上で、そこに生じる悲しさや切なさをも受け入れ、芸術に昇華すると。
うーむ、やはりルカとジャゲッドのそういうところは似てるのかな。ジャゲッドと似てるとか言ったらルカファンに怒られるかな。
秘密を作るのは・・・
秘密にする理由が、相手を信頼してないからとは限らないんだよね。
マリネットの場合、事実を教えてしまって相手が敵に狙われることを心配してる。おお、スパイダーマンとおなじだ。
前シーズンでマリネットはアドリアンとカガミの関係を認め、自分にはルカがいると割り切ったように思えた。
が、相手が誰だろうと、秘密を抱えたマリネットがボーイフレンドを作るのは難しいということが今回の話で思い知らされてしまったわけだ。
今までも充分キャパシティフルだったマリネットに、ミラキュラスのガーディアンなどという重大すぎる責務が上乗せされた。
いくらスーパーマリネットでもこのままで果たしてやっていけるのか、非常に心配なところ。
ここがシーズン4のエッセンス。今後をお楽しみに。
その他ポイントメモ
- ちっちゃい帽子かぶるティッキーが愛くるしい。マリネットがこしらえたんだろう。
- カルキ「荷車が自分で進んでる!」
そんなに長いこと外出てなかったの? - スクイーズってのはぷにぷに柔らかくてちっちゃいマスコットのこと。にぎった感触が気持ちいいから「スクイーズ(squeeze=にぎる)」と呼ばれる。
- ルカの色合いがいつもとなんとなく違うような。肌が白めなのかな、髪の根本が暗めなのかな。
- スマートに映画館へマリネットを導くルカ。相変わらずクールな野郎だ。爪も黒い。
- ジャゲッド・ストーンが初めて出演した映画は「クロコダイル・ハート」。帽子とパッケージはレイダースっぽい。ワニのファングと共演? ワニって15年生きるのかな? それとも先代のワニ? というか帽子以外いつもの服だな。レースの手袋もしてる。
- シャドウ・モスの部屋がいつもと違ってイエロー系に光ってる。なぜイエロー?
- レディバグ変身シーンのBGMもアレンジが変わった。今までの少女っぽい明るさに深みが加わった感じ。
- アルヤ「あの子(マリネット)が好きなのは、アドリアン・アグレスト…」
トゥルース「それは秘密じゃない!」
そうですね。 - ローズをかばうジュレカ、かっこいい。
- ジャゲッドにレースの手袋をはめさせたデザイナーさんはこの世で一番偉大だな。
ロックスターつったら普通レザーの手袋しか考えないよ。 - ジャゲッドの声は英語版と日本語版で印象がけっこう違います。個人的には日本語の方がテキトーな感じで好き。
- ジャゲッドはアリ王子の誕生日用の曲を練習してたらしい。
「Oh アリ王子 一つ歳を重ねた今もきみは本物のロックンローラ~(Oh Prince Ali you’re one year older but to us you’re still a real rock and roller)」 - トゥルースの正直ビームをくらったらみんな操られたようになってたけど、ジャゲッドは平常運転のままだった。ビームなしでも「ルカなら俺の息子だけど」って普通に教えてくれてたんじゃないか。
- 屋上からぶん投げられたジャゲッド「俺の息子は最高(out of sight)だな!」
「out of sight」がアメリカでは俗語で「すんげー」の意味。
このセリフを受けてシャノワールが「stay out of sight(視界の外に隠れてて)」と気の利いたことを言ってます。日本語だとわからなくて残念。 - トゥルースがマリネットの部屋で開けた衣装ケースの中身は大量のプレゼント。アドリアンへの50年分の誕生日プレゼントだっけ。
- ウェイズ「プラッグはアトランティスを沈めた!」
逆にプラッグ以外はみんな大人しくしてるんだね。 - レディバグいわく、シャノワールの好きなところベスト3:勇気があるところ、自信たっぷりなところ、ユーモアがあるところ。
アドリアンに最も欠けてるのは自信だなぁ。シャノワールになったときの自信がどこから来るのかと考えると、スーパーパワーと、レディバグに信頼されてるという自負だろうか。
今回の記事はここまで。
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