ミラキュラス レディバグ&シャノワール:ストーリーと感想【第62話 オブリビオ】

フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。

話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら

記事作成時に完全初見。先の展開は知らずに好き勝手言ってます。

第62話 オブリビオ(Oblivio)

記憶を失った二人が力を合わせてピンチを切り抜ける。

ストーリー

プロローグ

エレベーターの中で目を覚ましたレディバグ。壁には亀とスマートフォンを示すようなイラストが描かれており、手の中にそれを描いたらしい口紅が。
同じ空間にシャノワールもいるが、二人とも今の状況どころか、自分が誰なのかすら覚えていない。

二人は変身が解けてマリネットアドリアンに戻り、ティッキープラッグも出て来た。
ところが四人とも同じように記憶を失っている。

逃げる二人

と、エレベーターの天井に衝撃が。何かが上から天井を叩いているらしい。
四人はエレベーターから脱出して建物の中を逃げるが、エントランスは崩壊して外に出ることができない。さらに背後から何かが追ってきている。

トイレに隠れて、それぞれ持ち歩いていた身分証から名前は分かった。
お腹がすいているプラッグアドリアンの持っていたチーズをねだり、ティッキーにはマリネットが持っていたマカロンをあげた。

続いてオフィスに逃げ込んだ二人は、スマホのロックを解除して親と思われる相手に電話をかけてみる。
アドリアンの父親は出なかったが、マリネットの母親は心配した口ぶりで「校外学習先が悪者に襲われた。スーパーヒーローが戦っている」という状況を教えてくれた。マリネットは「レディバグ&シャノワール」のアニメ映画のポスターを見て、自分たちがそのヒーローなのだと理解する。

ホーク・モスに命じられ二人を探すのはオブリビオというアクマ。
どうやら記憶を失わせる能力を持つらしい。

マリネットのスマホにはアドリアンの写真が、アドリアンのスマホには変身したマリネットの写真が大切に保存されている。二人はそれを見せ合い、自分たちが付き合っているのだろうと考えた。

一方ティッキーとプラッグも状況が分からない。二人を助けるべきだとティッキーに説教され、自由が好きなプラッグは反発してビルを飛び出していってしまった。

そこにオブリビオと名乗る紫の影のような人物がやってきた。
腕に機械のようなものをつけ、机をひっくり返してレディバグとシャノワールを探し始める。

マリネットのひらめキングでオブリビオの気を惹くしかけを作り、ティッキーの機転で別の階に逃げたと思わせることに成功。

ヒーロー登場

マリネットアドリアンはオフィスでニュースを確認する。
オブリビオの腕に付いた銃に打たれると記憶を失ってしまうらしい。撃たれたシャノワールを連れてエレベーターに逃げ込んだレディバグが、壁に何かを描いている様子がカメラに映っていた。

壁の絵を思い出したマリネットは、電話帳に亀のマークで登録されている相手に電話をかける。
電話に出たマスター・フーが二人の変身の呪文を教えてくれたが、スマホの電池が切れてしまう。

マリネットはティッキーの力でレディバグに変身してマニュアルを確認。
ラッキーチャーム?」と口にするや能力が発動し、ポットを手に入れた。
レディバグはついてこようとするアドリアンをなだめて頬にキスをし、オフィスに隠れているよう言って屋上のオブリビオのもとへ。

アドリアンも当然放ってはおけず、段ボールでこしらえたコスチュームを着て屋上に行った。
まともに戦える恰好でないが、物陰に隠れたタイミングでプラッグが戻って来てくれた。
アドリアンもシャノワールに変身する。

ヒーローの戦い

オブリビオは右手の指で左手の銃をスライドすることで光線を放ってくる。
シャノワールがオブリビオの気を惹き付けている間に、レディバグが背後から忍び寄り右手にポットをかぶせてしまった。
銃が撃てなくなったところで、シャノワールがカタクリズムで銃を破壊。

アクマを浄化したところ、その正体はアルヤとニノだった。
すべて元通りになれば記憶を失っていた間のこともなくなってしまう。その前にと、シャノワールとレディバグは手を握り合い、口づけを交わした。

ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
いつも通り自分たちはカップルじゃないと主張するレディバグだが、さっきのキスをアルヤに撮影されてしまっていた。

エピローグ

アルヤとニノは、校外学習をさぼって隠れてペンギンゲームしてたのを見つかってみんなに笑われたせいでアクマタイズされたらしい。バスの中で謝る二人をクラスのみんなは許してくれた。

記憶を失っている間のレディバグとシャノワールのキスに、マリネットは大ショック。
だがアドリアンは恋への希望を取り戻していた。

感想とメモ

衝撃のソリッドシチュエーション回。おもしろかった。

記憶喪失の二人

記憶を失うと本質が見える。
突如登場した謎の生き物(ティッキーとプラッグ)に、普通にコミュニケーションをとるアドリアンと怯えるマリネット。実際にティッキーとプラッグと初めて会ったときもそれぞれ同じ反応をしてたよな。

アドリアンにキョドってないマリネットが新鮮。
マリネットに気を遣ってないアドリアンも新鮮。伸び伸びしている。
二人がお互いの愛情を素直に表現してるのも非常に微笑ましい。いつもこうならいいのにねえ。

アドリアン「(きみは)ここってときにはいいアイデアを思いつく人なんだ」
それがマリネット。

そのうえ賢いマリネット。
お母さんから聞いた内容、映画のポスター、さっきまでの自分たちの姿から、すぐに状況を理解する。自分の恰好は客観的に見えてなかったはずなのに。
自分がラッキーチャームで失敗した「口にしたら発動しちゃう」という反省を、シャノワールのときに生かすのもさすが。

オブビリエイト、忘れよ!

オブリビオは奇妙なアクマ。
姿は紫の人影で、声もエフェクトがかかっており正体がまったく分からない。男の声と女の声が混ざって聞こえる。
というのも中身が二人だったからなのだ。サポティスは二人で二体のサポティスになってたけど、今回は二人で一人のアクマに。

オブリビオの光線は撃たれた人の記憶を失わせる。オブリビオン(oblivion)がそのまま「忘却」の意味で分かりやすい。

固有のエピソード的な記憶だけ失っており、身分証を持ち歩いているものとかスマホはロックされてるものとかの一般的な常識は保っている。
プラッグは自分がチーズ好きってことを忘れてる。マリネットもアドリアンもスマホのロック解除パターンは忘れてる。この辺はエピソード記憶に入るのかな。

この状態でさらにオブリビオに撃たれると、もっと根源的な記憶もなくなってくってことなのか。歩き方とかしゃべり方を忘れたらもうどうにもできん。

しかしティッキーとプラッグがアクマに作用されるのって初めてか?
変身してるときに攻撃くらって変身解けたパターンがあんまりないからか。

アルヤとニノさあ……

オブリビオが「大親友」って言ってたのは奇しくも正しかったってことか。

記憶喪失の舞台装置としてはいい仕事したオブリビオだが、アルヤのニノの好感度が下がる一方なのは私だけか?

前回クロエは自分がヒーローだっていう気概からアクマタイズを退けたんだよね。
同じようにヒーローになってるはずの二人が、あんなしょーもないことでアクマタイズされるってのはすごくやな感じ。
カタリスト回でも、アルヤとニノはお互いがいたせいでアクマタイズされてたよな。
アドリアンは「カップルなら一緒にいた方が強い」とか言ってたけど、この二人に関してはとてもそう思えない。

が、それに対してレディバグとシャノワールには希望が持てる。
今回二人はお互いが好きだと自覚した上でいつも通り戦ってた。
もし本当に二人の恋がかなったとしても、ホーク・モスが言うような心配はないんじゃないかと思わせてくれる。
特にレディバグの安定感がすごい。シャノワールはどっちにしろ通常運転だし。

その他ポイントメモ

  • アドリアンの匂いを嗅ぐプラッグが愛くるしい。
  • ティッキーはエレベータのボタンをすりぬけることで作用させた。普通に押すんじゃなく。
  • アドリアンのシャツ、内ポケットがあるのか?
  • アドリアンのシャツ、内ポケットがあるとしてチーズをそのまま入れてるのか?
  • マリネットの学生証の写真、めっちゃ緊張した顔。
  • マリネット、スマホの表面に息をかけて曇らせることでロックパターンをなぞった指の跡を見つけるというソーシャルハッキング技術を見せつける。1
  • アドリアンの電話帳、ガブリエルだけフルネームで登録してる。
  • アドリアンの電話帳、ボディーガードの名前は「G.」としてる。
  • マリネットの電話帳もママだけフルネームで登録してる。
  • そういえばアニメ映画のタイトルはなぜか「シャノワール&レディバグ」って呼ばれてる。ポスターに描かれてるロゴは「レディバグ&シャノワール」の順番だが。
  • 二人の変身が解けた姿はオブリビオには見られずに済んでる。すげー危ないな。
  • マリネットのスマホの待ち受けはもちろんアドリアン。ちょっと陰のある表情がなんだかクールだ。
  • アドリアンのスマホはレディバグの写真だらけ。誰が撮ってるんだ。
  • キーボードにコーヒーがこぼれてる画を見ると不安をかきたてられる。
  • 亀さんの電話番号、マリネットのスマホに不用意に登録してて大丈夫か?ロック簡単に外せるのに。
  • レディバグとシャノワールの通信機(バグフォンとキャットフォン)は緊急時マニュアル付属。
  • オブリビオ「パリの全市民の記憶を消してやる!」
    隣の市は安全なの?
  • 何がなんだかわからず変身に使われるプラッグが愛くるしい。
  • 猫みたいに四足で走るシャノワールがかっこいいぞ。
  • シャノワール「結ばれる運命なんだよ! 分かってないのはきみだけ」
    はい、そうですね。
  • ホーク・モス「互いへの秘めた恋心のせいでお前たちは破滅する!」
    カップルじゃないと言い張るレディバグも、本当はシャノワールが好きだと思ったのかな。

今回の記事はここまで。


 

  1. ほんとかと思って自分のスマートフォンでやってみたが、指紋センサーしか使ってないからそもそも跡がついてなかった。跡がついてるとしたらパズルの跡である。指紋センサーなら記憶を失っても安心。記憶と指を失ってたら困る。

コメント

  1. グローテス より:

    ご返信ありがとうございます。クロエは非常に面白いキャラクターですよね。ヒーローになったとしてイジメッ子が治る訳でもなくかといってヒーローらしい行動もちゃんとできるところとか。

    これはマリネットやアドリアン達にも言えて皆、ヒーローになったとしても悪行をやるし知らず知らずのうちに人を傷つけていて、ヒーローだとしても当たり前のようにマイナスな側面を持っているんですよね。(ついでに悪行が許されることも多いですし)

    善と悪がナチュラルに共存していてそれがより性悪説的というか。

    ただ、だからこそ個人的にはこのアニメにおける悪とはなんなのか一度議論して欲しいと思います。マイナスの感情が悪なのか悪行をやるのが悪なのかそれともアクマ化することそのものが悪なのか。マイナスの感情を弄ぶホークモスが悪なのか。

    アクマタイズによって本音を言えたり自分の夢を叶えられる人達をみているとアクマタイズは本当に悪なのか?とさえ思ってしまうので。

    トーマス監督がクロエにキツイ言い方をしているのをみていると余計にそう思います。
    https://maamaam.com/miraculous-chloe-2/

    • yakan3(管理人) より:

      なるほど、監督はけっこう本質論的な考えだと見受けられます。
      「niceな人」と「そうじゃない人」という区別が根本的にあるといいますか、
      行為そのものよりも、どんな行為者がそれを為したかによって価値判断が変わる感じじゃないかと。
      レディバグが「アクマタイズはすべからく悪」という態度を一貫しているのもそういう考え方からなんでしょう。
      性悪説的に描くことで、自然と出てきてしまう悪を制御できる人が「nice」であると主張してる気がしますね。

      確かに、アクマタイズがあったからこそ物事が好転したエピソードもありましたよね(もっぱらマリネットがアクマを誘発したやつ)。
      価値判断をする対象も、動機なのか、手段なのか、結果なのか、過去の実績なのか、未来の可能性なのか、いろんな軸があります。
      とりあえずは、ガブリエル・アグレストのやってる一連の行いをレディバグが知ったときにどんな判断をするのかが興味深いですね。

      しかし、クロエみたいな意地悪さ(mean)と、ホーク・モスの悪(evil)は別だなと思ったりします。
      meanな人間がevilをくじく、って個人的には面白いと思うんですけどね~。このシリーズではありそうもないですね。

  2. グローテス より:

    初めまして、ミラキュラスの感想楽しく読ませていただいてます。オブリビオのアクマタイズ見てて思うんですが、このアニメはある意味、めちゃくちゃ性悪説的ですね。

    ヒーロー、人間、怪人の境界が限りなく曖昧でヒーローですらマイナスの感情とは無縁ではいられない。正直な話、マリネットとアドリアンがアクマタイズされずにいるのは奇跡に近いと思います。

    時々、ニノがホークモスに認められてバブラーになるのとレディースデイバグに認められてキャラペイスになることの違いは善悪を除けば違いはどこにあるんだろうと思ってしまいます。

    • yakan3(管理人) より:

      初めまして、コメントありがとうございます!
      「ヒーロー、人間、怪人の境界が限りなく曖昧」含蓄のある表現で興味深いです。
      確かに、マリネットのクラスメイト達がアクマタイズされるとミラキュラスを借りて変身するのは同じ構造だと言えますよね。
      「普通」の状態であればマイナスの感情には逆らえない。でも善の信念を持つことができればヒーローに転じられる。
      性悪説から出発して、理性をもって善へと成長することを志向してるのかなって気がしました。

      マリネットとアドリアンがアクマタイズされないっていうのは、2人が「自覚している」ことが大きな理由かなと個人的に思ってます。
      2人はアクマを見たときに、「アクマタイズされちゃいけない」にとどまらず、「ヒーローになって悪を倒さなきゃいけない」と考える。
      自分がやるしかない。危機を解決せねばならないって自ら責任を負ってるところが2人がアクマタイズを回避できる一つの要因かもしれません。
      でもそもそも狙われないっていうのは偶然ですよね。ひょっとしたらアドリアンはあえて見逃されてるのかもですが。

      で・・・もう1人、ヒーローとしての自覚を強く持ってたのがクロエなんですよね。彼女はほんとに面白い存在でした。
      普段は決して善人といえないのに、ヒーローであろう(理想的な存在になろう)という意志がめちゃめちゃ強く、マイナスの感情に打ち克つまでやってのけた。
      ところがレディバグはどうしても彼女にヒーローの力を与えてくれないと。
      この描写ってすごく象徴的だなと思ってたんですが、シーズン4では事情が変わってきちゃってちょっぴり残念だったり。

      一方で、シャノワールの方は「ヒーローと怪人の曖昧さ」をけっこう表現してくれてるとも思いますね。
      彼の動機はレディバグへの情緒的な愛情に大きく依存してるわけで、ヒーローでありながら必ずしも善悪を基準にしてない。
      レディバグだってその要素は持ってるわけで、2人がヒーローであることの必然性だって確かに高いとも言い切れない・・・

      たいへんすみません、長くなってしまいました。
      ともあれ興味深いご意見ありがとうございます!