フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第71話 タイムタガー(Timetagger)
みんなの人気者アリックス回。割と衝撃の事実も明らかになる。
ストーリー
プロローグ
マリネットとアルヤは公園で、アルヤとニノの弟妹の面倒を見ていた。
ニノの弟クリスはスマホでラップのゲームをやりたいとせがんでくる。
と、ハトの大群が飛んでいくのを見てアクマが出たと気付いたマリネットは、無理のある言い訳をしつつ中座し、レディバグに変身。
ルーブルを襲うミスター・ピジョンを、レディバグもシャノワールもうんざりした様子でさらりと片付ける。
ラミエル氏はハトに対する過剰な愛情を利用され、これまでに23度もアクマタイズされたらしい。
アクマ登場
レディバグとシャノワールが帰ろうとすると、突如空間に穴があき、中からタイムタガーを名乗るアクマが姿を現した。
ラップ口調のタイムタガーは「過去に戻す」と口走り、手にした銃で地面や壁を撃ってはグラフィティアートを刻み付ける。
さらにラミエル氏が撃れたかと思うと、彼の姿が消え、代わりに同じ名前を持つ中世騎士の銅像に変わってしまった。
先ほどミスター・ピジョンに対して能力を使ったため、レディバグにもシャノワールにも時間がない。
すぐにアクマを捕まえようとするが、タイムタガーは時間の流れを移動する力であちこちに瞬間移動してしまう。
一方、ホーク・モスも見知らぬアクマに興味を抱いていた。
タイムタガーが自ら言うには、彼は未来の存在らしい。未来のホーク・モスにアクマタイズされ、過去の世界で未熟なレディバグとシャノワールからミラキュラスを奪ってやろうとしているのだ。
ヒーロー登場
変身が解けそうになったレディバグとシャノワールは一旦ルーブル美術館に退却。
トイレの中でティッキーたちにおやつをあげて、再び変身!
二人が美術館の外に向かったところで、アリックスに遭遇した。
アリックスは家に代々伝わる懐中時計がレディバグへのメッセージを発したのだと言う。
レディバグが懐中時計を開くと、内部から水色の煙がたちのぼり、女性の声が「過去を深く掘り下げなさい、ウサギの巣穴が見つかるまで」と語り掛ける。
二人はアリックスに案内され、最古の展示品であるエジプトコレクションの区画へ。
エジプト文字が刻まれた巨大な石碑をカタクリズムで破壊すると、中から白と水色のコスチュームを着た大人のヒーローが現れた!
新ヒーロー登場
彼女はバニックス。時計が盗まれたときのために秘密のメッセージを残しておいたらしい。
未来世界において、大人のレディバグとシャノワールのヒーローチームの一員。
ウサギのミラキュラスを使う彼女はタイムトラベルの能力を持ち、最後の希望として危機的状況を任されていた。
が、大人シャノワールのうっかりでミラキュラスを壊されてしまい、タイムタガーに古代エジプトに送られ、石碑の中に閉じ込められたらしい。
アリックスの持つ時計をバニックスが手にすると、それはウサギのミラキュラスという正体を現した。
バニックスは変身を解き、自分は大人になったアリックスだと告げる。
レディバグは戸惑いながらも、タイムタガーを未来世界に送り返すべきだという大人アリックスの案にうなずく。
大人アリックスは「フラッフ、クロックワイス」の掛け声で、再びバニックスに変身した。
外に向かう一行だが、タイムタガーのせいで現在が書き換わっていく様を見てレディバグは不安をのぞかせる。
自分にできるかと顔を曇らせるレディバグに、バニックスは未来世界でのレディバグの活躍を語り、自信を持つようにと励ました。
ヒーローの戦い
美術館の外には、そこら中にタイムタガーが銃で印した「時間の網」が張り巡らされていた。
バニックスはレディバグとシャノワールに動かないよう伝え、一人でタイムタガーと格闘する。子どもの頃の自分がこの事件を見ていたときの記憶をたどり、子供アリックスにはアイス屋台の後ろに位置取らせていた。
バニックスはバロウ(Burrow)の能力で時空間に穴を開け、時間と場所を好きに移動できるらしい。
互いに瞬間移動ができるバニックスとタイムタガーの戦いに、シャノワールも加勢しようとカタクリズムを振るったものの、あやうくバニックスの傘を破壊しかける。
バニックスはすんでのところで避け、タイムタガーに時間の穴を通らせることに成功した。
しかしタイムタガーはすぐに戻って来て反撃に転じる。
何度も過去や未来に飛ばされたバニックスは疲弊し、自分だけではどうにもならないとレディバグに訴えた。
レディバグはラッキーチャームでメモ帳を入手。
バニックスに銃を向けたタイムタガーにミラキュラスを要求され、レディバグはおとなしく降参すると、大人の自分に謝りたいから手紙を書かせてほしいと言う。
レディバグは手紙が書けなかったふりをして丸めたメモ帳をこっそりバニックスに渡し、あきらめた振りをして未来に帰るよう促した。
未来に戻ったバニックスは大人のレディバグとシャノワールに対峙し、メモを渡す。
そこにはルーブル美術館前の図が記されていた。
レディバグはシャノワールの手を引いて、タイムタガーの前まで歩み寄った。
勝ち誇るホーク・モスだったが、タイムタガーに嘲笑される。未来のホーク・モスと現在のホーク・モスは別人だと言うのだ。
ミラキュラスが取られそうになった瞬間、バニックスの時間の穴からヨーヨーとスティックが飛び出し、タイムタガーを拘束して腰に提げた銃を跳ね飛ばした。
シャノワールがカタクリズムで銃を破壊し、レディバグがリベール・デュ・マールで浄化を果たす。
アクマタイズから解かれた青年をバニックスが迎えに来た。彼はニノの弟クリスだったらしい。
バニックスはヒーローたちと子供の自分に見送られ、未来へ帰って行った。手を振る子供アリックスが見ている光景は、バニックスの記憶にあるものと同じことだろう。
一件落着、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。
変身を解いたガブリエル・アグレストは、未来のホーク・モスが別人だというタイムタガーの言葉を懸念する。
自分はいずれ負けるのだろうかと消沈するガブリエルを、未来は一つではないとナタリーが慰めた。
エピローグ
あいかわらず頻繁にアクマタイズされるラミエルさんに、レディバグとシャノワールはなおも出動させられていた。
マリネットは子守りをしてあげられないとアルヤに謝るが、アルヤは他の友達に頼んだから気にしないでと軽い態度。
友達というのは性悪なリラ。ラップのゲームアプリは自分が作ったと嘘をつき、クリスの心を惹きつけていた。
ハトへのこだわりを抑えたいと悩むラミエルさんに、シャノワールは他の生き物と友達になってはどうかと軽く提案する。
ラミエルさんは通りかかった一匹のネズミに親近感を覚えているようだった。
感想とメモ
「大人」が具体的に何歳なのかは明らかにされない。
未来にも存在するヒーローとヴィラン
まず「大人のレディバグとシャノワール」という言葉にびっくりである。
まさか、大人になるまでずっとレディバグとシャノワールをやってるのか?
確かにレディバグたちは歴史のあるヒーローなんだし、なんらかの悪の存在があったのなら活動しててもおかしくはないけども。
それより問題なのは「未来のホーク・モス」である。
まさか、ホーク・モスは何年たってもまだミラキュラスを手に入れられないくせに今と同じことを繰り返しているのか?
目的はエミリーの復活なのに?
さすがに別の手段を探らないか?
ミスター・ピジョン×23回と同じように無駄な根気を発揮したというのか?
むしろ、未来のホーク・モスは今のガブリエル・アグレストと別人だと思った方がうなずける。
今のガブリエルがより悪の側面を増して、エミリーという目的以上にミラキュラスを欲するようになったのかも。
あるいは、ガブリエルは退場し、本当に別の人物がモスのミラキュラスを手にしたのかも。
いずれにせよ、ガブリエル・アグレストにとって「未来のホーク・モス」が存在しているのは決して嬉しいことじゃないように思えるが、本人はそこに気が回っていないらしい。
……と思いながら見てたら、やはり未来のホーク・モスはガブリエル・アグレストではないらしい。
そしてタイムタガーがそれを知っている。
つまり、今のホーク・モスの正体が知られるときがいずれ訪れるということ。
しかしナタリーの言う通り、ガブリエルの願いが叶わないことを意味するわけじゃないのだ。
願いが叶ってホーク・モスになる必要がなくなったのかも。
他の悪党にミラキュラスを奪われるのかも。
もしくは単に死ぬのかも。
先の展開は分からないね。
じゃあ未来のホーク・モスは?
最後に意味深に登場した誰かさんがあまりにも気になる。
後のタイムタガーであるクリスを手懐けてるし。
ガブリエルめ、だからリラをあんまり懐に入れるなって言ったじゃないか!(オニチャン回で)
……と、先の展開は知らないけど前もって言っておこう。
やだなぁ。そうなってほしくないなぁ。
アリックスはやっぱりできる子
大人アリックスは超クール。ピアスだらけ。
「いつかミラキュラスを渡してもらえるよ」なんて未来を教えちゃっていいのか……と思うけど、視聴者はだいたい予想してただろうからいいか。
なにしろアリックスは鋭い。変身してなくても役に立つタイプの子だった。
今回訳知り顔で出てきた割に、タイムタガーを倒す上では気の利く立ち回りをしてなかったことには触れないでおこう。
愛くるしいウサギのクワミはフラッフ(Fluff)。
訳の分からないことを言う不思議ちゃんだが、誰も突っ込まないのが海外アニメらしくて好き。
タイムトラベルという能力の危険性をしっかりわきまえているらしく、無言で大人アリックスに目配せ。こいつ、できる。
変身を解く掛け声は「カウンター・クロックワイス(Counter-Clockwise)!」
クロックワイスは「時計回り」、カウンター・クロックワイスは「反時計回り」。
バニックスの武器は傘。パンクなアリックスにはあまり似合うデザインじゃないが、懐中時計と傘はなんとなく相性がいいよね。
この傘で円月殺法すると時空間に潜る(バロウ(Burrow))ことができるらしく、時間は変わらずにただの瞬間移動がでていることになる。
タイムタガーは「印をつけた時間に戻る」という理屈付けがあるが、バニックスにはないぞ。
そういえばアリックスはタイムブレイカーにアクマタイズされたときも、こんな時間の穴を使ってタイムトラベルしていたね。
バニックスの事情
ややこしい。
未来世界でシャノワールにミラキュラスを壊された
⇒タイムタガーに古代エジプトに送られ、石碑に閉じ込められた
⇒5000年間、石碑の中でトイレを我慢してた
⇒現在、石碑から解放され、アリックスから過去のミラキュラスをもらって能力を復活させた
「過去から物を持ってくる」という所業によってミラキュラスを複製したことになるのは、ものすごい意味を持つような。
だって絶賛故障中のミラキュラスがあるじゃないか。
ホーク・モスはレディバグとシャノワールのミラキュラスより、ウサギのミラキュラスを狙った方がいいんじゃないのか?
そしてミラキュラスの時計をクデル一族に代々伝えるよう細工したのはいつなんだろう。
石碑に閉じ込められてる間、ミラキュラスは壊れてたから扱えなかったはず。
とすると「未来に戻ってから」この細工を行ったことになる?
ということは、未来に戻ったら壊れたミラキュラスを直せたということ?
ということは、未来では壊れたミラキュラスに関する研究が進んでいるということ?
ガブリエルが本当にエミリーを取り戻したいだけなら、ホーク・モスになる必要はそれこそなくなっているんじゃなかろうか。
タイムタガーのトンデモ能力
タイムタガーは人を銃で撃つと、指定した時代の世界に送りこむことができる。
それによって変化した過去が現在に反映され、名画や像として出現するということらしいが……。
まあいいか。そこは突っ込まないでおこう。
レディバグの言う通り「現在がめちゃくちゃになってる」ということなのだ。
過去に送るとこのように現在に影響してしまうわけだが、未来に送ると現在はまるで影響を受けない。
つまり未来に送ってしまえば、現在において不利な変化が起こされることはありえない1。
はるか先の未来に送ってしまえば、実質は殺したも同然である。
バニックスは自分も時間移動できるからなんとかなってたけど、地球がない頃に戻されてたら一瞬で息絶えてたかも。
最強では?
でも扱う人間がそこまで頭良くないから、今回の程度で済んでいるといえるか。クリスは億泰。
無機物を撃ったときに塗られるグラフィティアートは、時間の網を張った印らしい。
その印をつけた時間に好きなように移動できるということ。
つまりタイムタガーは時間のみならず空間も支配下に置いている。バックワーダーとは違うところである。
アクマがミラキュラスを奪ったとして
前にも考えたような気がするが、アクマの立場として、奪ったミラキュラスをわざわざホーク・モスにプレゼントする義理なんてない。
たとえアクマの能力を奪われても、レディバグとシャノワールのミラキュラスをそろいで持ってる方がよほどすごい力になるはず。
なんせホーク・モスは「取引」によってアクマを操っているだけなのだ。
アクマからホーク・モスに対して、崇拝や好意みたいな情緒的なつながりがあれば理由なんてなくても従うだろうけど、ガブリエルのやり方はそうじゃないからね。
今のところは、アクマたちは特にこだわりもせずホーク・モスの頼みを聞いてやっている。
そもそも二つのミラキュラスが強大な力を持つ事実を知らなかったり、アクマとしての能力に満足してたりするから。
ミラキュラスの力を知ってしまったら、やはりマルコフみたいにホーク・モスを裏切ろうと考えてもちっともおかしくないだろう。
つまり今のホーク・モスのやり方は、アクマ本人が二つのミラキュラスを使ってやろうと考えた時点で破綻してしまう。
悪人よりも魔が差した程度の一般人ばっかりアクマタイズするのは、実はこれが理由だったりしないかな。
だとしたらリラだってアクマタイズすべきじゃないわけだが。
その他ポイントメモ
- 韻踏みゲームが苦手らしいマリネット。フライトニンゲールのときはあんなに機転が利いたのに。
- ヒーローには突然姿を消す言い訳が必要。
マリネット「ごめん、ちょっとマカロンの味見してくる!」
アドリアン「ごめん、ちょっとシャワー浴びてくる! ほら、モデルだから」 - 23回も試したらしいホーク・モス。10回目くらいで諦めなかったのか。
- 英語だと、タイムタガー登場時に「時間をだます(criss-cross time)」という言葉を使って自分の名前(クリス)とかけていたのが分かる。
- 展示品をためらいなく壊すヒーローたち。「ミラキュラス・レディバグ」で元に戻せるからか。
- 「邪悪なイグノブリア」がすごくワスプ。
英語だとマジェスティアの姉妹だって言ってた。そういえばマジェスティアはキャプテン・マーベルっぽかったな。 - 「ムッシュ・ラット(ネズミ閣下)」が意味ありげだと思ったら、最後にフラグを立ててきた。
- レディバグとシャノワール、それぞれの恋路は未来世界でも特に展開してないらしい。
それはここで言っちゃってよかったのか……? - タイムタガー「いいだろう、時間をやる」
ホーク・モス「用心しろ、罠かもしれない」
タイムタガー「レディバグが俺をだませると思ったら大間違いだね!」
油断の様式美。いつものやつ。 - あの短時間で完璧な図示ができるレディバグ、さすがプロデザイナー。
- バニックスと同じ理屈なら、大人レディバグとシャノワールにもこのときの記憶があるはずってことか。だから子供レディバグは具体的な位置だけ教えればよかったと。
- 大人クリス、チャラい。
今回の記事はここまで。
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