地上波に追いつかれつつあることに気付いています。
フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第90話 ウィッシュメーカー(Wishmaker)
ルカがマリネットとアドリアンに力を貸す回。
ストーリー
プロローグ
学校で卒業後の進路票を書く宿題が出た。キャリアエキスポで様々なブースを見てくるようにとのお達し。
アドリアンはいつも父に従うばかりで、自分のやりたいことが思いつかない。ともあれプラッグに励まされてイベントへ向かう。
マリネットの方は自分の進路に確信あり・・・のはずが、クワミたちからあれこれ口を出され、本当にやりたいことを探すためやはりキャリアエキスポへ向かうことに。
アクマ誕生
キャリアエキスポ会場では、レポーターのアレクがテレビ番組『冗談でしょ』のコーナーの取材に来ていた。
アイス屋台のアンドレにインタビューをして、無意味な仕事だとディスってみたものの、さらりと受け流され、「君も本当にやりたいことが見つかるはず」と励まされて戸惑いを隠せない。
マリネットもアンドレの話を聞いていたら、偶然ルカに出くわした。
弦楽器職人の夢が決まっているルカは自分でブースを出展しており、そこにもアレクがいちゃもんを付けてくる。
ルカもまたアレクの悪口など気に留めず、川沿いに皆を連れてくると手作りのバイオリンを掲げて見せる。
その美しさに思わず感動しかけたアレクは、我に返って不機嫌になりながら立ち去った。
ルカとマリネットは落ち込んだ様子のアドリアンを見つけて声を掛ける。
アドリアンはすべてのブースを見て回ったが、結局やりたいことが見つからなかったという。
どれをやったらいいか分からないマリネットと、やりたいことが見えないアドリアン。
ルカは「答えは目の前にある。聞こえなくても音楽を止めないで」と二人を励まし、バイオリンを聴かせてくれた。
その頃、アレクはウィッグのブースにいちゃもんを付けたものの、髪が長かったことを笑われた子供時代の痛みを思い出し、自分が悪口を言って鬱憤晴らしをしていたと自覚して泣き崩れる。
アレクの後悔を察知したシャドウ・モスが、マイクにアクマの蝶を宿らせウィッシュメーカーへとアクマタイズした。
ヒーロー登場
ウィッシュメーカーは杖から放つ光弾で、人を幼い頃に夢見た姿へと変えてしまう。
サンタクロースやらワニやら巨大ロボットやら街中を闊歩し始め、マリネットとルカ、アドリアンも異変を察する。
ルカはアドリアンを逃がし、マリネットを更衣室に隠すと、自分が囮となって巨大ロボットを惹きつける。
すぐさま駆けつけたレディバグがロボットをおびき寄せ、様子を見に戻ったルカは更衣室からマリネットが消えていることに気付いた。
ヒーローの戦い
レディバグとシャノワールはウィッシュメーカーを止めようとするが、光弾を食らって姿を変えられたらまずい。
攻撃をかわしながら、万が一に備えて時間を戻せるヴァイペリオンを呼んでくることに。
シャノワールにウィッシュメーカーの相手をしてもらう間、レディバグはルカにミラキュラスを渡す。
ヴァイペリオンへと変身したルカはセカンド・チャンスを発動し、時間を戻す準備はOK。
レディバグはラッキーチャームでハグザウルスのぬいぐるみを手に入れた。
自分に夢がなかったことを気に病むシャノワールは、思い出させてやるというウィッシュメーカーの言葉に困惑する。
隙ができたシャノワールを守ろうとヴァイペリオンが光弾を弾いたが、代わりにレディバグに命中してしまった。
編み物の妖精へと変身したマリネットの姿がさらされ、ヴァイペリオンはすかさず時間を戻す。
だが今度はシャノワールが攻撃を食らってしまい、「両親の期待に応える息子」として今のアドリアンの姿に。
再び時間を戻したヴァイペリオンは、レディバグにハグザウルスを渡す相手を教え、シャノワールを守ることにも成功。
ウィッシュメーカーの攻撃は、ぬいぐるみにつられて現れた男性に命中。彼は夢をかなえて大きなハグザウルスに変身し、ウィッシュメーカーにハグを食らわせる。
その隙にレディバグがウィッシュメーカーの杖を奪い、シャノワールのカタクリズムで破壊。
出てきたアクマは浄化され、ミラキュラス・レディバグで元通り。
レディバグはアレクにマジカルチャームを渡し、一件落着。
心を入れ替えたアレクは、新番組で人を幸せにすると約束する。
エピローグ
レディバグはルカからミラキュラスを回収して、正体を守れたことにお礼を言う。
ルカは自分も二人の正体は見ていないと嘘をついた。
アドリアンは過去の夢など関係ないと思い切り、未来を見すえる勇気を持つことができた。
マリネットもまた、迷うことなくすべてをやってのけると覚悟を決めていた。
感想とメモ
まごうことなきルカ回ですが、「自分のやりたいこと」というテーマとしても面白い話。
マリネットにもアドリアンにも、ルカは大きな存在ですね。
ルカ絶好調
相変わらず格好よく有能で爪が黒いルカ。
「楽器は空間を満たし、空間は楽器を満たすんだ」
「モデルはきみのメロディーに合ってないと思ってた」
マリネットとアドリアンに掛ける言葉も、彼らしく詩的で的確。
「マリネットの音楽はブラスバンド。色んな楽器がバラバラに鳴ってるけど、よく耳をすませば美しい音楽だと分かる」
「アドリアンの音楽は誰かの弾く哀しいピアノの音にかき消されてる。でもきみの本当のメロディーは明るいロックンロール」この的確さはアンドレみたいなスーパーパワーというより、彼の想いやりと洞察力から生まれるものかもしれません。
しかしアドリアンのロックンロールを察知するのはさすが。バンドの練習とかで、二人で話す機会も実はあったのかな。
ルカは本当にマリネットのこともアドリアンのことも大切に思ってるようで、ちょっとやるせなくも感じますね。
チームの一員となったルカ?
・・・という話につながるはず、本来は。アルヤと同じ立ち位置になったと。
ところが、ルカはマリネットに二人の正体を知ったという事実を言わなかった。
ゆえにルカの視点では今まで以上にレディバグとシャノワールを助けようと思うでしょうが、レディバグとシャノワールから見れば特に関係性は変わらないことに。
今回の話だけだと描写不足で、彼の意図は分かりません。
ただ、嘘をつくことになった理由は、レディバグとシャノワール両方の正体を知ったからって要素が大きいように思えます。
というのも、知ったのは正体だけじゃないから。マリネットとアドリアンのすれ違った片思いの全体像も知ってしまった。
ルカはチルにふるまいますが、マリネットのことが好きなのは確かなように見えます。
そしてマリネットの正体を知ったときは驚きだけだったのが、アドリアンの正体を知ったときは驚いた後で何か考え、沈んだ表情を浮かべてました。
最後のシーンで見せた悲しそうな顔は「嘘を吐いたことへの罪悪感」ゆえかもしれませんが、二人の正体がそうだったという事実にも、彼は複雑な思いを抱いたのかもしれません。後の展開を見守りましょう。
身も蓋もないことを言うと、ルカもシャドウ・モス正体知られてる以上、マリネットには正直に言っておいた方が戦略的には望ましかったようには思えます。何らかの能力で吐かされるリスクがあるわけなので。
でもそう理想的にはいかないところ、有能なルカもやはり生きたティーンエイジャーだということを忘れちゃいけません。
仕事の意味
アイスの屋台は職業じゃなく「天職」だと称するアンドレ。
職業に大切な要素は「何ができるか」「何をしたいか」「何をしてあげられるか」とのことです。
アンドレのおっしゃることは素敵ですが、個人的には「職業じゃないからこそできることがある」と思ってたりします。
このブログもそうですが、文章を書いて金をもらうことになったら、こんな思いつきをたかだか数時間の推敲で整えた程度のモノなど渡せませんもの。金をもらおうなんておこがましい。
仕事は仕事と割り切ってやるべきことをやり、趣味は趣味で自分のやりたいことをやる。
私の場合、こうして仕事を趣味を切り分けて二つのペルソナを持ってた方が、健全な精神状態を保てる気がします。
・・・とメモしておいたら、ルカが「俺にとって曲作りは仕事じゃないから」とおっしゃってくれました。
ほら、ルカも同意見ですよ、ほら。仕事とやりたいことは別。ちょっと違うか。
天職に身を捧げることにロマンを感じるか、仕事は自分の要素の一つにすぎないと思うか、みなさんはどっち派ですか?
クソレポーターアレクの改心
アレクの取材、ディスってる振りをして逆に魅力を引き出そうっていうウィットに富んだ企画かと思いきや、ガチでただ悪口を言うだけらしい。パリのテレビ局はどうなってるんだ。
そんな彼も実は感じやすく思いやりのある男だったらしい。
ウィッシュメーカーはみんなの夢をかなえるアクマ。害がないと見せかけて、レディバグとシャノワールの正体を暴くにはものすごく有効な能力でした。
ほんとに夢がなかった人はどうなるのかなと思ったりしますが、幼少期のどこかではなにかしら夢見るものですかね。
たぶん私が攻撃食らったらサタンさまになったと思います。
ところでウィッシュメーカーのデザイン、すごくスタイリッシュでした。
アレクが手足長くてスタイルいいから、アクマになって戦う姿もやたら格好よかった。
しかしアレクがクソ野郎じゃなくなっちゃったら、アクマタイズの芽が摘まれますね。
クソ野郎はボブ・ロスしか残ってないぞ。クロエお嬢様もいるからいいか。
マリネットの夢は?
マリネットの進路は、確かにデザイン関係一択だと思ってましたが、才能が多岐にわたって逆にどこから手をつけるか迷いそう。ファッションもグラフィックも建築も、全部イケるもんね。
そしてマリネットの「人生に意味を与えること」を口々に指摘するクワミ達。性格出てる感じ。
- ロア(トラ)「ミラキュラスのガーディアンでいることだよね」
- ムロ(ネズミ)「学校に行くこと」
- サピュウ(サル)「アドリアンにプレゼントを作ること」
- ロン(ドラゴン)「ミラクルボックスを隠すドールハウスを作ったこと」
- ウェイズ(カメ)「セキュリティシステムを作ったこと」
- ジギー(ウシ)「アドリアンかルカとの恋」
- カルキ(ウマ)「レディバグとしてすばらしいことを成し遂げて歴史に名を残すこと」
ヒーローが職業?
スーパーヒーローは職業になりえるか問題、興味深い。アルヤ、ブログに記事を書きなよ。
第一に、営利目的の職業という意味では、ヒーローというより傭兵になってしまう。暴力を売るってこと。
第二に、非営利であっても公共事業としての職業という意味では、なつかしの超人登録法をめぐる議題に立ち戻る。すなわち、ヒーロー活動に当局による制限と承認が求められていいかどうかと。
直接的に「プロヒーロー」を描く作品では、この辺の論点がまさに出て来たりします。ミラキュラスのニューヨーク編でもその要素ありましたね。
ミラキュラスのヒーローは今のところヴィジランテとして好意的に受け入れられてるので、こういう話題にはならなそう。
それはそれで、社会的な信用という面で基盤がないのは別の問題を生んだりする。市井の人々からの評価がすべてになっちゃうわけです。昨日まではヒーローだと持ち上げられていても、明日には危険だテロリストだと石を投げられるかもしれない。
今のレディバグたちは何度もパリ市民の前で危機を救ってるから、もう評価が確立されてはいる感じ。
ですが扇動のうまい悪党がいたら、「ヒーローもアクマも同じような存在」としてヒーロー排斥が唱えられたり・・・とかもありそうな話です。
今のところ扇動のうまいキツネ系の悪党はレディバグとシャノワールにあんまり興味なさそうですが。
その他ポイントメモ
- しょっぱなからクロエの「デュパン=チェ~ン」が聞けて幸せです。
- 毎回言ってるけど今回も言いますね。
ルカの爪が黒くてたいへんよろしい。
ルカのTシャツ見るとどうしても笑っちゃう。 - 迷ったあげくアドリアンではなくルカの隣に腰かけるマリネット。
- ジャゲッド「よう、カッコいいな。ロックンロール」
このロックスターいつもパリにいるの? - ジャゲッド「よう、息子よ」
すっかりルカになついてるロックスター。 - ワニ「助けてくれ、泳げないんだ!」
お笑い要員のロックスター。 - シャノワールをひょいひょい振り回して攻撃をかわすレディバグ。
- ルカ「ワニなら泳げるでしょ」
ルカにまともなツッコミをさせるロックスター。 - ワニのしっぽがふにふに動いて愛くるしい。
- 正体を知ったときのシャドウ・モスの反応は、キャットブラン回でもう分かってるから今回は割愛気味。
- キュウリになりたかったバナナ。
- 今回のためになる英語フレーズ「Count on me!(俺を頼って)」
スーパーヒーローが困ってたらこう言いましょう。 - 「自分を愛せなければ他の人も愛せませんからね!」
いいこと言いやがる。 - オウルのブースが出てこなかったぞ。どうなってるんだ。
- 冴羽獠みたいな服着たモブが気になってしょうがない。前にも言った気がする。記憶喪失が激しい。
今回の記事はここまで。
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