フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。
話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら。
第30話 ディスペア・ベア(Despair Bear)
みんな大好きクロエ回。執事さんもクロエが大好き。
ストーリー
プロローグ
学校でマリネットのパパがマカロン作り教室を開講した。
夢中になる生徒たちの中で、マリネット嫌いのクロエだけは不機嫌顔。
そこに突然サイレンが鳴り、学校中が避難する騒ぎに。
誰かが消防署にいたずらで通報したと分かって、校長先生はお怒り。犯人が名乗り出ないなら全員が罰として掃除をしろと言い渡した。
ただし市長を盾にしたクロエだけが免除され、理不尽な仕打ちにみんなげんなり。
アドリアンがクロエに事情を聞くと、電話した自分と認めながらもまったく悪びれていない。
さすがのアドリアンも呆れ果て、みんなに「もっと優しく」すべきだとたしなめた。
家で落ち込むクロエを、執事さんがチョコとクマちゃんのぬいぐるみ「ミスター・カドリー」で慰める。
ミスター・カドリーに優しくされたことを思い出してとアドバイスされ、クロエは自分も優しくなれると奮起した。
アクマ誕生
マリネットの家でファッションアイテム撮影会をする女子たち。
そこにクロエからのメールが届き、みんなをパーティーに招待するという。なんとマリネットまで誘われた。
疑いを隠せないマリネット以外は、クロエの優しさとして素直に受け取った。
意地悪娘のクロエがパーティーを開くと聞きつけ、誰かが傷つくはずだと察知したホーク・モス。今回は先回りしてアクマの蝶を放った。
ホテルで開かれた盛大なパーティー。クロエは執事とミスター・カドリーに促され、気が進まないながらも「優しいホスト」らしくふるまう。
トゲが出そうになってもなんとか取り繕ってしまうので、アクマタイズ対象が簡単に見つかると思ったホーク・モスは歯ぎしり。
素直に楽しむみんなに対し、マリネットだけはクロエが振りをしてるだけだと批判的。
だがクロエがキムと仕方なく踊っている隙に、なんとアドリアンとダンスすることになって夢見心地に。
抱き合って踊る二人を見て、さすがのクロエも我慢の限界。
割って入ろうとしたところ、執事さんとミスター・カドリーに邪魔される。
幼稚なクマちゃん人形をみんなに見られ、恥をかかされたクロエは執事に大激怒。
クビだと怒鳴られた執事がしょげかえっていると、ようやく獲物を見つけたアクマの蝶がミスター・カドリーに憑りついた。
執事はディスペア・ベアへとアクマタイズされ、クロエをしつける…というよりかわいがる邪悪なクマちゃん人形に入り込んだ。
ヒーロー登場
ディスペア・ベアの操るぬいぐるみにしがみつかれた人間は、人形のように操られてしまう。
操られたサブリナとキムは、クロエを不自然にかわいがり始めた。
アクマの存在に気付いたマリネットとアドリアンは、すぐさまトイレでレディバグとシャノワールに変身!
尺の関係でシャノワールの変身は省略。
ヒーローの戦い
ディスペア・ベアは次々と人を操ってレディバグとシャノワールを襲う。
例によってあっさり操られてしまったシャノワールが、カタクリズムでレディバグのミラキュラスを狙った。
大ピンチのそのとき、クロエが飛び込んできてシャノワールの尻尾を引っ張り、レディバグを助ける。
その隙にレディバグはラッキーチャームでフォークを入手。
まだ操られているシャノワールに追われて屋上へ。
レディバグはディスペア・ベアのぬいぐるみの毛糸の端をフォークにくくりつけ、フォークをパラソルに引っかけた。
手を貸そうとやってきたクロエに声をかけると、クロエはすぐさま意図を察し、パラソルを回転させてぬいぐるみの体をほつれさせる。
頭だけになったぬいぐるみを操ることはできず、ディスペア・ベアはぬいぐるみを飛び出した。もはやただのちっちゃいおじさんだ。
レディバグは悠々とリベール・デュ・マール。すべてを元通りに。
レディバグに感謝されたクロエはすっかりいつもの調子を取り戻していた。
人に優しくするのも悪くないと笑い、執事のクビも取り消しに。
エピローグ
クロエは最高に優しいアイデアを思いつき、パーティーを続行。
マリネットのパパを呼び、台無しにしてしまったお菓子教室をまた開いてもらったのだ。
アドリアンに褒められたクロエはごきげんで、みんなが作ったマカロンをこきおろしに行くのだった。
やっぱりクロエは変わらないと呆れ笑いのアドリアン。
マリネットはクロエの態度にぷんすかしつつ、マカロンとダンスをアドリアンに褒められて有頂天。
感想とメモ
クロエ回はつい長々と語ってしまうね。
アドリアンがクロエに物申す
以前はクロエの横暴を見ながらもタジタジするばかりだったアドリアンだが、今回ばかりは注意する。
自分の意見を主張できるようになったのはアドリアンの成長ポイント。
と言っても「きみは最低!」と攻撃的に言うのではなく、「人を思いやれない子とは友達でいたくない」「もっとみんなに優しくできない?」という教訓的な言葉選びをするのがアドリアンらしい。
でもアドリアンにこんな態度を取られて、さすがのクロエも平気な顔はしていられなかった。
「優しい」は英語では「nice」という言葉が使われてます。
クロエは分からないだけなんです
優しくすることが分からなかったり、執事さんが支えてくれようとするのに対して「なんでそんなことしたいの?」と訊いちゃうクロエ。
クロエの横暴さは思考が未成熟ゆえなんですね。
自分のことしか意識してないから、人が自分にどんな気持ちを抱くかが想像できない。
執事さんに「あなたが大切」と言われてキョトンとしちゃうクロエのかわいいこと。
いつも自信満々に「アタシはみんなに好かれてる」とか言ってるのは、スターとして憧れられているようなイメージ。でも家族や友達としての愛情を向けられることは想像ができない。これまでそういう愛情を表現してくれる相手がいなかったんだろうと思うと、ちょっと切ないね。
クロエがミスター・カドリーとの思い出を振り返っていたとき、左下に大人の女性を見送るイメージがあった。
彼女がここまで不在のママなのかな?
パパの権力は笠に着るクロエですが、ママのことは今まで口にしなかった。果たしてどういう人物なのか。いつ設定が決まったのか。まあ、クロエの育ち方を見るに、曲者であることは想像がつく。
クロエの執事、名前はまだない
執事さん、プリンセス・フレグランス回で「クロエお嬢様に友達はいません!」って言いきってた人だよね?
でもクロエお嬢様のことを本当の子どもみたいに大事に思ってるみたいだ。向ける視線がなにしろ温かい。
なんならパパよりずっと家族らしい愛情を示してくれてるけど、クロエは「ただの執事」としか認識してないから気づかないんだね。
クロエが名前を覚えてないせいで、本名は分からないまま。
ジャン=ミシェルではない。ジャン=ジャックでもない。ジャン=リュックでもない。ジャン=マックでもない。「ジャン」から始まることは確からしい。
ディスペア・ベアは日本語にすると「絶望のクマ」。意味というより語呂だろう。ディスペア(Despare)はしつけ(Decipline)と音的にかかってるのかな?無理があるか。
フランス語では「おもちゃヴィラン」みたいな名前らしい。
操作系能力を持つディスペア・ベア。一人しか操れないし、ぬいぐるみが物理的にくっついてないと操れない。
本体はちっちゃくなっており、命令して操っているというより中に入って直接体を操ってるっぽい。
ぬいぐるみがしがみつくと操れるというより、操っているぬいぐるみと一体化させることでそれも操れるという理屈かな。
操る対象がないとまったくの無力っていうのも珍しいアクマ。
だが、シャノワールにカタクリズムまで使わせちゃうのはどう考えても強い。変身を解かせることもできるってことだし。
それはそうとして、ミラキュラスに対してカタクリズムを使ったときどうなるのかは非常に気になる。
破壊できるんだとしたらホーク・モスが止めただろうし、レディバグの肉体を破壊してミラキュラスだけは無傷なのかもしれない。
肉体を破壊するって…そういえばカタクリズムを生き物に使ってもやっぱり粉みじんになるのかな。
レディバグのラッキーチャームは悪用するのは難しそうだけど、シャノワールのカタクリズムは悪党が使ったら大変なのでは。
クロエいるところアクマあり
アルヤからニノに「アドリアンも行く」という知らせが届いた後でホーク・モスが登場。
アドリアンがお父さんの許可を取ったから、パーティーが開かれることを知ったんでしょう。
さすが先見の明のあるホーク・モス、今までクロエがアクマを生み出しまくっていたことも学習済み。
クロエが何かするところ、アクマタイズの芽があると分かってるんですね。
でもクロエががんばったおかげで、アクマの登場がまさかのBパートラスト。
ここでクロエがアクマタイズを引き起こした行動の閻魔帳を見てみよう。
- タイムブレーカー:大事な時計を壊した
- イラストレーター:片思いをバカにした
- ロジャーコップ:仕事をクビにした
- ホリフィケーター:侮辱した
- ダークキューピッド:告白してきたのをバカにした
- プリンセス・フレグランス:恋心をあざけった
- カン・フード:料理勝負を妨害した
- リフレクタ:トイレに閉じ込めた
- ディスペア・ベア:クビだって怒鳴った
精神攻撃、物理攻撃、社会的地位への攻撃まで幅広いね。
マリネットの宿敵クロエ
我々はクロエのかわいさに気付き始めたものの、目の敵にされているマリネットにとってクロエはやはり宿敵のわがまま娘。
厄介事があれば全部クロエのせいだと思い込んでしまう。実際そうだけど。前科もあるけど。
でも今回、マリネットとクロエが意外と似た者同士なんじゃないかってところが描かれてる。
クロエを犯人だと決めつけるマリネットにアルヤが「それじゃクロエと同じ」と言ったり、ほっぺにキスのシーンは完全にシンクロしてたり、アドリアン目当てで行動しちゃったり。
それはヒーローであるマリネットにも、普通の女の子らしいイヤな面があるということ。
そしてクロエにも、マリネットと同じようにヒーローの資質がある…のかもしれない。
ほっぺにキスのシーンは目玉。
その他ポイントメモ
- クロエ「マリネット・デュパン=チェ~ン」
気に入らない相手をフルネームで呼ぶやつ。後に和解し「マリネット…」と呼んで決まり悪がる場面が想像できます。かわいいですね。 - 早く帰りたい消防士さん。
- クロエ「ヤサシク…?」
外国語ではありません。 - 体育座りするクロエってかわいいんじゃないか?
- クマちゃんはミスター・カドリー。「Cuddly」は愛くるしいって意味。
「Cute and Cuddly, Boys!(キュートに決めて媚びまくれ!)」はペンギンズ隊長の名台詞。 - クマちゃん抱くと親指しゃぶっちゃうクロエ。
- 執事さんはクロエを「お嬢様(マドモアゼル:Mademoiselle)」と呼んでる。
ディスペア・ベアになったときは日本語では「クロエちゃん」って呼んでるが、英語では「Chloékins」と呼んでる。名前を短くするのはあだ名っぽいけど、あえて長くするあだ名もあるんだね。日本語でも「クロエぽん」とか呼んだりするか。 - クロエの回想イメージはマリネットと違って日本風じゃない。
- ジュレカがバッチリポーズ決めて写真に写ってる!
- クロエからパーティーへの招待メールを受け取った女子たち、
ローズ「クロエって優しいのね!」
マリネット「クロエが優しいなんておかしいよね!」
ミレーヌ「別の誰かが送ってるとか?」
ミレーヌもひどいこと言っとる。 - アドリアンがパーティーに来たのを見て後ろでぴょんぴょんするクロエ。
- 頬にキスはマナー。キム、全然意識してないんだね。
- 今回のホーク・モス面白セリフ
「お前の性格の悪さに期待してるんだぞ!」 - 日本語では「意地悪娘」とお茶目に呼んでますが、英語では普通に「ミス・ブルジョワ」と呼んでます。
- 直角に腰を折って露骨にがっかりするキム。
- みんながティーンらしく単純なスローダンスを踊る中、アドリアンだけはちゃんとしたステップを踏んで踊ってるのが品がある。アルヤに矯正されたけど。
- パーティーでバラードが流れたとき男女がペアになって、男が女の腰に、女が男の肩に両手を置いて揺れるようなダンスを「スローダンス」と呼ぶ。アメリカの映画やドラマやアニメでよく出てくる。
間違ってないかなと一応ぐぐってみたんだが、ドラマの「スローダンス」か、社交ダンスとしてのスローダンスしか出てこないんだよ。日本の文化じゃないから。
英語のWikipediaにはちゃんと載ってました。 - キム「クロエの髪に触るのは俺を倒してからだ!」
謎の宣言。クロエがキムの後ろに隠れるのはかわいい。 - シャノワールのしっぽは持つところ。
- フランス人にずっこけ芸をさせるクロエ、さすがクロエ。
今回の記事はここまで。
コメント