ミラキュラス レディバグ&シャノワール:ストーリーと感想【第59話 サイレンサー】

フランス発の日本風変身ヒーローアニメ・ミラキュラスのストーリーと感想です。
本話までのネタバレを含みますので、視聴予定の方はお気を付けください。

話のナンバリングは日本のディズニーチャンネル準拠。
各エピソードの目次はこちら

この話からは記事作成時に完全初見。先の展開は知らずに勝手なこと言います。

第59話 サイレンサー(Silencer)

みんなお待ちかねであろうルカ回。キティ・セクションの演奏がまた聴ける!

ストーリー

プロローグ

ホテルのレストランを訪れた音楽プロデューサーのボブ・ロスと、息子であり人気ミュージシャンのミスターXY
市長はボブと旧知の中のようで、二人を歓迎する。

音楽番組で宣伝するための曲として、XYはいつものようにテキトーにパクった曲を用意していた。売り出すにはヴィジュアルやコンセプトも決めないといけないが、XYにはアイデアなど皆無。
だったら人様のアイデアをいただけばいいんだと、ボブは豪快に笑った。

アクマ誕生

ボブがアマチュアミュージシャンの動画を募集していると聞いて、マリネットとキティ・セクションの面々(ルカイヴァンローズジュレカ)はチャンスだと顔を輝かせる。
マリネットがデザインした斬新なコスチュームとともに、2週間で動画を完成させて応募した。

結果がなかなか来ないことにやきもきしていたところ、XYがテレビの生放送で演奏している新曲に愕然。
XYはキティ・セクションの衣装と曲を丸パクリしていたのだ。

マリネットたちはたまらずテレビ局に乗り込んだ。
イヴァン、ローズ、ジュレカが警備員の気を引いている隙に、マリネットとルカがスタジオに忍び込む。
詰め寄ってみたものの、ボブもXYも当然知らん顔。
我慢ならないマリネットがカメラの前で盗作を訴えようとすると、ボブは逆にお前たちが盗作したことにしてやると脅してくる。

そんなボブとXYに憤りを隠せないルカ。
その純粋な心に宿った怒りを察知したホーク・モスは、アクマの蝶を差し向けた。
アクマはルカがXYからはぎとったユニコーンのマスクに宿り、ルカは無言のままサイレンサーへとアクマタイズされた。

ヒーロー登場

サイレンサーはパクるのも大変だったとわめくXYに歩み寄り、唇に指を置いて「シー」と黙らせる。
するとXYの口から紫色に発光するクラゲのような物体が飛び出し、XY本人は声を出せなくなった。

サイレンサーはXYのクラゲをヘルメットに吸い込み、マリネットに怖がらないでと語り掛けた。右手を口のように動かし、奪ったXYの声を使ってしゃべっている。
マリネットは復讐はやめるようルカに訴えるが、サイレンサーは正義を取り戻すためにホーク・モスに与えられた力を使うと言い張る。そしてマリネットに対して「君は僕が守る」と詩的な言葉を残し、逃げたボブを追いかけて行った。

残されたマリネットは愛の告白をされたように思えてドキドキしつつ、トイレでレディバグに変身。

屋上でボブに迫るサイレンサーの前に立ちはだかるレディバグ
説得を試みるものの、ボブに盾にされたせいでサイレンサーに声を奪われてしまった。これではラッキーチャームも発動できない。
サイレンサーはひとまず撤退したレディバグを一旦捨て置き、復讐のためにボブを追った。

その頃アドリアンはピアノの稽古中。窓からサイレンサーを追うレディバグを見かけて、すぐにシャノワールに変身。
レディバグに合流し、声を取られたから特殊技や変身を解くことができないという状況をメールで教えてもらう。

ヒーローの戦い

地下水路に逃げ込んだボブは、市長に電話をして応援を寄越させる。
だが通話の相手は、先回りして市長の声を奪っていたサイレンサーだった。賢い。
サイレンサーは市長の声を使って警官ロジャーに指示し、ボブに手錠をかけてスタジオに連れ戻した。
ボブを社会的に抹殺すると脅し、ボブ自身の言葉でカメラの前で真実を語らせようとする。

スタジオに駆け付けたレディバグシャノワールは作戦を決行。
シャノワールがサイレンサーの気を惹く隙に、レディバグはボブを連れて楽屋に隠れる。やかましくしゃべり続けるボブに呆れつつも、電気スタンドをラッキーチャームのように赤と黒で塗った。

シャノワールと合流し、立ちはだかるサイレンサーの前で電気スタンドを掲げて見せた。スーパーパワーを取り戻したと言うシャノワールに、うろたえたサイレンサーはレディバグの声で「ラッキーチャームって言えるはずない!」と発言してしまう。
その声に合わせてラッキーチャームを発動したレディバグは、掃除機を入手。

電源コードをつなぎ、シャノワールからベルトを借りて掃除機を背負ったレディバグ。
サイレンサーと格闘するシャノワールはカタクリズムを発動。声は奪われたものの、サイレンサーのヘルメットを破壊した。
放出された声クラゲたちをレディバグが掃除機で吸い取り、自分の声を捕まえて飲み込みしゃべれるようになった。
アクマを浄化し、ミラキュラス・レディバグですべて元通り。

と、ガムテープで椅子に縛り付けられたボブがスタジオに怒鳴り込んできた。
ルカがヒーローに倒されたことに得意満面のボブは、開き直って一連のパクリ行為についてまくしたてる。
当然、回っていたカメラでボブの発言は生放送されていた。
失態に気付いたボブは、初めからそのバンドを演奏させてやるために仕組んだことだと取り繕う。

エピローグ

バンドのステージが始まる直前、マリネットルカを呼び止める。
アクマタイズされていたときのことは覚えていないルカだったが、あのときと同じ言葉をマリネットにかけてくれた。
愛の告白だと悟ったマリネットは、頬を赤く染めてステージの上のルカを見つめていた。

感想とメモ

なんと、アドリアンが空気になるエピソードがあろうとは。
シャノワールはいつも通り滑っててよかった。

怒ルカがアクマタイズ

いつも落ち着いてひょうひょうと構えていたルカが、今回ばかりは憤りをあらわにする。
ホーク・モスの発言からも、ルカの感情が他の連中とはちょっと違うことが匂わされる。こんな感じで評されるのは初めてのことか?

ルカが怒って指摘してたのは「あの衣装はマリネットのデザイン」ってところ一点だった。
傷つけられた「愛する人」っていうのは、バンドメンバーというよりはマリネットのことだったのだ。
言葉遣いも独特でいまいち本心が見えないルカだけど、少なくともいつでもマリネットの味方であるには違いない。
いいから早くヒーローになれ。

アクマタイズされるときのホーク・モスの呼びかけに一言も答えなかったのもルカが初めてか。
サイレンサーはブラック、グリーン、パープルのヘルメット付きスーツ姿で、割とヒーローっぽい見た目。
でも声を奪うときに生成するクリーチャーが気色悪すぎる。
奪った声を利用した賢い戦略を立てるサイレンサーだが、まんまとヒーローの策に乗ってしまうのはお約束。
ラッキーチャームが使えないにしろ、ヘルメットを破壊すれば声を取り戻せるのは予想ついたが、能力を奪うのはかなり強いよな。

で……どうすんのだマリネット。今回アドリアンのアの字も口にしてないぞ。

アクマを止めるのがヒーローの役目

サイレンサーは飽くまで「正義を為す」ことだと信じてボブを脅した。
シャノワールも一理あると思ったし、我々からしてもボブは悪者にひどい目に遭わされりゃいいと思ってしまう。

でもレディバグに言わせれば、アクマの力で強制した行為は正義とは言えない。
これを汎化すると非常に難しい議題になるが、ここでレディバグが言いたいのは「何が目的でもホーク・モスのアクマの力に頼るべきではない」ってことなんだろう。
ルカやキティ・セクションがいつもの状態でボブに迫るのであればきっと止めないだろうから。

マイナスの感情に突き動かされて得た能力では、一見正義に見えてもろくな結果にならないのは予想がつくもの。
レディバグのアクマに対する態度は非常に一貫していて、正気に戻そうと説得を試みることはときどきあっても、アクマの状態で何かを為すことは絶対に止めてるんだよな。
ナタニエルのファンフィクションみたいにアクマがヒーローになる展開はありえないと思ってるってこと。

声を奪われたヒーロー

声が出ないと呪文を唱えられず、変身やら特殊能力の発動やらが一切できなくなってしまうらしい。
マジか? 別に音声認識してるわけじゃないんだろうから、意志があれば実際に声が出てるかどうかは関係ない……気がしてたが。まあ、魔法に発声はつきものか。ウィッカンだって何度も唱えないと呪文効かないし。

そうすると気になってくるのが呪文の音声的な正確性ってこと。
つまり、英語発音の”spots on!”と日本語発音の「スポッツ・オン!」1が同じように働くんだとしたら、どこまで崩してもいいんだろう。「スポッツ・オンでゲス!」とか語尾がついても効くのかな。微妙に間違えて単数形で”spot on!”にしたら効かないのかな。
そうすると英語発音ができない文化圏の人はレディバグになれないのか?というより、文化圏によって呪文が変わると考える方が妥当じゃないのか?
つまり呪文の内容どうこうより意志を持って発生するという行為自体にきっと意味があるんじゃないのかなあ。

と考えたものの、今回の感じではただの音声認識っぽい。
そしたらいつも自分の必殺技の掛け声を録音して持ち歩くのが正解。

キティ・セクションの晴れ舞台

キャプテン・ハードロック回に続いて、ロックバンドのキティ・セクションがオンステージ。
曲は前回と別(ルカの作曲)だけど、歌詞は同じだな。好きさユニコーン。

で、マリネットもいつのまにかバンドの一員らしい。
マリネットがこしらえたハードなコスチュームがバッチリ決まってる。
肩パッドはダサくないかと思っても口にはしないぞ。キッスのパロディだろうけど。

テレビの生放送に出て、もう人気バンドにのし上がったみたいだ。
ローズの歌が最高。

悪徳プロデューサーと薄っぺらDJ

XYってボブの息子だったのか。本名はザビエル=イヴ・ロス(Xavier-Yves Roth)とのこと。
ギター・ヴィラン回でボブはXYみたいに大衆におもねろとジャゲッドに迫ってたが、XYを買ってたのは息子だったかららしい。XYは別の事務所みたいな口ぶりだった気がするが。

XY「俺にアイデアなんてあるわけない(笑)」
逆にすがすがしい口ぶり。

今回のボブの所業は妙に社会風刺が効いているというか、ありそうな話だから困る。
でも今のご時世、こういう話題には有名人の方が不利な気がする。無名のアマチュアバンドより有名人を叩く方が楽しいだろうし。そもそもXYみたいなスタンスだと既に「いつも同じ曲」とかは充分叩かれてそう。パリっ子はそういうことしないのかなあ。

ともあれ、音楽回なのにジャゲッドの出番がないぞ!
キティ・セクションとのコラボ回待ってます。

その他ポイントメモ

  • ルカもやっぱり同じ学校に通ってたのか。
    いちいちルカに対して顔を赤らめるマリネット。
  • サイレンサー「音符のように澄んでいて、楽譜のように誠実。初めて会った日から、(僕の頭の中には)君という音楽が流れてるんだ」
    意味は分からないけどルカにとってマリネットが特別ってことは分かった。
    シャノワールとかイラストレーターとかに愛をささやかれたときとは違って、マリネットの反応がガチ。
  • レディバグのヨーヨーってあんなスマートフォンみたいなガジェットだったんだ。電話に使えるのはよく映ってたが。
  • 金髪ジャゲッドが変なサングラスで飛行機の上でギター弾いてる映像、前にもなんかのはずみで映ってたな。
  • 声が出なくても、ミラキュラスを外せば変身は解けるだろう。一生レディバグのままじゃないはず。
  • 声が出ないせいでシャノワールがボケっぱなし。無言で見つめるレディバグがシュール。
  • いつもはろくに説明されなくてもレディバグの意図を察するシャノワールだけど、今回は一向に伝わらない。ボケてるつもりじゃないだろうな。
  • ロジャーの声クラゲ「クロワッサンをもらえるならなんでもする」
    小ネタを挟まずにいられないおまわりさんだな。
  • シャノワール「だね、マイレディ!」
    調子のいいシャノワールにほっとするね。
  • 掃除機を背負う必要があるのかどうかは突っ込んではいけない。
  • シャノワールの声クラゲ「怖くなんかない、九つの命がある!」
    さすがにゃんこマン。
  • シャノワールの声クラゲ「レディバグの居ぬ間に洗濯!」
    ギャグはやめなさい。英語では声が小さくて聞き取れん。
  • サイレンサーのヘルメットの下は普通にルカの髪型。

今回の記事はここまで。


 

  1. ちなみにフランス語版だと「transforme-moi!(変身させて!)」という普通の言葉。

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